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  石畳の都市  

歴史が刻み込まれた石畳
 
 
たとえばローマ。フォロ・ロマーノの道はもちろんアッピア街道も、石がしきつめられている。都市とは石がしきつめられた場所であるという言い方も可能なのである。そのようなところでは、都市を歩くということは石畳を踏みしめることと同義なのだ。
街の歴史は、王宮や教会やタウンホールなどの大規模な建物によって先ず物語られるに違いないにしても、それらの建物を、そしてあらゆる都市の営みを文字通りに支えてきた石畳には、歴史がより確実に刻み込まれている。
石畳はもちろん一様ではない。石の色、形、粗さ、切り方、しき方など、地方ごとに、都市ごとに、あるいは場所によって、千変万化するのである。それらの微妙な相違を知り、楽しむことができるようになれば、都市の味わい方もいっそう深まりを増すだろう。
たとえば写真家・古舘克明が撮影した石畳を見れば、そこに都市の成り立ちを、そして栄枯盛衰のおおよそを知ることもできるように思われてくる。
撮影:古舘克明  

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ブラスティラバ
スロヴァキアの首都。高さ50mあまりの白いミハエル塔の門をくぐりぬけると、そこは中世の街並みにそのままに、石畳の狭い道が迷路のように続く。その先には旧市街の中心である4月4日広場がある。

ポルト
ポルトガルの港町。ポートワインで名高い。ポルトガルの街にはどこでも見られるが、ここは特にアズレージョ(青い彩色タイル)の壁面が美しい。それに呼応して、広場や道の各所には、石できれいな模様が描かれている。

オーデンセ
アンデルセンの生家があることで知られるデンマークの小さな町。写真突き当たりが生家だが、そこにいたる道の石畳は、建物際の部分、側溝、中央部分と、石の種類、敷き方を変えて、機能に対応し、また単調さを救っている。

シオン
13世紀頃と推定される石畳の坂道。石の庭とでも呼びたいほどの存在感がある。シオンの町は、紀元前5千年には人家があったとされるほど長い歴史を持つ。その静かな佇まいからは想像しがたいが、フランス、イタリア双方に近いことから、さまざまな勢力による争奪の絶えない土地だった。

リュブリアナ
スロベニア共和国の首都。建築関係者には、この街は何よりもヨゼフ・プレチュニク(1872〜1957)の活躍した場として知られている。ウィーンで巨匠オットー・ワグナーの下で修行したのち、故郷リュブリアナに戻り、言わばタウン・アーキテクトとして教会や図書館、そして橋や街路まで、幅広い設計を手がけた。街の中心を流れるリュブリャニツァ川にかかる三本橋も彼の手になるが、その橋のたもとにある広場の石畳がまことに美しい。

 
 
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