KAJIMAエコプラザ

エコプラザ 洋上風力発電
近年,国内における風力発電の導入が急速に増加している。
新エネルギーの中でも最も期待されるものの一つとなっているが,その有望な立地場所として,エネルギー需要の多い都市の臨海部が注目を集め始めている。

 風車といえば,まず何を思い浮かべるでしょうか。どこかの絵本で見た,オランダののんびりとした牧場風景に出てくるような,緩やかに回り,小麦粉を挽く風車を思い浮かべる人は少なくないはずです。ところが,牧場が海に変わったらどんな光景になるか想像できますか? 
 現代の風車は,風のエネルギーで電気を起こし私たちの生活の役に立っています。日本でも最近急激に風力発電用の風車の建設が進んでいますが,陸上の建設に限られてきました。しかし,風力発電の先進国であるヨーロッパでは洋上に風車が建てられ始め,今後,大きな洋上風力発電プロジェクトが目白押しの状況です。
 海の景色は21世紀に入って一変しつつあります。なぜ,洋上風力発電が良いのでしょうか。理由はいくつかあります。一つは洋上の風速は陸上より2〜3割強く,発電量が5割以上も多くなることです。また,80mを越すロータ径(羽根直径)とタワーから構成される大型風車を輸送し建設するには,陸より海のほうが適しています。さらに,大量の風車を立てても地域住民に対して騒音や景観の問題を起こさないことも挙げられます。
 日本では,まだ洋上に風車が建設された実例はありませんが,近い将来に実現すべく検討が進められています。当社が参加している幕張風力研究会では官・学・民が結集して東京湾の幕張沖を想定し,事業性・建設工法・法規制・環境アセスメントなど多方面からの検討を行なっています。今,臨海は都市に新たな活力を吹き込むクリーンエネルギー資源として脚光を浴びています。
 日本は遠浅の海が少なく地盤が複雑である上,秋の台風や冬の荒波にも耐える必要があります。当社は長年培ったシーバースや重力式・杭式ドルフィンなどの海洋構造物に関する設計技術や洋上施工技術を駆使した,洋上風力発電施設の建設技術の開発に取り組んでおり,水深や地盤条件に合わせて最適な風力発電施設を提供します。
 風力は汲みせど尽きない自然の贈り物。遠からず日本の絵本には,青い海原とそれに似合いの緩やかに回る大型の風車の絵があたりまえのように登場するかもしれません。

風車の大きさ比べ図
風車の大きさ比べ図

幕張風力研究会の展示ブース 洋上風力発電基地
昨年11月に行われた
千葉エコメッセの
幕張風力研究会の展示ブース。
未来を担う子供たちも
多く訪れ,将来のエネルギー施設に
ついて目を輝かせていた
デンマーク・ミドルグリュンデンの
洋上風力発電基地
(2MW×20基)

風車のある沿岸イメージ
風車のある沿岸イメージ