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  ア・コルーニャ  
 
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18世紀末〜現在/約200年間
光とガラスのファサード
 
 
地名ア・コルーニャはスペインガリシア地方での表記、ラ・コルーニャはカスティーリャ語による表記である。大西洋に臨むこの辺りの入り組んだ海岸線は「リアス・アルタス」と呼ばれ、日本語の「リアス式海岸」の語源になった。ラ・マリナ大通りはバスク人DON JUAN DE CIRROGA とFERNANDEZ DE LA BASTIDAの二人が計画し、18世紀末に最初の建物が建てられたという。
ファサードとは一般的に建築物の正面または正面玄関側の立面を指す言葉であるが、元来のフランス語ではその他に「表向き」や「うわべ」という意味も持つ。ア・コルーニャのラ・マリナ大通りに見られるガラスのファサードはまさにこの「うわべ」を纏ったつまり表層の建築である。
ア・コルーニャはスペインの西端ガリシア地方に位置する港町である。この地方は年間を通じて温暖で雨量が多い。そのため冬は陽の光を取り込み暖かく、夏は風通し良く涼しく過ごすためにガラスのファサードを纏った建築物が多くつくられたという。通り沿いの5〜6階建ての建物のファサードはガラスと白色の窓枠で統一され、港の鮮やかな陽光を映し出す巨大な反射板である。これらの建築物は躯体とは別に、その壁面の外側にもう一枚ガラスで皮膜をつくっていることになる。窓枠は木造で白ペンキで塗装されているが、海風をうけて傷んでいる部分もある。(近年はステンレス製のものもあるという。)
近年のガラス建築といえば、ガラス面積の確保が重要視されたデザインが多いように思われる。数多くの現代ガラス建築を見慣れている私たちが、このア・コルーニャで新鮮な感動を得ることができるのは、その細かな窓割りのデザインによるところが大きい。窓枠のデザインは遠くから見ると細かな彫刻が施されているかのようである。これらの建築物ができはじめたという18世紀から、現在までに何度も改修されてきたであろうそのファサードが未だにかつてのデザインを踏襲し、現代も町の顔として活きているのである。
マリア・ピタ広場はこの大通りを一歩入ったところに位置する。広場名マリア・ピタは16世紀町を守った勇敢な女性の名に由来し、広場の北側には市庁舎がある。他の3面を囲む建物は5階建てで、1階はポルティコ、4階にガラスと白い建具による出窓(というより壁自体が突出している)、そして最上階の壁面は少し後退して4階の出窓の上にバルコニーが設けられている家もある。まさに広場の縁に白い帯が掛けられているかのようである。
この白い帯はラ・マリナ大通りのファサードと共に町のシンボルとして印象付けられるであろう。この辺りは「ガラスの街」(CIUDAD DE CRISTAL)と称されている。
数世紀にわたり港の風景を映し出してきた巨大なガラスの「うわべ」は、今日も変わらず都市を包み込んでいる。(金子友美/昭和女子大学講師)

図版・参考文献:日本建築学会編『空間演出』井上書院、2000年
 
 
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