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THE SITE

両坑口から鹿島が掘り進む山岳トンネル

41号高山国府トンネル国府工区工事,高山工区工事

豊かな自然風土と古い町並みが人々の心を誘う飛騨高山。
近年は海外から訪れる観光客も多くなった。幹線道路が少ないこの地区では,
交通渋滞の解消が課題となっており,現在,高山国府バイパスが整備されている。
当社は,同バイパスのトンネル部「高山国府トンネル(仮称)」を両坑口から掘り進めている。
2工区で発注された工事を,両工区とも同じ企業が施工するのは,
全国的にも珍しいケースである。

高山国府バイパス

国道41号は,名古屋市を起点とし富山市に至る延長約250kmの主要路線で,中部圏と北陸圏を結ぶ重要な路線である。飛騨高山地区においては,高山市と各市を結ぶ生活道路となっていることから,朝夕の通勤時間帯などに交通渋滞が頻繁に発生している。

高山国府バイパスは,高山市街地から高山市国府町を結ぶ総延長6.3kmの国道41号のバイパス道路。渋滞解消に加え,自然災害などにより同国道が寸断した場合の迂回路としても期待されている。また,中部縦貫自動車道高山清見道路を経由し,東海北陸自動車道へのアクセス機能も有し,広域交通に対しても重要な役割を持つ。

同バイパスのうち,高山I.C.から高山市国府町の間に位置するのが延長約3.3kmの高山国府トンネル(仮称)である。

地図

地図

工事概要

平成19年度41号高山国府トンネル国府工区工事

場所:
岐阜県高山市
発注者:
国土交通省 中部地方整備局
規模:
NATM 本坑—施工延長1,629m、
内空断面積60.5m2/避難坑—施工延長1,612m、
内空断面積15.5m2 その他
工期:
2008年3月〜2011年3月(中部支店施工)

平成20年度41号高山国府トンネル高山工区工事

場所:
岐阜県高山市
発注者:
国土交通省 中部地方整備局
規模:
NATM 本坑—施工延長1,630m、
内空断面積60.5m2/避難坑—施工延長1,653m、
内空断面積15.5m2 その他
工期:
2008年10月〜2011年6月(中部支店施工)
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岐阜県高山市に位置する高山国府トンネル(仮称)は,高山国府町側から南に掘削する国府工区と高山IC側から北に掘削する高山工区の2工区が,国土交通省の総合評価方式で発注され,両工区とも相次いで当社が受注した。上下1車線の道路トンネル(本坑)と火災発生時などの緊急用トンネル避難坑,2本のトンネルをつなぐ避難連絡坑をNATMで構築する。

先に工事を開始した国府工区は,契約区間である約1.6kmの掘削を既に今年3月に終えた。現在,両工区を受注したメリットを活かし,高山工区の工事として,工区境を越えて国府工区側からも掘り進め,掘削ピッチが上がる。今夏貫通予定。

写真:高山工区坑口

高山工区坑口

地域への配慮と“ド・ミ・ソ”への対応

高山工区(寺村文伸所長),国府工区(竹市篤史所長)を統括するのが,中部支店高山国府トンネル工事事務所の山下幸次統括所長である。会社人生の半分となる約20年,山岳トンネルを担当してきた。「完成すれば地域が享受するメリットは大きい。しかし,地域の理解を得られなければ工事が進められない。それがトンネル工事だ」と語る。工事内容の説明,小学生を対象とした重機試乗会の開催,清掃・草刈りへの参加など,頻繁に地域とのコミュニケーションを図る。地元のお祭りにも積極的に足を運ぶ。

また,トンネル工事を左右する基本的要因をド(土)・ミ(水)・ソ(空)と説き,土質や湧水,坑内の空気環境への対応が基本だと所員に伝える。
山下統括所長のもと,所員一丸となり,トンネル工事の最大の醍醐味である「貫通」の瞬間を目指す。

写真:山下統括所長。長年トンネル工事を担当してきたが,鹿島同士で貫通を迎えるのは初めての経験

山下統括所長。長年トンネル工事を担当してきたが,鹿島同士で貫通を迎えるのは初めての経験

写真:見学会などを積極的に開催し地域とのコミュニケーションを図る

見学会などを積極的に開催し地域とのコミュニケーションを図る

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施工方法の工夫と技術力,情報共有がキーワード

「施工方法の工夫と技術力が両工区の受注につながった」。寺村所長と竹市所長は声をそろえる。中部支店の土木部,営業部に加え,本社の土木管理本部,技術研究所,土木設計本部などと協力し,施工を合理化する様々な方法や技術を提案した。特徴的なのは,避難坑を先行させながら本坑と避難坑を同時に掘削する方法だ。避難坑掘削時に,切羽前方の地盤状況などを事前に探査する手法を全区間で採用。地山情報を本坑掘削に引き継ぎ,安全な施工環境を実現した。

多量の湧水が予想される場所では,より高度な探査手法を適用し,切羽崩落や突発湧水などのリスクを低減させた。両所長は情報共有も重視する。先行する国府工区の施工ノウハウが,全て高山工区へ引き継がれる体制を確立し,両工区とも当社が受注したメリットを最大限引き出す。

 

写真:切羽前方の地盤探査を全区間で採用

切羽前方の地盤探査を全区間で採用

写真:先行した国府工区の避難坑を案内してくれた川野広道工事課長(右)と蕨岡覚工事係

先行した国府工区の避難坑を案内してくれた川野広道工事課長(右)と
蕨岡覚工事係

図:高山国府トンネル(仮称)断面イメージ。本坑,避難坑,避難連絡坑をNATMで構築

高山国府トンネル(仮称)断面イメージ。本坑,避難坑,避難連絡坑をNATMで構築

図:トンネル断面

トンネル断面

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重機ごとの“くせ”を見抜く

昼夜2交代で施工サイクル(削孔,装薬,発破,ズリ出し,支保工建込み,金網取付け,吹付けコンクリート,ロックボルト打込み)を繰り返し,日々トンネルの掘削距離が伸びていく。計画どおりに工事を完了するには,確実にサイクルを回していかなければならない。労務や資材の調達,地質条件など考慮すべきことは多いが,24時間稼動を続ける重機は,決して止めることはできない重要なポイントとなる。山岳トンネルでは,削孔をするドリルジャンボ,ズリ出しをするダンプ,吹付け機など稼動する重機は様々。

これらの稼動を支えているのが,江崎信哉機電課長,堀部貴宏機電課長代理,大久保泰機電係である。江崎機電課長は,国府工区で得た情報を細かく記録に残した。重機ごとにメンテナンスが必要となるタイミングを記録したものだ。建設現場の重機は,乗用車や生産機械と異なり,定期的なメンテナンスだけでなく施工環境により特別なメンテナンスが必要となる。いわば重機ごとの“くせ”を見抜くのである。「この情報を高山工区に引き継いだので,大きなトラブルは無い」と堀部機電課長代理は話す。

写真:サービス建屋(手前)・コントロール建屋(奥)。後ろは津軽海峡

装薬用の削孔を待つドリルジャンボ。
左から堀部機電課長代理,
江崎機電課長,大久保機電係

人づくりも現場の大切な仕事

尾村大輔工事係は入社3年目。高山工区が初めての現場となる。慣れないながらも現場での体験を通じて,施工管理とは何かを学んでいる。指導するのは千葉晃一工事課長と宮本一成工事係。現場を訪れた時,ちょうど坑内で支保工建込み作業が行われていた。千葉工事課長の厳しい言葉が飛ぶ。「QCDSEを預かる身,若いからといって甘えは許されない。この現場で一つでも多くのことを吸収して,次の現場では一人前の現場マンとして活躍して欲しい」と願っているという。「モノづくりだけでなく,人づくりも大切な仕事ですよ」。

写真:尾村工事係に支保工建込みの 管理ポイントを指導する千葉工事課長(右)

尾村工事係に支保工建込みの管理ポイントを指導する千葉工事課長(右)

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地域の生活を守る

「山岳トンネルとしては土被りが浅く,町の中にあるトンネルを掘っている感覚だ」と竹市所長は言う。トンネルルート直上には地域の生活が存在する。騒音,振動,低周波への配慮は不可欠。トンネル坑口には,防音扉を設置し対応した。

また,トンネル掘削により地下水位が変化し,稲作用の水源が一部で枯渇する可能性があることがわかった。その対策として,ため池工事と水田へのパイプラインを引く工事が追加となる。この工事を担当したのが,日野博之工事係。「責任とプレッシャーを感じる工事だった」と振り返る。昨年の冬は雪が多く,なかなか予定の工事を進められなかったという。田植えが始まるまでには絶対に工事完了しなければならない。天気図をにらみながらムダの無い施工計画を立て,2009年4月中旬に無事完成させた。地域生活を守る仕事である。

写真:坑口に防音扉を設置。本坑には防音扉2基を設けた

坑口に防音扉を設置。
本坑には防音扉2基を設けた

写真:ため池の前で日野工事係。責任とプレッシャーに打ち勝った

ため池の前で日野工事係。
責任とプレッシャーに打ち勝った

写真:国府工区の坑口で,がっちり握手をする高山工区の寺村所長(右)と国府工区の竹市所長。「残り少しですが,気を引き締めていきます」。今夏予定の貫通式でも,このシーンを見ることができる

国府工区の坑口で,がっちり握手をする高山工区の寺村所長(右)と国府工区の竹市所長。「残り少しですが,気を引き締めていきます」。今夏予定の貫通式でも,このシーンを見ることができる

写真:高山工区坑口

トンネル坑内に,国府工区,高山工区の全員が集合した

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Column1 飛騨牛のお産に立ち会う

地域環境への配慮は,人だけではない。ブランド牛・飛騨牛の産地であることから,牛にも気を配る。「地元牛舎監視システム」を開発し,発破時に,騒音,振動などで異常行動をとらないかをWEBカメラで監視している。特に神経を使ったのが出産時。竹市所長は牛舎でお産に立ち会った。産まれてきた子牛が,息をしたのを確認したとき,周囲は安堵感に包まれたという。

写真:「地元牛舎監視システム」で飛騨牛への影響を監視

「地元牛舎監視システム」で飛騨牛への影響を監視

Column2 所員の健康を「食」でサポート

休日以外は,宿舎生活となるトンネル工事。張り詰めた仕事の中,何よりの楽しみが食事の時間である。「みんな若いので肉を出してあげたいのですが,健康のため,魚,野菜,酢の物などのヘルシーな料理にしています」と高山工区の水口さん。メタボ体型の人には,強制的にカロリー計算された特別メニューを提供する国府工区の佐藤さん。健康あってこその現場マン。力強いサポーターだ。

写真:水口さん(右)と佐藤さん

水口さん(右)と佐藤さん

輝ける旬の女性たち
鹿島の見える風景作品集

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