コラム

事故に学ぶ

近代的なダムでも、ダムの設計や地盤などに問題があると、漏水や決壊といった大事故に至る場合があります。ダムを造るにあたっては、こうした過去の事故の原因を突き止め、その対策を立てることが重要です。ここでいくつかの事故例を紹介しましょう。

○事故1(1928年):セントフランシスダム(アメリカ)
1928年、処女満水に達して7日目に岩盤崩壊によって決壊し、500人にも及ぶ死者を出す大惨事となりました。ダムの事故はこういった基礎岩盤の弱点が原因となる場合が多くあります。

○事故2(1959年):マルパッセダム(フランス)
1959年、ダム左岸部分が基礎岩盤とともに流され、ダム右岸は岩盤に着岩されたままだったため、ちょうど右岸を軸に回転運動を起こすようなかたちで破壊されました。ダムの水は津波となり、下流の11kmにも及ぶ地域に被害を与えました。

○事故3(1963年):バイオントダム(イタリア)
1963年のこの事故は、はじめての処女水位で、貯水池の地滑りが起こり大惨事となりました。原因は、岩盤が石灰岩で漏水しやすく、岩盤の亀裂を通って浸透した水が山崩れを誘発したためと見られています。

○事故4(1976年):ティートンダム(アメリカ)
1975年に完成したティートンダムは、完成から1年後、基礎が破壊してしまいました。パイピング現象が起こったことが原因とされ、数千戸の家が流され11人が死亡、1万3千頭の家畜が水死しました。

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