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KAJIMAダイジェスト

concept 「変なホテル」ウエストアーム

写真:客室棟パーク側夕景

客室棟パーク側夕景。客室内のCLT壁面とCLTのアートワークが間接照明に映える
(photo:西日本写房福岡)

「変なホテル」はハウステンボスに隣接する未来志向の宿泊特化型ホテルである。その名称には「変わり続けることを約束する」ホテルという意味が込められ,世界展開も視野に入れたハウステンボスの新事業のひとつとなっている。先進の技術を投入し,「これまでにない生産性の高い,しかも快適なホテル」を目指すとのミッションが提示された。

ホテル運営側では,計画当初より様々なロボットの導入が検討された。我々はそれらの日々進化する技術に呼応しつつも,客室のユニットは無駄のない適度な大きさにとどめ,さらに省エネに貢献し環境に優しい建築構法を選択しようと心がけた。

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敷地の法的制約,ホテルの要求条件を検証する中で木造という選択肢が浮上し,CLT*1という先進の木造素材と構法が選ばれるのに,さして時間はかからなかった。当時は大臣認定が必要となる新構法*2であったが,日本で初めてCLTを採用したホテルという先導的な役目も施主に評価され,ウエストアームのコンセプトには「木づかいのこころ」が深く浸透していった。

CLTは,構造性能,断熱性能,施工性(短工期),環境配慮(CO2固定化)など数々のメリットを有するが,一方で木肌を魅せる意匠的な素材でもあるはずだとかねがね考えていた。今回は防火と遮音の性能を確保しながら,内装の壁2面に「CLTの現し仕上げ」を徹底している。またCLTの母材は長崎県を含む九州産の杉にこだわり,地産地消・里山の再生を意識した。さらに歩廊の天井ルーバーなどにはCLT製作時に出る板材を活用し,室内のアートにはCLT加工後の端材を利用するといった「木づかいのこころ」が徹底されている。(野出木貴夫,高野 信)

*1:Cross Laminated Timber/直交集成板
*2:2016年4月にCLTの設計法等に関して,建築基準法に基づく告示が公布・施行された

図版:ウッドデザイン賞受賞

写真:壁面には,CLT加工後の端材を利用したアートワークを設置

壁面には,CLT加工後の端材を利用したアートワークを設置
(photo:ナカサアンドパートナーズ)

写真:北東側全景

北東側全景
(photo:西日本写房福岡)

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写真:スタンダードタイプ客室内観

スタンダードタイプ客室内観。ベッドボード側と窓側の2面に「CLTの現し」を実現
(photo:ナカサアンドパートナーズ)

写真:デラックスタイプ客室洗面所

デラックスタイプ客室洗面所
(photo:ナカサアンドパートナーズ)

写真:1階歩廊

1階歩廊。天井ルーバーはCLT製作時に出る板材を活用
(photo:ナカサアンドパートナーズ)

図版:「変なホテル」ウエストアーム(長崎県佐世保市)

「変なホテル」ウエストアーム(長崎県佐世保市)
ハウステンボスの隣接地に計画された未来志向のリゾート系宿泊特化型ホテル。ロボットの居るホテルとして人気を呼んだ「変なホテル」1期棟イーストアームと敷地を二分する形で2期棟ウエストアームがある。
実験的な意図もありそれぞれ違う設計者,異なる構法,設備にて施工され,生産性,快適性,環境性能などが比較されている。

発注者:ハウステンボス
設計:当社建築設計本部,九州支店建築設計部
規模:木造(CLT構造) 2F 延べ2,050m2
2016年2月竣工(九州支店施工)

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写真:野出木貴夫

野出木貴夫
(のでき・たかお)

建築設計本部
シニアマネージャー
主な作品:

  • ホテル日航福岡
  • 上原近代美術館
  • ホテルモントレ札幌,
    銀座 ほか
  • マルイト難波ビル

写真:高野 信

高野 信
(たかの・まこと)

九州支店建築設計部
建築設計部長
主な作品:

  • 九勧大名ビル
  • キヤノン湯布院あさぎり館
  • 道ノ尾病院
  • 群馬病院
  • みらい長崎ココウォーク

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