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鹿島グループ中期経営計画(2015~2017年度)

「鹿島グループ中期経営計画(2015~2017年度)」が5月に発表された。
これは2020年度までの当社グループの中期的な経営の方向性を示し,
同時に2015年から2017年度まで前半3ヵ年の経営計画を表したものである。
押味社長が中心となり推し進める中期経営計画は,当社がさらなる飛躍を果たすための一里塚となる。
ここでは,その概要について解説する。

国内建設市場の見通し

建設市場の見通しと経営状況

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や震災復興事業,防災・減災対策などを手がかりに,建設需要は近年にない高まりをみせている。しかし,2020年以降に目を投じると,国内建設市場は横這いから縮小に転じ,受注を巡って再び企業間の競争が激しくなっていく可能性が高い。さらには,首都圏をはじめとする大都市への投資の集中や維持補修・リニューアル案件比率の高まりなどマーケットの質も変容していくものと思われる。このような市場環境の変化に対応するためには,生産性向上のみならず,優位案件の創出,抜本的な技術開発の推進など,様々な分野で将来を見据えた柔軟な舵取りが求められる。建設業界は,大きな過渡期に差しかかろうとしている。

その一方で,当社は2007年度以降,十分な単体営業利益を計上できない状況が続いている。本業の建設事業が低迷しているためである。これとは対照的に国内・海外の関係会社は好調で,2014年度には国内・海外ともに190億円前後の経常利益を計上した。

こうした状況下,当社は「鹿島グループ中期経営計画(2015~2017年度)」を策定した。喫緊の課題である建設事業の利益回復に主眼を置きながら,当社各部署と着実な成長を遂げている国内・海外関係会社のポテンシャルを最大限に引き出して業績向上を目指す計画である。過去の経営計画と大きく異なるのが,2015年~2017年度までの3ヵ年だけでなく,2020年度までの中期的な経営の方向性についても言及している点。近い将来に大きく転換する建設市場の展望を見据え,市場の変化に対応できる体制の整備を図っていく。

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図版:国内建設市場の見通し

基本方針

基本方針と数値目標

本計画では,2020年度までの中期的な方向性について3つの項目を基本方針として定めている。ひとつ目が「単体建設事業の利益率向上」である。グループ業績向上には,中核事業である単体建設事業の利益回復が欠かせない。売上高1兆円程度を維持しつつ,規模の拡大より利益率の改善により増益を図る。

次に「先駆的な価値ある建設・サービスの提供」。市場環境の変化を捉えて事業内容を進化させ,未開拓の顧客ニーズにも応える。当社グループの強みを活かせる事業領域を拡大し,グループ一体となった事業戦略を展開していく。最後が「成長に向けたグループ経営基盤の確立」で,社内部署・グループ会社間が連携する仕組みを整備・強化し,好循環を生み出す中長期的なグループ経営基盤を確立する。本業の利益回復を将来収益分野への経営資源投入につなげることで,さらなる成長を遂げるというスパイラルアップを目指していく。

この基本方針に基づき,経営計画では業績数値目標を定めた。連結売上高は,2015年度から1兆7,500億円程度を維持し,連結経常利益で2015年度430億円,2017年度650億円,2020年度には850億円以上の達成を目指す。連結有利子負債は戦略的な投資を見込んで現状規模の2015年度3,800億円以下,2017年度3,700億円以下を目標としている。

図版:基本方針

年度別経営数値目標

図版:年度別経営数値目標

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事業戦略

事業戦略

基本方針に基づく,具体的な事業戦略は「単体建設事業の再生・強化」「グループ全体の強みを活かせる事業領域の強化・拡大」「グループ経営基盤の整備」の3点だ。

まず,今回計画の要である「単体建設事業の再生・強化」については,3ヵ年計画の最初の2年間を「構造改善期間」として位置づけ,現下の単体建設事業の低利益・施工逼迫状況への対策を集中的に実施。社員の機動的な配置や生産性向上などに意欲的に取り組み,単体営業利益200億円以上を安定的に計上できる体制を確立する。

また,「鹿島グループの強みを活かせる事業領域の強化・拡大」と「グループ経営基盤の整備」についても,初年度から“計画的に”実施し,取組みを拡充させていく。国内開発事業や海外事業に対する前向きな投資とともに,エンジニアリングや建物管理など,施工の上流・下流分野への取組みをグループ一体となって展開する。さらに,これらの施策に実効力を持たせ,業績向上に直結させるために,事業運営体制や経営資源配分の見直しなど必要な施策をタイムリーに実施していく。

こうした事業戦略の推進により,当社単体利益のさらなる拡大とグループ内連携強化が相乗効果を生み出し,事業内容の質的向上と連結利益水準の底上げが図られる。数値目標や各施策の達成状況についても,今後定時的に評価していく。

図版:事業戦略

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