特集:開業! 副都心線と新しい東急電鉄・東京メトロ渋谷駅
Chapter01 副都心線とは
三大副都心を貫く新路線
 副都心線は,東京圏の鉄道網整備計画で「都市高速鉄道13号線」として構想され,志木駅(埼玉県志木市)から和光市,小竹向原,池袋,西早稲田,新宿,神宮前を経由して渋谷駅に至る路線として策定された。このうち志木駅〜和光市駅間は東武東上線として,和光市駅〜池袋駅間は東京メトロ有楽町線として既に開業。今回,池袋駅〜渋谷駅間を結ぶ延長8.9kmが完成し,開通に至った。現時点では,「東京14号線」以降の構想はなく,東京メトロ最後の新規路線と言われている。
三大副都心を貫く新路線 和光市駅〜渋谷駅間の駅数は全部で16。このうち雑司が谷駅から渋谷駅までの7駅が新設された。副都心線という路線名は「東京都西部,埼玉県及び神奈川県と都心部との結節点である池袋・新宿・渋谷という三大副都心を縦断して走る」という路線の特色をイメージして名づけられている。同線は,池袋駅〜渋谷駅間を16分程度で結び,首都圏鉄道ネットワークの一翼を担う。
三大副都心を貫く新路線
広がるネットワーク
副都心線 副都心線は,2012年に渋谷駅で東急東横線と相互直通運転を行う予定。これにより埼玉県南西部から都心を経由し,横浜に至る首都圏の広域的な鉄道ネットワークが完成する。加えて,和光市駅〜渋谷駅間の全線では,東京メトロ初となる「急行運転」を実施。平日朝夕ラッシュ時には「通勤急行」も運転され,池袋駅〜渋谷駅間の所要時間は,JR埼京線・湘南新宿ラインと同等の11分となった。
 副都心線の開通に伴い,メトロネットワークの利便性の更なる向上だけでなく,JR山手線・埼京線などの既設路線や池袋・新宿・渋谷などのターミナル駅での混雑緩和,副都心線の上を走る明治通りの慢性的な道路交通渋滞の緩和などの効果も期待される。
路線図
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副都心線を走る10000系車両
副都心線を走る10000系車両。
東京メトロの最新車両で,丸みを帯びた正面と,副都心線のラインカラーである茶色の帯が特徴。
車両内部のドア上に東京メトロ初の液晶案内モニターを設置し,視覚による案内を充実させた。
2007−2008グッドデザイン賞受賞。
column 地下を縫って走る副都心線
 副都心線が走る明治通りの地下には,東京メトロ東西線や都営大江戸線といった他の地下鉄線に加え,電気・下水道など大規模なライフラインが多数埋設されている。同線はそれを縫うように計画されたため,アップダウンの多い路線となった。
 副都心線新宿三丁目駅のホームは,東京メトロ丸ノ内線と都営新宿線に上下を挟まれるように建設されている。このため,東新宿駅側からは,都営新宿線の上を交差していくことになり,両駅間の勾配は最大40‰(パーミル:1000m進むのに40mの高低差)。東京メトロ日比谷線三ノ輪駅〜南千住駅間の39‰を抜き,東京メトロで最急勾配の区間となった。
今回開通部分の路線図
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縦断面図
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 Chapter01 副都心線とは
 Chapter02 地下鉄をつくる その1(駅間トンネル編)
 Chapter03 地下鉄をつくる その2(駅舎編)