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TechnoFocus ~最新技術ニュース~

不断の研究と創造が社会に進歩と繁栄をもたらす――。
この理念のもと,当社は技術立社として絶え間ない技術の向上と研磨を礎に,
国民が豊かで安心・安全に生活できる基盤づくりや,我が国の産業競争力強化の一翼を担ってきた。
そして今もなお,次世代の独創的・先駆的な技術の創造を続けている。
このコーナーでは,最近のプレスリリースの中から,当社の幹となる技術にフォーカスし,
そのエッセンスを紹介していく。

[2016年12月27日発表]
新宿三井ビルディングに適用した超大型制震装置TMD「D3SKY®
11月22日発生の福島県沖地震で所期の効果を確認

2015年4月に制震改修を行った「新宿三井ビルディング」(東京都新宿区)で,昨年発生した福島県沖を震源とする地震において,想定通りの制震効果を発揮したことが,地震当日の観測記録から確認された。2016年11月22日午前5時59分頃,福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生。福島県などで震度5弱を記録,東北から関東の太平洋岸で津波が観測され,仙台港では1.4mの津波が観測された。東日本大震災時に長周期地震動の揺れが大きかった新宿エリアは震度3を記録。新宿三井ビルディング1階で観測された地震動は,東日本大震災時に観測された地震動のおよそ1/5の大きさだった。

同ビルには長周期地震動対策として,当社開発の超大型制震装置TMD※1「D3SKY(ディースカイ)※2」が6基設置されている。TMDとは超高層ビルの屋上に設置した錘の揺れにより,振動を抑える制震装置のことで,従来は風揺れ対策として用いられてきた。D3SKYはTMDを発展・応用させ,日本で初めて超高層ビルの地震対策として,三井不動産と当社が実用化した制震装置だ。

※1 TMD:Tuned Mass Damper
※2 D3SKY:Dual-direction Dynamic Damper of Simple Kajima stYle

写真:制震改修後の新宿三井ビルディング

制震改修後の新宿三井ビルディング

写真:屋上に設置されたTMD「D3SKY」(1基)

屋上に設置されたTMD「D3SKY」(1基)

制震改修設計に用いた建物解析モデル・設計手法の妥当性を検証するため,今回観測された1階の加速度波形を入力してシミュレーション解析を行い,実際に観測された建物頂部の揺れやTMDの挙動と比較した。建物の揺れ,TMDの挙動ともに解析結果と一致し,その精度が実証された。また,TMDの制震効果を評価するため,TMDを設置する前の建物モデルを用いたシミュレーション結果と,観測結果(TMDあり)を比較したところ,揺れの振幅の最大値が約30%低減。地震継続時間中の振幅の平均値(RMS値)についても,概ね半減した。建物頂部の変位の軌跡を比較すると,東西・南北両方向の揺れが半減していることを概観することができた。

当社は,長周期地震動による長く大きな揺れに対する居住者の不安を解消するため,既存超高層ビルへの有効なソリューションの一つである本技術を,今後も積極的に提案していく。

図版:建物頂部の変位の軌跡

建物頂部の変位の軌跡

改ページ

[2017年1月11日発表]
建設機械の自動化システム「A4CSEL®」に自動ダンプトラックを導入
日本初,運搬と荷下ろし作業を自動化し,大分川ダム堤体コア部で導入試験

現在,建設業では技能者の高齢化や若手就業者の減少などによる熟練技能者不足が喫緊の課題であると共に,建設機械と作業員が混在する作業が多いことから,労働安全性向上が求められている。これらに対応するため,当社は,一人で複数の建設機械をコントロールし,機械が得意である繰り返し作業は自動化することをコンセプトに,次世代建設生産システムの構築を進めている。従来のリモコンなどによる建設機械の遠隔操作とは異なり,予め複数の建設機械に対しタブレット端末で指示を出すだけで,あとは機械が自動的・自律的に運転・施工を行うのが特徴。既に2015年には,独自開発の自動振動ローラとコマツと共同開発した自動ブルドーザによる施工を五ケ山ダム堤体工事(福岡県筑紫郡那珂川町)のRCD工法で実現した。このシステムを「A4CSEL(クワッドアクセル)」と名づけ,研究・技術開発を継続的に行っている。

今回,大分川ダム堤体盛立工事(大分県大分市)において自動ダンプトラックの導入試験を行った。汎用ダンプトラック(コマツ製,最大積載量55t)にGPS機器や制御PC,自動化機器などを搭載し,「運搬」と「荷下ろし作業」の自動化に国内で初めて成功。ロックフィルダムである同ダムの堤体コア材盛立部で,自動ダンプトラックと既に開発済みの自動ブルドーザ,自動振動ローラを連動させた。コア材を積載した自動ダンプトラックが指示された位置まで自走,コア材を下ろし,自動ダンプトラックの退出信号を受信した自動ブルドーザが自動でまき出しと整形作業を行う。その後,自動振動ローラによる転圧作業へ。転圧範囲の形状は,埋設計器などがあり単純矩形ではないが,それに柔軟に対応しながら,複数の自動振動ローラが転圧作業を行う。

写真:コア盛立部での2台の自動振動ローラによる転圧作業

コア盛立部での2台の自動振動ローラによる転圧作業

ダンプトラックの自動化に成功したことにより,ダム工事における建設機械自動化システムの一連の流れを確認した。今後は,油圧ショベルの自動化など適用機種を増やすと共に,小石原川ダム本体建設工事(福岡県朝倉市)において,各自動建設機械の本格運用を行い,自動化システムの完成を目指す。

※A4CSEL(クワッドアクセル):Automated / Autonomous / Advanced / Accelerated Construction system for Safety, Efficiency, and Liability

改ページ

図版:A4CSELのダム工事での適用イメージ

A4CSELのダム工事での適用イメージ

写真: 自動ダンプトラックと自動ブルドーザの連動作業

自動ダンプトラックと自動ブルドーザの連動作業

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