ホーム > KAJIMAダイジェスト > June_2013:特集「The synergies of KAJIMA Group」 > Case2 投資を呼び込む ~顧客の意思決定を支援~

KAJIMAダイジェスト

Case2 投資を呼び込む ~顧客の意思決定を支援~

金融で付加価値を高める

企業にとって投資は,永続的に成長していくために欠かせないものである。しかし,製薬メーカーの研究開発など中長期的な視点でリターンを追求していく投資は,短期的には収益を圧迫する可能性があり,高度な意思決定が求められる。特に,新たな研究施設の建設を伴う投資には,土地や建物建設に関わる資金が課題となり,投資判断を一層難しくさせる。この資金調達を不要にするソリューションが,鹿島リース(東京都港区)が提供する「建物リース」という仕組みだ。1984年の設立当初から,鹿島本体の建設事業に金融面で付加価値を高める新事業を模索してきた。その後,鹿島施工の建物についてリース方式を中心に事業展開し,これまでの実績は全国で50棟にのぼる。

図版:鹿島リース 多田純也部長(左)と伊勢聖部長代理

鹿島リース 多田純也部長(左)と
伊勢聖部長代理

この方式は,同社が建設予定地を借地し,顧客の要望に沿った建物を建設,竣工後に建物を賃貸するスキームだ。リース方式では,初期投資をせず建設資金を年度ごとに賃料として平準化して処理できるのが最大のメリットとなる。リース契約期間終了時に,契約継続,建物購入,契約終了など,その時の財務戦略により選択肢があることも特徴である。「お客様からは,ファイナンスだけでなく,建物資産をオフバランス化できることも評価を頂いています」と企画総務部の伊勢聖部長代理。国際会計基準へ対応している外資系企業などからも注目度は高いという。

図版:「建物リース」の事業スキーム図

「建物リース」の事業スキーム図

改ページ

建設系リース会社の強み

建設系リース会社として,建設・不動産に関する豊富なノウハウを活かしていることも強みの一つである。「通常であれば顧客企業が行う土地所有者や行政,建設会社との交渉ごとを,全て私たちが代行します」と建物リースの営業を担当する営業第二部の多田純也部長は話す。建設工事に関わる諸々の事務業務を,鹿島本体の営業担当と連携しながら対応していく。建設に関する知識がなければ難しく,他のリース会社との差別化要素にもなっている。

「最近は,施設の運営・管理も含めたリースのご依頼が多くなっていますね。コアとなる事業に経営資源を集約し,施設の建設や運営・管理はアウトソーシングしたいという企業も増えているからです。そのニーズとも合致しています」(多田部長)。運営・管理業務については,鹿島建物総合管理(東京都新宿区)と連携し提案を行っている。

現在,この方式は研究施設の建設だけでなく,商業施設や物流施設などの実績も増えてきている。「今後は,学校施設や学生寮も対象になるのではないか」と多田部長。建設事業に金融という価値がプラスされ,企業の設備投資を呼び込む契機を生み出している。

図版:2010年に鹿島リースの「建物リース」を用いて建設されたアスビオファーマ新神戸研究所(神戸市中央区)

2010年に鹿島リースの「建物リース」を用いて建設されたアスビオファーマ新神戸研究所(神戸市中央区)

改ページ

エンジニアリング力でリスクを評価

企業が投資判断をする場合には,幅広い視野でリスクを捉え,意思決定を行う必要がある。企業を取り巻く様々なリスクをマネジメントする会社がイー・アール・エス(東京都港区)である。当社と地質調査を専門とする応用地質(東京都千代田区)が出資する会社で,両社が培ったエンジニアリング力を武器に,不動産価値,自然災害リスク,土壌汚染リスクなどを正確に評価し,不動産証券化,M&A,BCM/BCPにおいて顧客の事業戦略を支援している。

図版:イー・アール・エス 広中良和社長

イー・アール・エス 広中良和社長

近年,注目されているのが「立地特性調査サービス」という意思決定支援サービスだ。企業が本社や事業所などの拠点を新設,移転する際,建設候補地ごとに,立地特性を総合的に評価して顧客に提供する。評価項目は,地震,液状化,津波,洪水などの危険度から,交通至便性,防災・防犯環境など顧客ニーズに合わせ選択できる仕組みとなっている。「データセンターの用地検討では〈金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準〉により,リスク評価が求められていることから,特に好評を頂いています。また,東日本大震災以降は,自社施設のBCM/BCP対策としても活用してもらっています」と同社の広中良和社長は話す。

顧客の意思決定を支援するリスクマネジメントは,今後も様々なシーンでの活用が期待できそうだ。

図版:立地特性調査サービス

立地特性調査サービス
建設候補地に関する様々な調査・解析を行い,立地特性を評価・比較するサービス

ホーム > KAJIMAダイジェスト > June_2013:特集「The synergies of KAJIMA Group」 > Case2 投資を呼び込む ~顧客の意思決定を支援~

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ