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300mに凝縮された技術と情熱 横浜環状北線鉄道交差部新設工事

道路橋の工事でありながら鉄道工事である──。ここで働く人々は,そう口を揃える。
鉄道営業線10線の上空では,深夜に土木史上稀に見る厳しい工事が繰り広げられた。
そして今年2月末,着工から4年半で線路直上部すべての桁架設を無事故・無災害で完了した。
当社JVが担当した区間は約300m。車で走れば一瞬だが,この橋梁には高度な技術と人々の情熱が凝縮されている。

写真:線路直上桁架設完了

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Prologue 鉄道交差部と呼ばれる橋梁工事

横浜市鶴見区の工事現場から眼下を見下ろすと,数多くの線路が並んでいる。通勤ラッシュの時間帯には,東日本旅客鉄道(JR東日本)の京浜東北線や東海道本線,横須賀線,そして京浜急行線の列車がひっきりなしに通り過ぎていく。東海道貨物線(高島線)を含めると10線となり,1日に通過する列車は約2,000本。さらに,東京と横浜中心部を結び,かつての東海道を前身とし,第一京浜国道とも呼ばれる国道15号が線路に並行して通っている。

ここは,当社JVが2011年9月から工事を担う「横浜環状北線鉄道交差部新設工事」の現場だ。現在,横浜市と首都高速道路(首都高)が整備する「横浜環状北線」(開通後は「横浜北線」と呼称,以下「北線」)および横浜市道「岸谷生麦線」の一部となる道路橋の施工を行っている。北線は,横浜市の交通ネットワークの骨格を形成する「横浜環状道路計画」の北側区間に位置し,第三京浜道路「港北ジャンクション」と首都高速横羽線「生麦ジャンクション」を結ぶ,往復4車線,設計速度60km,延長約8.2kmの自動車専用道路である。2000年度に県知事により都市計画決定され,2001年度から首都高が事業主体となり,2016年度末完成(馬場出入口を除く)をめざし,建設事業が進められている。地域の活性化,利便性の向上,生活環境の改善が期待されている。

この橋梁は,交通の大動脈上で行われ,出入口も併設し,7本もの桁を有する。桁は縦・横に曲線を描き,それぞれが異なる形状で桁幅も変化する。この複雑な構造物を,桁が密接するなか,線路直上で造るのだ。そのことから,首都高から高度な技術力を持ち,鉄道事業の主体であるJR東日本に2011年度に工事委託され,同社が設計・施工監理を行っている。

作業時間は,鉄道工事と同様に,終電から初電までの数時間。これが鉄道交差部と呼ばれる工事であり“道路橋の工事でありながら鉄道工事”と言われる所以である。

【工事概要】

横浜環状北線交差部新設工事

場所:
横浜市神奈川区子安台~鶴見区岸谷
事業者:
首都高速道路,横浜市
受託者:
東日本旅客鉄道 東京工事事務所
設計者:
ジェイアール東日本コンサルタンツ・
日本交通技術設計共同企業体
施工者:
鹿島・前田・京急建設共同企業体
規模:
橋梁本数7本
橋長286.17m(最大)
上部工―3~4径間連続鋼床板箱桁橋
下部工―鋼製T型橋脚6基
基礎工―開削工法
(CSM土留+深礎基礎)3基,
ケーソン工法(ニューマチック・
スリムケーソン)3基
工期:
2011年9月~2017年3月(予定)

図版:地図

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図版:完成予想パース

完成予想パース

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