KAJIMAエコプラザ


KAJIMA ECO PLAZA

焼却施設解体におけるダイオキシン対策
廃棄物などを燃やすと発生する猛毒のダイオキシン。
その危険性がマスコミなどでも取り上げられています
今月は,ダイオキシンの発生源ともなる 廃棄物焼却施設の解体について紹介します。

 ダイオキシンは,わずかな量でも人間の体内に入ることで,ガンや奇形を生じさせる大変恐ろしい物質です。動物実験からいずれも強い急性の毒性が認められおり,殺傷力は「サリン」の約2倍あるとも言われています。
 ダイオキシンの発生別原因は,大半が廃棄物の焼却に伴うものですが,金属の精錬,紙の塩素漂白,農薬の製造過程でもつくり出され,我々の身近なものでは,タバコの煙や焚き火などにも含まれていることが判明しています。
 今日では,このダイオキシンの発生源である廃棄物の焼却施設の解体が注目されています。こうした背景には,2000年1月に「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行され,ごみ焼却施設などの排出ガス等の規制が強化,規制値をクリアしていない焼却施設の解体・更新などが義務付けられました。これを受け,解体時の作業員の安全・衛生,周辺環境配慮のための具体的解体指針が,2001年5月に厚生労働省から「廃棄物焼却施設解体作業マニュアル」として策定されました。今後,法的に不適応な焼却施設の解体・更新などの増加が見込まれています。
 当社では昨年8月,他のゼネコンに先駆け,当該マニュアルに基づく廃棄物焼却施設解体工事を静岡県内の大手医薬品メーカーの施設で行い,その後着実に実績を上げています。ここでは,廃棄物焼却施設の解体の,各段階における当社の技術を紹介しましょう。
 まず,施設解体に先行して行われるダイオキシンの汚染除去です。これは,作業員にとってもダイオキシンのばく露の危険性があり,後々の解体工事にも影響を与える重要なものです。当社は,煙突,ダクトなどの耐火材の表面に浸み込んだダイオキシン類を除去するために,超高圧水による表面のはつりを実施,その際,3次元専用ノズル等を用いた遠隔操作により,作業員がダイオキシンにばく露することを事前に防止しています。
 次に汚染除去後の解体作業では,原則としてダイオキシン類が気化する恐れのあるガス溶断等による切断は行わず,超高圧水による切断,または油圧によるせん断によって,有害物の飛散防止と騒音・振動の低減を考慮した安全な作業を進めています。
 さらに,ダイオキシン類で汚染された廃材の適正処理・処分においても,固化材と混ぜて最終処分場に埋め立てる一般的な方法だけでなく,高温焼却と熔融固化などの方法も用いた完全無害化による処分を実施しています。その上完全無害化後のリサイクルメニューまで取り揃えています。
 今後,当社では一般廃棄物及び産業廃棄物の大型焼却施設はもとより,小型焼却施設,下水処理汚泥焼却施設,斎場等の解体まで,お客先の幅広いニーズに対応すべく,様々な施設の解体処分に関するトータルエンジニアリングを提供していきます。
今後,廃棄物焼却施設の解体・更新が見込まれます 遠隔操作による煙突表面のはつり
今後,廃棄物焼却施設の解体・更新が見込まれます 遠隔操作による煙突表面のはつり
超高圧水による煙突の切断 作業員がばく露しないよう慎重に作業が行われます
超高圧水による煙突の切断 作業員がばく露しないよう慎重に作業が行われます