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検索 改正土壌汚染対策法

2010年4月1日,土壌汚染対策法が大幅に改正となり,施行されました。
2003年の同法の施行から浮彫りとなった課題の解決が狙いです。今月は改正した背景や概要,
当社の土壌汚染へつの取組みにいて,担当者に解説してもらいます。

土壌汚染は,水質汚濁や大気汚染と違い,土の中に浸透した有害物質がその場に留まったり,ゆっくり移動します。そのことが,地下水汚染や直接摂取の危険などの環境問題となっています。
土壌汚染対策法は,工場跡地の再開発などで,有害物質に汚染された土壌が発見されるケースが増加していた2003年,「土壌汚染対策の実施を図り,もって国民の健康を保護すること(第1条)」を目的に施行されました。

法改正以前の問題点

改正以前,「土壌汚染を調査しなければいけない」と定められていたのは,有害物質を取り扱っていた水質汚濁防止法上の特定施設の廃止時と健康被害のおそれがある土地でした。不動産取引に伴い,発見される土壌汚染が増えていましたが,約9割は法の対象ではない自主的な土壌調査で判明していたのです。

法律の適用範囲外の土地では,土地の所有者などが各々の判断で土壌汚染対策を行い,行政の管理下に置かれていないことも問題となっていました。

そこで,土壌汚染状況をきちんと把握し,適正な管理ができるようにと今回の改正に至りました。

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図:改正土壌汚染対策法の概念フロー

改正土壌汚染対策法の概念フロー

法改正のポイント

【状況を把握するための制度の拡充】

調査義務対象地に,3,000m2以上の掘削・盛土などによる形質変更時30日前までの届出義務が加わりました。

調査義務の対象でなくとも,自主的に行った調査結果を,任意で都道府県知事に申請できます。申請により行政から区域の指定を受け,法律に基づく調査とみなしてもらえます。

法改正以前は人の生産活動に伴って生じる土壌汚染に限定されていましたが,自然的原因で環境基準値を超過する特定有害物質を含んだ汚染土壌も法の対象となりました。

【規制対象区域の分類化】

改正以前は土壌汚染が存在する土地を一律に指定区域としていましたが,健康被害のおそれの有無で「要措置区域」「形質変更時要届出区域」と分類されました。前者は行政命令に基づく措置を行う必要があります。一方後者は措置を行う必要はありませんが,形質変更の14日前までに都道府県知事に届出を行なわなければなりません。

【汚染土壌の適正処理の確保】

汚染土壌を区域外へ搬出する場合,搬出の14日前までに都道府県知事に届け出ることが義務付けられました。また,汚染土壌を処理する場合は,運搬基準を守り,汚染土壌処理業許可業者に委託することや,搬出から処理までをフォローする管理票を交付し,それを5年間保管することが定められました。

【罰則規定について】

今回のこれらの改正点に対しても,行為者とその企業が罰せられる両罰規定が適用されます。

写真:講習では改正点を分かりやすく説明の写真

講習では改正点を分かりやすく説明

当社の取組み

当社は2003年の同法施行時,法令や条例の規制を受けない場合でも,汚染のおそれのある場合には調査の必要性を発注者に提言することを通達し,講習会やイントラネットなどで土壌汚染に対する基本的な考え方を示してきました。今回の改正に際しても,改正の通達と併せて,本社や各支店で講習会を開催し,改正のポイントや各部署で留意すべき点を説明しています。

土壌汚染に伴う様々な対応は,スケジュール,建設コストの両面で,事業計画に多大な影響を与える可能性があります。一連の講習会で,関連部署も改正法の内容を十分理解していますので,お客様に説明するとともに,スムーズに事業が進められるよう協力していきます。

当社は,環境大臣が指定する調査機関として,対策における豊富な実績をもとに,土壌調査,行政対応,対策技術の検討など,お客様の事業ニーズに合わせた最適な土壌汚染対策を提供します。

土壌汚染対策のエキスパートたち

環境本部・土壌環境グループ:土壌汚染の相談から始まり,調査,対策,アフタケアまで土壌汚染に関するあらゆるサポートを行う。「法の改正,社会通念の変化などから土壌汚染問題は避けて通れなくなっています。これらに対して,お客様に満足いただけるような対応をしていきたいと思っています」。

安全環境部:工事に伴って発生する環境影響や環境リスクを抑制するため,関連法令の解釈や会社方針の策定を行う。「環境法令は,施行通知まで読みこなさないと適切な運用ができません。現場ではそんな時間はありませんから,当社の業務に必要な内容を抜粋し,担当者に周知することで,現場での措置に漏れ落ちがないようにしています」。

技術研究所・地下水地盤環境グループ:土壌汚染の状況や土地の利用方法を考慮した,適用性の高い対策工法の評価などを行う。「現場土壌や地下水を用いた事前の適用性試験(トリータビリティ試験),土壌調査の結果を元にした解析評価などを行って,各種対策工法の適用性,適用条件を評価します」。

写真:上段左から:技術研究所・今立文雄専任次長/環境本部・地蔵典男リーダー 安全環境部・米谷秀子次長/環境本部・青山和史課長 下段左から:環境本部・脇本春樹グループ長,押野嘉雄本部次長,関 弘次長の写真

上段左から:技術研究所・今立文雄専任次長/環境本部・地蔵典男リーダー
安全環境部・米谷秀子次長/環境本部・青山和史課長
下段左から:環境本部・脇本春樹グループ長,押野嘉雄本部次長,関 弘次長

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Technology 当社のオススメ土壌汚染対策技術

 土壌を汚染する有害物質は,大きく揮発性有機化合物(VOC),重金属・農薬,法対象外の油に分かれます。当社は土壌汚染調査,解析・評価,対策工事の豊富な実績を有し,汚染の種類や程度,周辺環境などを考慮した最適な技術を提案します。

エンバイロジェット®工法

当社とグループ会社のケミカルグラウトが共同開発した土壌汚染対策工法で,地上からの掘削をせず,地盤中の汚染された特定深度のみの汚染に対して土壌を浄化する技術。地上にわずかなスペースがあれば,既存建物や配管の直下の土壌汚染にも適用できる。

写真:高圧噴流(デモ) の写真

高圧噴流(デモ)

バイオレメディエーション

微生物などが持っている化学物質の分解能力や蓄積能力などを利用して,有害物質(VOCや油など)で汚染された土壌を修復する技術。活性化剤を注入することで,微生物の活動,増殖を促す。当社は,お客様の土地ごとに適用性の検討を行い,施工している。 

写真:活性化剤 注入装置の写真

活性化剤注入装置

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