ページトップ

いきまち通信 ファームの話題

ポタジェ見学会とリース・しめ飾りづくりを行いました

2018年12月

今回は、鹿島建設社員組合向けのレクリエーションとして実施した見学会とワークショップの様子をレポートします。

12月1日(土)に行われたレクリエーションは、八重洲ブックセンター本店屋上に設置しているポタジェ※1をはじめ、建物内の資源循環を実現している様々な取組の見学とリース・しめ飾りづくりのワークショップに加え、屋上でとれたハーブやホップを使ったハーブティーやクラフトビールを味わえるという盛沢山の内容でした。

※1 四季を通じて景観を維持する自然共生型農園

写真:八重洲ブックセンター本店屋上に設置しているポタジェ

現在、八重洲ブックセンターでは、店内のカフェや社員食堂から出た野菜くず、コーヒー滓、ポタジェから出る茎や葉などの非食用部を、屋上に設置したミミズコンポスト(BECS:Building Earthworm Compost System)を活用して堆肥にしています。でき上がった良質な堆肥は、野菜やハーブの栽培、ホップの育成に使用し、そこで育った野菜などの収穫物はカフェと社員食堂で消費されており、小さい規模ながら「地産地消」が成立しています。

図版:八重洲ブックセンターのミミズコンポストを活用した堆肥

改ページ

さらに、この場所では、カボチャなどウリ科野菜にもしっかり実がなるという特徴があります。ここで飼育しているミツバチが受粉を手助けしてくれるおかげもあり、限られた空間ながら多種多様な野菜の栽培・収穫が楽しめる仕組みになっています。八重洲ブックセンター屋上での取組と資源循環の流れは、単に廃棄物の抑制に寄与するだけでなく、屋上という空間に様々な昆虫や鳥などの生きものを呼び込んでおり、私たち人間にとっても憩いの場となっています。普段は非公開のこの屋上ですが、イベント参加者には、この空間でしばし過ごしていただき、食べられる・触れられる・香る・循環する都心の屋上を体感していただきました。

写真:八重洲ブックセンター屋上の様子

写真:八重洲ブックセンター屋上の様子

写真:八重洲ブックセンター屋上の様子

見学後は、メインイベントであるワークショップです。今回は、屋上で栽培したホップの蔓を使ったリースと、稲わらのしめ飾りづくりを行いました。製作の合間には、9月に収穫した八重洲産生ホップを使用したクラフトビールと、ポタジェでこの日収穫したばかりのハーブを使ったお茶も提供されましたが、皆さん作業に夢中で、なかなか手が伸びません。そこでスタッフが「皆さん集中しているところ申し訳ありませんが、そろそろお飲み物もいかがでしょうか。リラックスしながら進めませんか。」とお声がけ。瞬間どっと笑いが起き、ワークショップ後半は、ビールとハーブティーでリラックスしながら会話も弾んだ時間となりました。

写真:ワークショップの様子

写真:ワークショップの様子

稲わらで縄を綯(な)う際には、足や膝を使ったり、お尻で座ってみたり、それぞれ工夫しながら作業をします。太い縄にしようとすると一人での作業は難しく、二人一組になって抑えながら順番に作業するなど、親子で協力して縄を綯う様子も見られました。

写真:ワークショップの様子

写真:ワークショップの様子

改ページ

リースは、木の実やドライフラワーなど飾りとなる様々な材料を、どう配置するかが一番楽しく、また悩みどころです。この日用意した材料は、身近な自然素材ばかり約10種。自然素材なので大きさや形もそれぞれで、留め方次第で全体の印象もだいぶ変わります。皆さん、留め方を相談したり、何度も配置を変えてみたりしながら作品を仕上げていきました。

ワークショップは、説明時間も含めて40分程度と限られた時間でしたが、素敵な作品が完成しました。最後にそれぞれの作品を手に記念撮影をして終了しました。

写真:それぞれの作品を手に記念撮影

鹿島では、既存建物の屋上などの未利用空間を活用し、資源循環、集客、SDGs※2などに対応可能な緑化空間の創出をお手伝いしています。企画や整備に加え、整備後の持続的な運営管理も含め、グループ会社や協力会社と連携しご提案しています。本サービスの詳細につきましてはこちらからお問い合わせください。

※2 SDGs:2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な世界を実現するための国際目標

(担当:N)

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上農園の8つの効用

2018年5月

初夏の陽気が感じられる季節になりました。屋外空間で過ごす時間も徐々に長くなりそうです。

八重洲ブックセンター屋上に設けたモデル農園も本格的な活動を開始しました。そこで今回のいきまち通信では、屋外での様々な体験活動を可能とする「屋上農園」を取り上げます。

ビル屋上に本格的な水田や菜園を整備する「屋上農園」は、近年、不動産の有効活用策として静かなブームとなっています。

なぜ屋上農園に注目が集まっているのでしょうか?

私達が考えるその答えを、屋上農園導入の8つの効用としてご紹介したいと思います。

写真:屋上農園での収穫の様子

写真:屋上農園での収穫の様子

1.自然と触れ合える

都市部にも公園や街路樹があり、緑を楽しむことができます。しかし、直接土に触れ、その匂いを感じ、自ら作物を収穫できる緑の空間は決して多くはありません。職場や学校、商店、集合住宅の屋上に屋上農園を設けることで、遠くまで足を延ばさなくても都市住民が直接自然を体験できる機会を提供できます。最近では、このような自然との触れ合いにより、多くの人がストレスを解消し、リフレッシュできる効果があるとの研究成果も発表されています。

写真:自然と触れ合える

写真:自然と触れ合える

改ページ

2.安全な食料の確保

都市部には多くの商店やカフェ、レストランが立地しており毎日大量の食料を消費していますが、そのほとんどを外部からの調達に頼っています。屋上農園の生産量は限られていますが新鮮な食料を提供し地域の食料自給率回復に貢献します。また、食料生産のプロセスを多くの都市住民に示すことができる上、食料を運搬するコストやエネルギー負荷の低減にも寄与します。何よりも、香りや甘さの強い採れたて野菜やハーブなどを材料としてすぐに利用できるため食生活の可能性を広げます。

写真:安全な食料の確保

写真:安全な食料の確保

3.収益が得られる

一般的な屋上緑化は維持管理費が必要になりますが、屋上農園は収穫体験などのイベント開催や収穫物の販売などにより収益を上げることが可能です。また、花粉を運ぶミツバチの巣箱や、資源循環を目的としたニワトリ小屋やミミズコンポストを屋上農園に設置することで、さらに付加価値の高い食料生産が可能となります。その他、アドプト緑化システムを活用した地ビール造りなども収益確保手段として有効です。

写真:収益が得られる

写真:収益が得られる

4.地域の温熱環境の改善

屋上農園は屋上のコンクリート面を緑で覆うことにより、地域の温熱環境の改善に寄与します。特に屋上水田は夏場に水を張るため蒸散作用(植物の葉から水分が放出される現象)が高く冷却効果が期待できます。また、給水設備を備えたホップやキュウリなどの壁面緑化は設置場所を工夫することで夏場に大きな日陰を作りだすことが可能です。

写真:地域の温熱環境の改善

写真:地域の温熱環境の改善

改ページ

5.地域の資源循環の改善

都市では毎日多くの廃棄物が発生しています。鹿島は、カフェ等から発生するコーヒー滓(かす)を利用したキノコ生産施設、レストランなどの調理屑(くず)を堆肥化するミミズコンポスト、魚の骨や虫、野菜屑(くず)などを処理し卵を生み出すニワトリ小屋の屋上農園への設置を提案しています。これにより、地域で発生する廃棄物の再資源化が可能となり、食品リサイクル率の向上など資源循環に貢献できます。特に屋上農園は肥料の搬入や、刈草の搬出が困難な為、ミミズコンポストなどを利用して自産自消の肥料を作ることで、何も入れず何も出さない循環型の農園管理が可能となります。

写真:地域の資源循環の改善

写真:地域の資源循環の改善

6.周辺の緑地の結実率改善

屋上農園で豊かな実りを得るには送粉者(花粉を運ぶ生き物)が必要です。都市部では生息生物が少ないため送粉者が十分でない可能性もあります。鹿島は、屋上農園にミツバチの巣箱を設置し、ミツバチが蜜を集める際に作物の受粉を助ける仕組みを導入しています。ミツバチは農園の作物に加え、周辺の街路樹や公園の緑などに対しても送粉者としての役割を果たし、周辺緑地の結実率改善に貢献します。

写真:周辺の緑地の結実率改善

写真:周辺の緑地の結実率改善

7.五感を刺激

ニュートンがリンゴから万有引力を発見したように、新しいアイディアは自然との関わりの中から生まれてくることが多々あります。触れたときに香りの残るものや独特の肌触りを有するハーブなどを身近に植栽することで、従業員のアイディアを刺激するような空間整備も世界の大都市(例えばシアトルなど)で見られるようになりました。屋上農園は食べる、嗅(か)ぐ、触(さわ)る、見る、聴くという五感を刺激することができます。仕事の休息時間に屋上農園でリフレッシュしたり、ブレーンストーミング会議を屋上農園で開催したり、屋上農園から新しい「働き方」が生まれてくるかもしれません。

写真:五感を刺激

写真:五感を刺激

改ページ

8.景観演出

新築ビルや既設ビルに関わらず、屋上農園の景観が都市に潤いや癒しを与えてくれます。屋上農園は単一作物の栽培でなく少量多品種栽培が主流のため、季節ごとの景観の変化を楽しむこともできます。また栽培作物に加え、稲を天日干しした稲架(はざ)やスズメ除けの案山子(かかし)、ティピ(インディアンの移動式住居)などによる景観演出も可能です。

写真:景観演出

写真:景観演出

今回は屋上農園の主な効用を8つ紹介しました。

一方、屋上農園は建物の屋上に設置するため、耐荷重制限への対応や風による土壌飛散の防止、資材調達などの課題もあります。

鹿島では、立地条件や利用目的を踏まえ、新築や既設、規模の大小に関わらず魅力的な屋上農園をご提案しています。

当社のモデル農園の見学も受け付けていますので、ご希望の方はこちらからお問い合わせ下さい。

(担当:Y)

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

地ビール「朝霞C.S.Ale®(シー・エス・エール)」を
新発売!

2017年10月

2016年に狛江市で実施した市民参加型ホップ栽培「アドプト緑化」をKファームが中心となり、埼玉県朝霞市でも同様に実施しました。C.S.AleはCommunity Supported Ale の略で、地域に支えられて作るエールビールという意味です。「朝霞C.S.Ale®」は、Kファームの朝霞農場がホップの栽培キットの供給元となり、朝霞市民の栽培協力の下、10月からの販売が実現しました。

「C.S.Ale」は鹿島の登録商標です。

地ビール「朝霞C.S.Ale」について

Kファーム朝霞農場(埼玉県朝霞市。鹿島グループ会社である(株)都市環境エンジニアリングが運営)では様々な野菜やハーブと一緒に国産品種のホップも栽培しています。ホップは主に東北地方で栽培されている多年生のツル植物で、晩夏に収穫できる毬花はビールの香りや苦みづけに使用されます。

今年はKファームで作成したホップ栽培キット(ホップの苗をプランターに移植したもの)を、地元飲食店、教育機関、企業、公共施設、その他朝霞市民の方々に配布して育ててもらう「アドプト緑化」により、夏の間、ホップの涼しげな緑のカーテンが朝霞の街に広がりました。今年は8月の天候不順により日照時間が少なかったためか、毬花の収穫量にばらつきがありましたが、農場で収穫した毬花も加え、醸造に必要な量を確保することができました。

写真:2017年9月4日 Kファームでのホップ毬花収穫の様子

2017年9月4日 Kファームでのホップ毬花収穫の様子

ビール醸造に使用するホップ毬花は、東欧などから乾燥したものを輸入して使用するのが一般的ですが、今回は朝霞市民が育てた生のホップ毬花を一部使用した朝霞C.S.Aleが完成しました。フレッシュホップの特徴をうまく引き出すことのできる醸造所、販売に関連する手続きを一手に引き受けてくださった朝霞酒販協同組合との連携で、本プロジェクトが実現しました。

改ページ

朝霞市内での販売状況

9月末にでき上がった地ビール「朝霞C.S.Ale」が朝霞市の酒屋さんに納品されました。10月1日に朝霞駅前で行われた「アートマルシェ」では、朝霞酒販協同組合のブースで販売され、朝霞産のホップを使用した「朝霞C.S.Ale」の売れ行きは好調でした。

今回、一回のみの小ロット醸造のため、賞味期限12月末までの本数・期間限定の販売となっておりますが、市内飲食店でも提供されており、初回仕入れ分はすぐに売り切れてしまうなど、大変好評をいただいています。

写真:アートマルシェ 朝霞C.S.Ale®販売の様子

アートマルシェ 朝霞C.S.Ale®販売の様子

写真:評判だった朝霞C.S.Ale<sup>®</sup>

評判だった朝霞C.S.Ale®

11月19日には「朝霞市農業祭」が開催されます。毎年、市内の生産者が丹精込めて育てた農産物の品評会や地元野菜の販売が行われるイベントです。今回はKファームも参加させていただき、「朝霞C.S.Ale」に加え、Kファームで育てたニンジンを使った「おひさまにんじんジュース」も販売予定です。

朝霞市は2017年に、市制施行50周年という節目を迎え、将来に亘った市の魅力のアピールとオリンピック・パラリンピックに関連した市のPR活動として「むさしのフロントあさか」と銘打ったシティプロモーションを行っています。瓶のラベルにも「むさしのフロントあさか」のロゴを入れ、地ビール「朝霞C.S.Ale」は朝霞市役所他、多くの関係者の方々にも応援していただき、朝霞ブランドの商品としても期待が高まっています。

写真:ラベルに「むさしのフロントあさか」のロゴ

ラベルに「むさしのフロントあさか」のロゴ

2018年度に向けて

2年目を迎えたKファームでの取組は、アドプト緑化や市のイベントへの出店などを通して市民の皆様に認知していただく機会が増えてきました。これからもより幅広い方々との交流を深めながら農地の活用による持続的な環境に配慮したまちづくりを進めていきたいと考えています。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

夏野菜収穫体験を行いました

2017年7月

鹿島はグループ企業である(株)都市環境エンジニアリングと連携し、都市の様々な課題を解決するアグリビジネスを展開しています。以前のレポートでもご紹介した「Kファーム(都市環境エンジニアリングが農地を借り受け、埼玉県朝霞市に開設)」は2年目を迎え、都市住民への「良質な環境」、「健康」、「幸福」の提供を目指してアグリ系サービスの提供を行っています。

今回は、7月にKファームで開催した鹿島建設社員組合向けの「収穫体験」イベントの様子をご紹介します。このイベントは、鹿島建設社員組合が組合員とその家族向けにレクリエーションとして実施しており、毎回、応募受付開始後すぐに定員満了になる程好評を得ています。

イベント当日は快晴で、Kファーム朝霞農場では、ミニトマト、栗カボチャ、ソーメンカボチャ、オクラ、インゲン、ナスなどの夏野菜が旬を迎えていました。

写真:インゲン

インゲン

写真:ミニトマト

ミニトマト

写真:ソーメンカボチャ

ソーメンカボチャ

写真:赤オクラ

赤オクラ

イベント参加者が集合し、まず、Kファームのスタッフから、循環型農業の仕組みについて説明がなされました。たとえば、野菜を生産する過程で発生する、不要な茎や葉などの非食用部は、まず餌としてヒツジに与え、ヒツジが食べ残したものをミミズコンポストに入れ、それを食べたミミズにより生産された良質な堆肥を畑に戻すことで、サイト内での資源循環を実現しています。

写真:堆肥場の説明

堆肥場の説明

写真:毛刈り後のKファームのヒツジ

毛刈り後のKファームのヒツジ

改ページ

次は農作業体験としてニンジンの種まきを行ないました。先ず始めに、細めの竹を地面に押し当て、真っ直ぐな溝を作り、小さなニンジンの種が重ならないように丁寧にまきます。そして、上から土をかぶせて軽く押さえ、最後に種が流れないように優しく水をあげると作業は完了です。

今年度は、イベント参加者が種まきから収穫までの一連の農作業を体験し、最後に収穫したニンジンを用いて『おひさまニンジンジュース』を製造する“シリーズ展開”のプログラムを企画しており、今回その第一弾として種まきを実施しました。次回は、8月下旬に間引き作業の体験を予定しています。

写真:種まきの溝づくりの様子

種まきの溝づくりの様子

写真:種まきの様子

種まきの様子

写真:播種後8月のニンジンの様子

播種後8月のニンジンの様子

写真:昨年販売したおひさまニンジンジュース

昨年販売したおひさまニンジンジュース

種まき体験の後には、スタッフから今回収穫できる野菜の品種と収穫方法の説明を受け、参加者が自由に野菜の収穫を行ないました。暑いさなかでしたが、畑を縦横無尽に走り回って収穫するお子さん達からは、「こんな大きなナスをとった!」「すごい、ジャガイモが沢山繋がって出てきた。」など、大きな声があがっていました。また、大きなソーメンカボチャを収穫した笑顔のお父さんを記念撮影したり、収穫した野菜の“おすすめの調理法”を熱心に質問したり、大人の方も充実した時間を過ごして頂けたようでした。ご家族それぞれに満喫している様子見て、この日のために準備をしてきた農場スタッフたちの顔もほころびました。

参加者へのアンケートでは、回答頂いた全員がリピート参加を希望され、「野菜がどういう風に育っているのかを見る機会がなかなか無いため、子供達にとって初めての良い機会だった。」、「野菜嫌いの子供が自分で収穫した野菜を食べてくれると嬉しい。」というコメントなども頂くことができました。このイベントを通じて、農業に関する学びのきっかけづくり、興味の広がりへのお手伝い、また交流の場づくりができたように思います。

今後も都市住民に喜んでいただけるアグリ系サービスの提供に向けて、鹿島グループは様々な取組みを行っていきます。ご興味のある方は是非お問い合わせください。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

田植えを行いました

2016年5月

Kファームは埼玉県朝霞市近郊の田んぼで稲作も実施しています。農法はこれまでいきまち通信で何度か紹介している不耕起農法です。ただし、今まで使ってきた田んぼの中で最も条件が悪いのが今回の特徴です。

田んぼは耕作放棄されヨシが繁茂した状態から、刈取り、畔修復、水路整備などすべて手作業で整備し、育苗も種籾の浸水から行っています。5月下旬、ゴールデンウィーク前から手塩にかけて育ててきた苗をついに田んぼに植える日がやってきました。

写真:種籾の浸水

種籾の浸水

写真:種籾播種

種籾播種

写真:育苗中

育苗中

写真:苗を田んぼへ運搬

苗を田んぼへ運搬

固いヨシの刈り株が残る中、Kファームを運営する鹿島のグループ企業(株)都市環境エンジニアリングの有志が集まり、朝から田植えを開始しました。機械による耕うんも整地も行っていないため、固い場所、深い場所、柔らかい場所が混在し、足を取られながらも素晴らしいチームワークで無事、午前中に作業を完了しました。都市環境エンジニアリングの有志の皆さんは、慣れるまでは集中して黙々と作業されていましたが、しばらくすると至るところで笑い声が聞こえ、汗を流しながらリフレッシュされた様子でした。

改ページ

写真:田植え中

田植え中

写真:田植え中

写真:田植え中

写真:集合写真

集合写真

最後は笑顔で記念撮影。秋には稲刈り、年末には餅つきが無事できるように、これから水管理、雑草管理の日々が続きます。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

アグリビジネスの展開(グループ企業の取組み)

2016年4月

グリーンインフラGr.と鹿島のグループ企業である(株)都市環境エンジニアリングは連携し、循環型農業、ミツバチプロジェクト、生き物除草など、都市の様々な課題を解決するアグリビジネスを実施してきました。2016年4月1日からは埼玉県朝霞市において約3,000m2の農地を都市環境エンジニアリングが借り受け、新たに「Kファーム」を開設しました。Kファームは、景(景観)、恵(自然の恵み)、憩(憩いの場)、繋(多様な繋がり)を意識しながら、「良質な環境」、「健康」、「幸福」のご提供をミッションとしています。都市近郊に畑と牧場を確保することで、アグリ系サービスを検討されている多様な顧客ニーズに応えて参ります。

図版:Kファーム

Kファームの提供するアグリ系サービス

<野菜・米の生産、販売および作業委託>
都心からアクセスの良い朝霞農場を拠点として無農薬無化学肥料で野菜・米を生産販売します。また、都心の屋上農園・屋上水田の運営支援・作業受託を行います。

<養蜂指導および蜂蜜の生産販売>
ビル屋上などで実施する都市型養蜂(ミツバチプロジェクト)の運営や養蜂指導、地産地消蜂蜜の生産販売も行っていきます。

<循環型農地運営・緑地管理>
ヒツジやヤギを用いて環境負荷の低い緑地管理を受託します。また鶏やミミズにより農産物非食用部から良質な堆肥を生産販売します。

<環境コミュニケーション>
野菜や米の収穫体験やミツバチなどの環境教室、マルシェの運営など農に関する環境コミュニケーションサービスを提供します。また、企業の人材研修やインターンシップを受け入れます。

新たな取組みとして試行錯誤の日々が続いていますが、夏以降の収穫イベント開催に向けて野菜の栽培管理を行っています。今年は梅雨入りまでの降水量が少なく、水管理で苦戦していますが、これから恵みの雨に期待したいと思います。

写真:第一農場

第一農場

写真:第一牧場のヒツジ

第一牧場のヒツジ

改ページ

写真:綿

綿

写真:ナス

ナス

写真:ミニトマト

ミニトマト

写真:サトイモ

サトイモ

農業を言語化や定量化することは難しく、マニュアルにも記されていないノウハウや手法が沢山存在すると言われています。そこで、我々はKファームスタッフと共に日々、様々な記録・データを積み重ねながら、科学的なアグリ系サービスの実施を目指し、取り組んでいます。これからKファームのミッションを達成するため、多くの方々と繋がりながら歩んでいく所存です。どうぞご期待ください!

Kファームスタッフ紹介

写真:加藤朝霞農場支店長

加藤朝霞農場支店長

写真:脇田職員

脇田職員

写真:佐藤職員

佐藤職員

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

戸塚区庁舎屋上水田での3年間の活動を振り返って

2015年12月

鹿島が2013年から継続して支援してきた、横浜市戸塚区総合庁舎屋上水田での小学生の稲作体験授業。今年も5月からプログラムが始まり、12月9日にしめ縄づくり・餅つきで一年間を終了しました。

子どもたちが一年間お米を育てて、一番心待ちにしていた餅つき。今年も、学年の先生方、収穫したお米を蒸してくださった給食室の職員の皆さん、横浜市南部農政事務所の方々、地元の農家さん、屋上農園ボランティアの皆さん、そしてPTAのお母様方と沢山の方の協力でにぎやかで楽しい会になりました。

写真:お餅がつき上がりました

お餅がつき上がりました

写真:つきたてのお餅は柔らかくて美味しい!

つきたてのお餅は柔らかくて美味しい!

いきまち通信では、たびたびこの戸塚区総合庁舎屋上水田のプログラムをレポートしてきました。今回、いままで3年間の活動を振り返ってみました。

本プログラムの特徴として、田んぼを耕さない不耕起農法を採用している事。また、農薬や化学肥料を使わない事が挙がります。

水田が屋上にあるため、耕運機などの重機の利用が困難であり、さらに耕す行為は屋上の防水層を傷つける恐れがあります。その点、「耕さない」この農法は屋上という環境に適しています。

また、不耕起農法は「耕さない」だけではなく、稲刈り後の稲の切り株も、田んぼに生えた雑草も全てそのままにし、冬季は窒素固定力が高いと言われているレンゲを生やします。水のない冬場はレンゲが田んぼを覆い、緑の田んぼを保ちます。風の強い屋上では土埃の飛散が気になりますが、冬の間も土がむき出しにはならず、安心できます。翌春に田んぼに水を張るとそれらが倒伏し、日光を遮ることで雑草を防ぐマルチングとして機能します。そしてその全てが腐植となって、自然の肥やしとして稲を育みます。この栽培方法はゴミが発生しない循環型の農法といえます。

戸塚区庁舎屋上水田でもこの方法で3年間、土を足さず、施肥をせず稲作を行ってきましたが、この限られたスペースの中でも小さな循環がうまく働き、今年も立派な稲穂が実りました。

写真:冬の田んぼ。レンゲで緑色

冬の田んぼ。レンゲで緑色

写真:今年の稲刈りの様子(10月20日)

今年の稲刈りの様子(10月20日)

改ページ

最初に戸塚区総合区庁舎の屋上緑化を検討した際、戸塚の原風景の再現が求められました。そこで、かつて水田や溜池、里山が広がっていた景観を再生するため、水田に加え里山的な雑木林の部分、畑の部分、ため池(ビオトープ)を提案しました。ミニチュア版ではありますが、屋上に再現された昔の戸塚の風景の中に、ヤゴをはじめとした様々な生物が息づき、小さな生態系が生まれました。子どもたちは一年間のプログラムを通して、稲作以外にも様々な事象を発見し、驚嘆し、経験から沢山のことを学習したと思います。

この3年間の活動で、市役所に手続きに来た方や、地元の幼稚園、小学校の子どもたちなど多くの市民の方と屋上で出会いました。皆さんこの屋上とは思えない懐かしい風景を楽しんでいる様子でした。徐々に地域の方々にこの場所の存在を認められ、コミュニケーションの場所として、憩いの場所として、役立っていることを実感しました。

写真:庁舎に来たついでに屋上でひと休み

庁舎に来たついでに屋上でひと休み

最後に、今年も稲作体験プログラムを受けた子どもたちからこんな素敵なプレゼントを頂きました。この体験を通して、少しでも農業や食、自然、環境に思いを馳せ、家族や友達と話す機会を持ってくれたらと思います。

戸塚では屋上水田・農園の持つ様々な働きを間近に見ることができ、それらを活かすプログラムの重要性を実感することができました。グリーンインフラとしての水田の価値を十分に生かすためには、ハードとなる空間とソフトとなる環境プログラムの両方が重要だと改めて感じた3年間でした。

写真:『鹿島建設の方々 半年間ありがとうございました』戸塚小学校5年生の寄せ書き

『鹿島建設の方々 半年間ありがとうございました』戸塚小学校5年生の寄せ書き

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

社員組合と稲刈りイベントを行いました

2015年11月

10月24日(土)、鹿島建設社員組合関東支部と環境本部の共催で組合員のレクリエーションとして稲作教室<稲刈り編>を行いました。場所は6月に田植えをおこなった埼玉県羽生市にあるNPO法人雨読晴耕村舎です。(雨読晴耕村舎の田んぼについては田植えイベントの記事をご覧ください。)

参加した組合員の親子は総勢50名弱。そのうち田植えから参加した約1/3の参加者は、田植え時の頼りない感じだった小さな苗が大きく育ち、立派な稲穂をつけて黄金色に輝いている田んぼをみて驚嘆の声をあげていました。植物の力って本当に凄い!

写真:稲刈り前の田んぼの様子

稲刈り前の田んぼの様子

稲刈りは、各々、のこぎり鎌を片手に各家族に割り当てられた範囲を黙々と刈り取り、それを4~5株毎に稲わらで束ねます。稲わらで束ねるのもちょっとしたコツがあるのですが、終了する頃には小さな子どもたちも含め、全ての参加者がうまく束ねられるようになりました。

写真:稲刈りの様子 家族ごとに担当範囲を稲刈り

稲刈りの様子 家族ごとに担当範囲を稲刈り

改ページ

束ねた稲は田んぼに設置した稲架にかけました。稲架は地方によって形状や材料、呼び名が異なります。今回は孟宗竹を使って組みたてました。

稲架掛けした稲は、この後このまま2~3週間ほど天日干しを行います。秋の日光と風の力を借りてさらにお米はおいしくなっていきます。

写真:稲架の横で集合写真

稲架の横で集合写真

今回のイベントは、建設現場やオフィスの中で働く社員やそのご家族にとって、いつも食べているご飯がどのようにして自宅の食卓にやってくるのかを学ぶ、貴重な機会になったのではないでしょうか?

参加者アンケートでは、「都市部には少ない田んぼが広がる景観が素晴らしかった」「自ら食べるお米を作れてよかった」、「子供達にとって貴重な農体験となった」とのコメントが寄せられました。環境本部グリーンインフラグループでは、このようなニーズを捉えたアグリビジネスの展開を引き続き検討していきたいと考えています。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

組合員向け田植えイベントを行いました

2015年9月

6月13日(土)、鹿島建設社員組合関東支部と環境本部の共催で組合員のレクリエーションとして稲作教室<田植え編>をおこないました。場所は埼玉県羽生市にあるNPO法人雨読晴耕村舎です。

雨読晴耕村舎では8年前から不耕起農法によりお米を育てています。田んぼを耕し、農薬散布や化学肥料を使用するような慣行農法と違い、レンゲや雑草を田植え前まで一切耕すことなく水入れする農法です。水入れ後に枯れたレンゲやその他の雑草は光を遮り、田植え後の雑草繁茂を抑えると同時に、肥料にもなるという優れた農法です。自然が相手のため完全にマニュアル化された方法ではありませんが、試行錯誤を続けながらも毎年米の収量は増えているそうです。

ヤギ除草を行う際のバックヤードとして雨読晴耕村舎とのお付き合いが始まったのは約4年前のこと。環境負荷の少ない雨読晴耕村舎の稲作方法は、機械が使えず、物の搬入、搬出を最小限に抑えたい屋上水田との相性が良く、参考にさせてもらっています。いきまち通信でもたびたびご紹介している横浜市戸塚区総合庁舎の屋上水田に活かされています。

参加した親子は総勢50名弱。ほとんどの参加者が初めての田植えでしたが、田んぼはもっと柔らかいものだと思っていたようです。慣行農法とは違って不耕起の田んぼは固く、最初は手植えの田植えに最初は戸惑っていた様子でしたがすぐに慣れ、黙々と植えていきました。家族ごとに担当範囲を決めたことで、お父さんたちの間では静かな田植え競争が生まれていたようです。

写真:田植えの様子

田植えの様子

田んぼには沢山の生き物があふれています。初めて見る大きなカエルや小さなカエル、ミズグモやザリガニに子どもたちは大興奮!大はしゃぎで捕まえてみます。観察が終わった生き物は元いた場所に戻してあげることを忘れずに、田んぼの生態系について小さいながらも学んだ様子でした。

雨読晴耕村舎には立派な母屋があるのですが、母屋前の敷地内にはミツバチの巣箱やヤギもいます。花の蜜を集めに活発に巣を出入りするミツバチの動きを観察したり、ヤギに草をやってみたり、参加者は普段、都会では味わえない自然に囲まれた農空間を堪能していました。ランチは地元の有機野菜や有機米などを使ったもので、野菜を作って下さった地元の若い農家さんとの交流機会も作りました。

改ページ

写真:青空の下でのランチ

青空の下でのランチ

梅雨の只中にもかかわらず、天気は晴天、気温は上がり真夏日でしたが、太陽の下で体を動かし自然と触れ合うことができて、大人も子供も「健康になった気がする!」「気持ちが良かった!」「貴重な体験ができて楽しかった!」と言っていたのが印象的でした。

いつも建設現場やオフィスの中で働く社員たち、そして都会暮らしの家族にとって、日常から離れ黙々と体を動かして農作業を行うことは私たちにとって大きなリフレッシュの機会になりました。

6月に植えた稲はすくすく成長しており、秋には稲刈りを予定しています。自らの手で育てた安心安全な美味しいお米が沢山収穫できるように、現在、水管理や雑草取りなどを継続実施しております。

写真:集合写真

集合写真

改ページ

写真:6月の田んぼの様子

6月の田んぼの様子

写真:7月の田んぼの様子

7月の田んぼの様子

写真:8月の田んぼの様子

8月の田んぼの様子

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業2014
(第四回/最終回)

2014年12月

鹿島では、横浜市戸塚区総合庁舎8F屋上の田んぼを利用した、地元小学生のお米づくりの支援をしています。餅つき・しめ縄作りを行う締めくくりの授業まで、本年も無事に終えることができました。今回は今年最後の授業の様子をレポートします。

まずは、授業内容の復習と共に今年行った作業を振り返りました。5月のオリエンテーションに始まって6月には田植えをし、7月には生きもの観察会を実施。児童それぞれが一株ずつ丁寧に手植えをした稲の生長を確認しつつ、様々な生きものが訪れる屋上水田でスケッチをしたり、温度センサーを使って温熱環境を調査したりしました。10月の稲刈りでは、稲架にかけるまでを体験しました。

この稲はじっくり天日干しされた後、鹿島のスタッフが回収し、精米までの工程を行い戸塚小学校に届けたものです。

写真:今年最後の授業の様子

写真:脱穀・精米

お米が口に入るまでに様々な工程を経ていることを学んだ後は、いよいよ餅つき・稲わらを使ったしめ縄づくりの時間です。クラスごとに分かれて、それぞれ順番に体験しました。

しめ縄作り

近頃ではあまり見かけなくなりましたが、脱穀後の稲わらは、履物の『わらじ』、敷物の『むしろ』、ロープの『わら縄』など様々に形を変えて利用されてきました。授業では、わら縄から『しめ飾り』をつくる体験をしてもらいました。束ねた稲わらをねじりながら縄状に仕上げていく作業は、大人の手でも要領を得るまでには時間がかかり、なかなか美しい形状にはなりません。小学生位の子供の手の大きさではなおさら簡単な作業ではありません。それでも、あきらめずに何度もチャレンジし、丁寧に仕上げていた姿は印象的でした。中にはいくつも仕上げていた強者も。最後には、出来上がったしめ飾りを見せ合っている姿があちこちに。全員笑顔で誇らしげに見えました。こういう時の皆さんの姿は、我々スタッフにとっては「ご褒美」です。お手伝いしてきて良かったなあと改めて実感できる時間です。

写真:しめ縄作り

写真:しめ縄作り

改ページ

写真:授業開始前:父兄向けにしめ縄作りWSを実施

授業開始前:父兄向けにしめ縄作りWSを実施

餅つき

一方の餅つきでは、杵で一突きする度に大きな掛け声があがり、会場となった体育館に響きわたりました。杵は、非常に重くて持ち上げるだけで一苦労な様子でしたが、それぞれ数度ずつ頑張ってつきました。つきあがったお餅はその場で、小分けにして皆さんで試食。出来立てで、しかも自分たちのついたお餅の味は格別だったようで、お代わりの声が続出し、この後の給食の時間が大丈かどうか心配になる程でした。お餅は、鹿島のスタッフも最後に試食させて頂きましたが、大切に育てたお米からできたお餅の味は格別で、『おいしい』という言葉以外出てきませんでした。

写真:餅つき

写真:餅つき

この餅つきは、多くの方々のご協力を得て実施しました。道具類の用意・当日の運営には、戸塚区役所の横浜市南部農政事務所の方に奔走して頂きました。大人の手が欠かせない餅つき作業には、屋上農園の市民ボランティアの方々や地元農家の方に支援して頂きました。餅米の蒸しあげは、給食室の方にお願いしました。もち米の事前準備や配膳などのためにPTAのご父兄にも参加して頂きました。この授業を通して、様々な立場・役割の方がサポートしてくださったことも児童にとっては、大きな学びになったことと思います。ありがとうございました。

終わりに

今年も屋上水田を通して、多くのつながりが生まれました。都市部屋上にある緑地が食糧生産の場となり、周辺環境の改善に寄与し、子供たちの学習の場となるだけでなく、様々な交流の場となる可能性を改めて実感した一年となりました。

来年の4月には、レンゲ花咲く水田に再会することができます。お近くにお越しの際は、是非、屋上水田に足を運んでみてください。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業2014(第三回)

2014年10月

鹿島は2013年から横浜市戸塚区総合庁舎屋上で、小学生の稲作体験授業を支援しています。今年も実りの季節となりました。子どもたちが6月に植えた小さな苗もいまでは黄金色に輝き、収穫できるまでに大きく成長しました。毎年、この時期は台風の通過などもあり、風の強い屋上では稲の倒伏が心配になりますが、横浜市南部農政事務所の方々による強風対策もあり、無事に収穫を迎えることができました。10月8日は天気にも恵まれ、稲刈りをする戸塚小学校5年生の皆さんは今日も元気です。

自宅から持ってきたマイ軍手を装着して、皆やる気満々ですが、まずは、稲刈りの手順をしっかり説明します。

写真:朝の屋上水田の様子

朝の屋上水田の様子

写真:稲刈りの手順を確認する子どもたち。興味津々

稲刈りの手順を確認する子どもたち。興味津々

刈取りの手順、カマの使い方、安全事項を確認した後、さっそく田んぼに入って稲刈り開始です。春の苗の植え付けの時とはずいぶん田んぼの様子が違います。ひとりひとりノコギリ鎌を片手に稲を刈りました。小学生でも心配ご無用、大人の心配をよそに、皆上手に刈ることができました。「わぁ!面白い!もっとやりたい!」「おうちで包丁使ってお料理してるから、鎌なんて怖くないもん!」など、皆口々に言っています。

写真:稲刈りの様子

稲刈りの様子

刈った稲は去年の稲わらを利用して束ねてもらいます。二人一組、稲の束を稲架掛け(はさがけ)していきます。

写真:束ねてもらった稲を稲架掛けです。約1週間程度干します

束ねてもらった稲を稲架掛けです。約1週間程度干します

改ページ

無事に稲刈りが終了した後、質問タイムを設けました。まずはこちらから生徒への質問です。「なぜ刈った稲を干すか知っていますか?」との問いに、「乾燥させるため!」、「美味しくなるから!」と即座に回答が。皆さん、事前に色々と調べている様子です。その後、稲刈りに使われる道具や機械に関する質問、干し方に関する質問など、生徒から様々な質問が飛び出します。「普通の鎌じゃいけないのですか?」「ハサミはどうですか?」「他に稲刈りにはどのようなやり方があるのですか?」「学校の田んぼの稲を干すのに稲架がないのですが、他にどういうふうに干せば良いですか?」など、学校で育てている稲の刈取りや地域で行われている稲作について理解を深めようというものでした。春に稲作体験授業を始めた当初に比べて、さらに皆の興味が増したように思いました。

写真:質問コーナーでは次々元気に手があがりました

質問コーナーでは次々元気に手があがりました

刈取った稲は1週間ほどこの場所で乾燥させた後、脱穀・精米を行い、次回の授業は皆が楽しみにしている餅つきです。稲刈り後の田んぼは来年の田植えまでしばしお休み。これからはレンゲに覆われ、冬の間も緑化された状態を保ちます。冬のからっ風でも屋上水田からの土の飛散を防ぐ効果があります。お近くにいらした際には是非足を運んでご覧ください。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業2014(第二回)

2014年6月

鹿島は、横浜市戸塚区総合庁舎8F屋上の田んぼを利用して、地元小学生のお米づくりを支援しています。

6月10日、屋上の田んぼで田植えが行われました。田植えを行ったのは戸塚小学校5年生151名。「おはようございます!」とみんな元気に屋上田んぼへとやってきました。

初めに、苗の植え方のレクチャーを行いました。屋上で機械が使えないため田起こしや代掻きを行う慣行農法の田んぼとは違う、不耕起の田んぼであることを先ず説明。耕していない田んぼであるため植える場所が硬くなっていること、上手に植えるコツは、指を使って穴を開け、稲の根っこを親指でグイッと入れること、そして最後に周りの土を寄せて固めることなどを説明しました。

写真:田植えを前にみんなドキドキです

田植えを前にみんなドキドキです

そして、田植え開始です!長靴に履き替え、苗をもらい、一列に並んだら、いよいよ屋上田んぼへと入っていきます。通常の田んぼならここで、ぬるっとした軟らかい土の感触が待っています。しかし、ここは不耕起の田んぼ。水没した雑草と想像していたより柔らかくない土の上を皆、恐る恐る歩いていきます。土が柔らかくないということは苗を植えるのが大変ということ。穴を開けるのに悪戦苦闘している生徒、土を寄せられず苗が浮いてしまう生徒も中にはいます。サポートで田んぼに入っているスタッフから、「植えた苗を軽く引っ張ってみて、抜けない様ならうまく植わっている証拠だよ」と教えてもらうと、皆、自分が植えた苗をピンピンと引っ張ります。「よし!抜けない!」見事1回で成功です。

改ページ

写真:稲をもらったら、田んぼへ

稲をもらったら、田んぼへ

写真:稲が浮いてこない様しっかりと植えます

稲が浮いてこない様しっかりと植えます

田植えを体験した児童からは「また、やりたい」、「土のにおいがした」、「毎日田植えならいいのに」と、様々な感想が聞けました。皆、それぞれ初めての体験から感じることがあったようです。

次回は、7月のいきもの観察です。今回植えた苗はどれぐらい育っているのでしょうか。初夏の田んぼにはどんないきものがいるのでしょうか。田んぼの風景は一か月の間にどんどん変化していきます。そんな変化も次回のいきまち通信ではお伝えしていきたいと思います。なお、横浜市戸塚区総合庁舎8F屋上は平日9時から17時まで一般開放されています。お近くの方、ご興味がある方は是非、足を運んでいただき屋上の田んぼの風景を楽しんでみてください。

写真:屋上水田の様子

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業2014(第一回)

2014年5月

今年も、戸塚区総合庁舎8階に設置された屋上水田での『稲作』準備が始まりました。ここでは、横浜市立戸塚小学校5年生約150人が、この水田で約半年間、もち米を育てながら、水田の役割や身近な自然環境について学びます。当社は、稲作体験授業の運営と実際の稲作支援を担当しています。水田での作業を前に、小学校の体育館で第一回目の授業を行いました。

写真:小学校の体育館での第一回目の授業の様子

はじめに、先生役の当社スタッフが田んぼから毎日の食卓で食べている「ごはん」がどのようにとれるかを説明。そして、田んぼはそれ以外にも、多くの生き物の住かになること、周辺環境を改善させる効果が期待できることなど、他の生き物に対しても大きな役割を果たしていることを説明しました。

図版:田んぼには大きく分けて2つの役割があります

改ページ

では、普通の水田と屋上水田の違いには、どんなことがあるのでしょうか。

図版:屋上の田んぼと普通の田んぼの違いについて

屋上水田では、土を外から搬入する必要があります。水も通常の水田のように周辺の川から簡単に引き入れることができません。この屋上水田では、生物多様性への配慮から、同じ戸塚区内の水田の土を使用することで、そこに入っている植物の種や生物を運び入れ、戸塚周辺にある一般的な水田周りの環境を再現できるようにしています。また、近隣から運び入れることで、エネルギー使用の抑制や外来種の流入を避けることにも役立っています。一方、水田にとって欠かせない水は、屋上で集められた雨水を利用しています。屋上水田を通して、お米ができるまでの道のりを学習するだけでなく、様々なことに気づき、関心が持てるように屋上水田での稲作の背景を細かく説明しながら、授業を進めていきました。

後半は、お米や稲作にかかわるクイズコーナーです。出題された問題の一つがこちら。児童の答えは分かれました。皆さん「正解」は、どれか判りますか。

図版:クイズ:1粒の米(種もみ)から何粒くらいのお米ができるでしょう?

最後に、実物を見てもらいながら、稲にはいくつか種類があることや、食べられる状態にするまでに発生する「稲わら」、「もみ殻」、「ぬか」も様々な形で有効利用できることを説明し、第一回目の授業を終えました。 

当社では、この授業に先立って、苗の準備を進めていますが、小学校でも独自に苗づくりに挑戦しており、授業後、その様子を見せてもらいました。児童の皆さんから苗づくりについての質問をたくさん受け、その熱意が伝わってきました。

改ページ

こちらは、最近の屋上水田の様子。

写真:最近の屋上水田の様子

写真:ヘビイチゴ

赤い実は、ヘビイチゴです。屋上水田で、私たちが大切にしている畔草の一つです。この日は、他にジシバリやレンゲの花が咲いていました。

水田の様子は刻々と変化していきます。来月には水が入り、いよいよ田植えです。そして、無事に収穫ができれば、12月には児童151人全員でお餅をついて、水田からの恵みを皆で頂く予定です。今後のレポートにもご期待ください。

図版:クイズの答え

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業(収穫祭)

2013年12月

横浜市戸塚区総合庁舎の8階屋上にある水田を利用した、小学生の稲作体験授業は、5月のオリエンテーションから6月の田植え、7月の生き物観察、10月の稲刈りと回を重ねてきました。そして12月ついに収穫祭を迎えることとなりました。

稲刈りその後

10月に戸塚小学校の皆で実施した稲刈りの後、稲は稲架にかけられゆっくりと乾燥、甘みを蓄えていきました。そして1週間の期間を経て、回収された稲は脱穀、精米されて戸塚小学校へと届けられました。

写真:稲刈りその後

餅つき&注連飾り(しめかざり)づくり

今回の稲作体験授業の最後を飾る収穫祭では、餅つきと注連飾りづくりを実施しました。まず初めに、稲刈り後にどのようにお米を脱穀、精米するのか、その過程を説明します。

写真:餅つき&注連飾り(しめかざり)づくり

明治期に実際に農家で使われていた木製の鍬や桶、唐箕(トウミ)などの農機具を会場に持ち込み使い方などを解説します。唐箕は、風の力で脱穀した籾と玄米とを仕分ける装置です。子供たちにも実際に唐箕の風車を回してもらい、昔ながらの籾摺りの工程を体験してもらいました。

改ページ

次に、刈り取った稲藁から作る注連飾りの紹介です。

注連飾りづくりでは、2つに分けた稲わらを逆方向にねじりながらロープを結っていきます。子供たちは慣れない作業に苦戦しながらも、真剣な面持ちで取り組んでいました。子供の小さい手では稲わらをよじるのが大変なため、友達に頼んで片方を抑えてもらうなど協力しあい制作する様子を見ることが出来ました。お正月に向け、自分で作った注連飾りを教室や部屋に飾りたいと喜んでいました。

写真:注連飾りづくり

一方、お餅つきチームも大いに盛り上がりました。給食室で蒸されたもち米が運ばれてくると子供たちは目を輝かせ、早くつきたくてうずうずといった感じでした。

実際に餅つきが始まると重い杵に少しよろけながらも、力いっぱい振り下ろす姿はとても勇ましかったです。つく際には同じクラスの友達から「よいしょ!よいしょ!」の掛け声!まさに、クラス一体となってとなっていました。つきあがったお餅はすぐに小分けにされて子供たちへと配られました。

お餅を食べた子供たちからは、「すごくおいしい!」「自分たちが植えた稲のお餅は最高」など、お餅の味を堪能している様子でした。

写真:お餅つきチーム

収穫祭の最後には戸塚小学校の皆さんから、お米作りの歌のプレゼントがありました。3部構成となっており手拍子や、ボイスコンポジション、ボディーパーカッションや、リズムカノンありと工夫されたパフォーマンスになっており、一年間のお米作りが上手に表現されていました。

改ページ

写真:お米作りの歌のプレゼント

なお、今回の収穫祭は屋上水田のある戸塚区役所の横浜市南部農政事務所の方や、同じく屋上にある畑で作物を育てている市民ボランティアの皆さん、小学校PTAのご父兄の協力を得て実施したものです。都市部の屋上にある水田を中心に様々な人がつながるプログラムとなりました。

ビル屋上での稲作は食料の生産だけでなく、ヒートアイランド防止、景観向上、エコロジカルネットワーク形成、そして、地域の人と人をつなぐハブとしての機能を持っていることを再確認した1年間でした。

鹿島ではビル屋上の水田や菜園の設計施工に加え、維持管理のノウハウ提供や環境コミュニケーション活動の支援を行い、施設の有効活用をサポートしています。ご関心のある方は是非お問い合わせ下さい。(お問い合わせフォームへ

今後もいきまち通信の報告にご注目ください。
いきまちツイッターもよろしくお願いします!
餅つき、注連飾り当日の写真もUPされていますよ。

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業(第三回)

2013年10月

庁舎屋上庭園で小学生が稲刈り

鹿島は今年3月に竣工した横浜市戸塚区総合庁舎屋上で実施されている、小学生の稲作体験授業を支援しています。

田植えから4か月を過ぎ季節は秋、子供たちが植えた苗が収穫できるまでに成長しました。当初計画されていた稲刈り予定日の10月16日には台風が襲来し、稲刈りは急遽翌日に延期となりました。大雨と強風で稲の状態が心配されましたが、屋上水田にはしっかり穂をつけた稲が倒れずに実っていました。良かった!

地元の小学生たちも屋上に上がってきた瞬間歓声を上げていました。自分が田植えをした稲がここまで大きくなると感慨も大きいでしょう。夏休み中に気になって何度か様子を見に来た子も結構いたようです。

図版:屋上庭園のようす

全体で記念撮影を行った後、カマの使い方、作業工程を説明し、いよいよ稲刈り開始です。カマを使い、交代制で一人3株ずつ刈ってもらいました。田植えの時のように泥につかる必要がなく、比較的スムーズに作業が進みました。「切るときのジョリジョリっていう感触が楽しかった」「意外と簡単だった」という声も聞かれました。

写真:しっかり株をつかんで、カマを引いて…真剣です

しっかり株をつかんで、カマを引いて…真剣です

写真:刈った株は2人分まとめて束ねて干します

刈った株は2人分まとめて束ねて干します

改ページ

刈った株は2人分をまとめてわらで束ね、戸塚市内の竹林から切り出した竹で組んだ干し台(はさ)にかけ、一週間ほど「はさがけ」します。これは天日干しすることで残った水分を飛ばして米の品質や保存性を良くするために行われ、稲刈りでは欠かせないプロセスです。「化石燃料を使わない」、「ゆっくり乾燥が進むので米粒にひびが入りにくい」、「刈った後でもさらに実の熟成が進む」といったメリットも「はさがけ」にはあります。

自分で刈り取った稲穂を見て「これが米粒になるの?へぇ~」という声が何回か聞かれました。生産現場と食の距離が遠ざかっている昨今、「イネ」という植物と「コメ」という食物がつながっていることを実感してもらえました。

写真:はさがけのようす

今回収穫した稲穂は乾燥が終わった後脱穀し、精米します。
そしていよいよ次は稲作体験授業の最終回、12月に小学校で行う餅つき大会となります。

ビル屋上への水田の設置は、食料生産という面だけでなく、ビル内の空調エネルギー削減やエコロジカルネットワークの拠点機能さらには、都市部では貴重な自然とのふれあい機会を提供することができます。一方、通常の稲作と異なり屋上という環境下での維持管理技術にはノウハウが必要となります。鹿島では屋上水田の設計施工に加え維持管理のノウハウ提供や環境コミュニケーション活動の支援を行い、施設の有効活用をサポートしています。ご関心のある方は是非お問い合わせ下さい。(お問い合わせフォームへ

今後もいきまち通信の報告にご注目ください。
いきまちツイッターもよろしくお願いします!

いきまち通信のインデックスへ

改ページ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業(第二回)

2013年6月

その1 庁舎屋上水田で田植え体験!

鹿島は今年3月に竣工した横浜市戸塚区総合庁舎の8階屋上を利用して小学生の稲作体験授業を行っています。ビル屋上を利用した稲作は食料生産という面だけでなくビル内の空調エネルギー削減エコロジカルネットワークの拠点機能等多くのメリットがあります。一方、通常の稲作と異なり屋上という環境下での維持管理技術にはノウハウが必要となります。そこで鹿島では建設工事に加え維持管理のノウハウ提供を行い、施設の有効活用の支援を実施しています。

今回(6月10日)は、田植えを行いました。

8階の屋上水田には横浜市戸塚小学校5年生130名のほかに地元のメディアも来て大賑わい。体操服に着替えた小学生たちもやる気十分です。

水の張った田んぼに入り、慣れない感触に歓声を上げながら足を取られないよう踏ん張る様子が見られました。そして、班ごとに1列になり、苗を植えてもらいます。指先が見えない中手さぐりの作業になるため少しコツがいるのですが、スタッフの指示を受けながら浮き上がったり倒れたりしないようにみんなしっかり植えることができました。

図版:苗の植え方

改ページ

写真:田植体験のようす

生き物観察「ため池にはどんな生き物がいる?」

田植えの順番が回ってくるまでの待ち時間には、田んぼに隣接したため池の生き物観察をしてもらいました。池を真剣にのぞき込みながら子供たちは次々と生き物を見つけていきました。

「メダカがいる!お腹大きいね」、「アメンボが泳いでる!」。また、シオカラトンボも飛んで来て賑わいに花を添えました。スタッフの説明でお腹の大きいメダカは卵を育てている段階であること、アメンボは周りから飛んできて住みつくようになったこと、池の中の水草だけでなくため池のふちに生えているセリ(春の七草)などの植物も重要な役割を果たしていることなどを知ってもらいました。このような里山環境を復元した屋上水田が生き物の住み処になっていることを実感してもらえたようです。

写真:生き物観察のようす

改ページ

その2 庁舎屋上庭園で生き物観察!

都市部のビルの屋上に設置した水田は生き物の貴重な住み処として機能することが期待されています。鹿島では設計施工に引き続きどのような生き物が飛来するのかモニタリング調査を継続的に行い、生物多様性に関するデータの蓄積とプロジェクトへの反映を実施しています。

モニタリング活動の一環として、田植えから2週間経過した6月24日には、小学生とともに生き物観察を行いました。

食料生産以外に様々な生き物が暮らせる場として、水田の役割を子供たちに理解してもらうこと。また、自然と触れ合う体験を提供することも今回の目的です。

当日体験したのは、"水田とため池周辺のいきものスケッチ"、"実体顕微鏡での観察"、"サーモセンサーを使った屋上の温度測定"の3つです。

スケッチでは、まず各自が興味ある生き物を見つけます。稲はもちろん、ため池ではアメンボ、メダカ、ヒツジグサなど、周りではバッタなど色々な生き物を見つけ丁寧に描いていました。

写真:全体の様子

全体の様子

写真:ため池にどんな生き物がいるかな?

ため池にどんな生き物がいるかな?

実体顕微鏡では水田やため池周辺で取れた標本を観察してもらいました。20倍拡大なので水生昆虫やミジンコが動き回る様子がダイナミックに見え、歓声が上がりました。また、稲の葉やタチイヌノフグリの花のつくりを興味深く見ている子もいました。

写真:みんな顕微鏡を真剣に覗き込んでいます

みんな顕微鏡を真剣に覗き込んでいます

改ページ

サーモセンサーはサーモグラフィー(画像)が見える装置と数値のみ表示する装置の2つを用意し、水田の水面と壁面の温度のほかに床デッキや芝生などの温度を測って班ごとに記録してもらいました。

最後に結果をまとめたところ、水面の温度は20℃程度、デッキは30℃近くありました。また、芝生では枯れているところとそうでないところで差があることを見つけた班もありました。青々と生えているところの方が10℃近くも低かったのです。これらの差の一番の原因は「水分」だと考えられます。蒸発するときに周りの熱を奪うのです。これは水を取り入れた屋上緑化の効果を示す結果となりました。

 

写真:サーモセンサーで水田の温度を測る

サーモセンサーで水田の温度を測る

写真:サーモセンサーでの測定結果

サーモセンサーでの測定結果

2週間前に植えた稲はしっかり根付いて順調に成長しています。このあと夏を過ぎると花をつけ受粉し種もみができ、稲穂が垂れてくることでしょう。

次の授業は秋、稲が穂をつけてから稲刈りを行います。自分たちが植えた稲を収穫する喜びを味わってほしいと願っています。

いきまち通信のインデックスへ

屋上水田を利用した小学生の稲作体験授業(第一回)

2013年5月

戸塚区総合庁舎屋上に水田!

2013年2月、横浜市戸塚駅前に当社がPFIの構成員(設計・建設)として参画した戸塚区総合庁舎が完成しました。

この建物には区役所機能のほかにも区民文化センターのホールや地元農産物の直売コーナーなど住民のためのさまざまな施設が組み込まれています。そして、8階には屋上庭園が整備されています。

写真:戸塚区総合庁舎

写真:屋上庭園

屋上庭園の一部には、ため池、畑、水田が設けられており、近隣の横浜市立戸塚小学校の5年生がこの水田を利用して稲作体験する計画となっています。建物屋上に設けた本物の「田んぼ」で半年間もち米を育て、自然とふれあいながら、稲作や田んぼの役割を学習します。

改ページ

水田ってどんな役割があるの?

5月16日、田植えの準備のための第一回目授業として小学校の体育館に5年生約130人に集まってもらい、稲作に関する授業を行いました。いつもの教室とは違う体育館で、建設会社の社員による授業ということもあってか子供たちはいつも以上に元気そうです。本物の田んぼを利用した稲作授業を実施するのは、140年を超える戸塚小学校の長い歴史の中でも初めてかもしれないということで、先生方も期待に胸を膨らませているようでした。

まずは「田んぼ」の多様な機能について紹介します。

「田んぼの役割は?」と問いかけると次々と手が上がり、「田植えをするところ」「稲刈りをするところ」などと答えが出てきます。みんな田んぼの基本はおさえているようです。そして、「土の中の生き物とかカエルとかが住んでいる」という答えが出てきました。

田んぼ食料を生産する場となりますが、同時に、いろいろな生き物の住みかになったり周りの環境を向上させたりする役割も忘れてはいけません。

戸塚の郊外には「里山」と呼ばれる田畑や雑木林を中心とした自然環境がまだ残されており、そこに住む生き物が水田にやってくるかもしれないことも伝えました。

写真:小学校の体育館での稲作に関する授業のようす

写真:稲藁

改ページ

屋上ならではの特徴とは?

稲が育つためにはまずは水と土が必要です。しかし建物の屋上ではそれらが簡単に手に入らないので、さまざまな工夫をしていることを説明しました。

資源を節約するため水田に使う水は雨水をタンクに貯め利用していること、生物多様性に配慮して、田んぼの土は区内にある水田から分けてもらって運んできたこと、また、屋上水田からの蒸発散機能により、夏場のビル内の温度上昇を防ぐことができることを紹介しました。

クイズ・質問コーナー

後半には稲作に関するクイズに答えてもらいました。

いくつか載せましたので皆さんも考えてみてください(答えは一番下)。

写真:クイズ問題

お米一つでも社会・理科・国語などいろいろな分野にまたがっていることを理解してもらえたと思います。

最後に質疑応答コーナーを設けて、たくさんの子に気になることを聞いてもらいました。「なんでお米はおいしいの?」という哲学的な問いもあったりしましたが、生徒のみんながしっかり自分の頭で考えて話を聞いてくれていたことを感じました。

最後に「よろしくお願いします」の元気なあいさつで今回の授業はおしまいです。

今後の予定

来月には田植えの体験授業が予定されています。いよいよ屋上水田を利用した米作りがスタートします。ただ育てるだけではなく、田んぼの生き物観察、稲刈り後の餅つき・しめ縄づくりなどのイベントも計画されています。

普段食べているお米がどのように作られていくのか、田んぼが大切な自然環境であること、お米と日本文化の関係など、たくさんのことを体験して学んでほしいと願っています。

今後のイベントも逐次アップしていく予定ですのでご注目ください。

図:クイズ答え

いきまち通信のインデックスへ

お問い合わせ

ページの先頭へ