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KAJIMAダイジェスト

file-8 ダイバーシティ推進担当

図版:土山淳子さん

土山淳子

(つちやま・じゅんこ/北海道出身/英文学科卒)
人事部 担当部長(ダイバーシティ推進担当)兼 北海道支店 管理部 担当部長

1979年入社。札幌支店(当時)総務部総務課で人事関連業務を担当する。2000年総合職に職務変更後,本社人事部に異動,新人事システムの構築などに尽力する。2003年人事一課担当課長,採用活動全般を担当。2007年北海道支店管理部総務グループ長。2009年からは人事部兼務となり,2011年人事部担当部長。2014年6月より現職。ストレス解消法は週末深夜に没頭する洋裁。

人事部でダイバーシティ推進担当者として活躍する土山淳子さん。入社以来,人事業務に携わるプロフェッショナルだ。土山さんの仕事は,事務系の採用活動全般,各種研修での講師役,個別人事相談からセクハラ・パワハラ相談など,人材育成・管理に関わる仕事を一手に担当する。ダイバーシティ推進の核として取り組む女性活躍推進関連業務では,女性の職域拡大のためのハード・ソフト両面での環境整備に尽力する。「入社してからずっと,性差に関係なく,能力があればやりたいことが実現できる会社にしたいと思ってきました。いま,自分の仕事としてダイバーシティを担当できることをとても嬉しく思います。人事の仕事は,100人いたら100通りの答えがある。だからおもしろい」。

土山さんのダイバーシティ推進の原点ともいえるエピソードがある。女性社員の育成の機会がなく,誰も考えてくれないなら自分がと思った土山さん。入社7年目の時,支店の女性の新入社員研修とフォローアップ研修の実施を提案。研修内容から講師の選定,スケジュールまですべて自分でコーディネートし,その企画を実行した。「私が東京に転勤になるまでの12年間,継続的に研修を行いました。途中から年次研修もプラスして,支店内で女性社員全体のモチベーションアップにつなげました」。

2007年5月から今年4月までの6年半,土山さんは北海道支店管理部の総務グループ長を務めた。全国初の女性支店総務グループ長という画期的な人材登用に,当時注目が集まった。一方,これまでの人事部での活躍が惜しまれ,2009年からは人事部を兼務。二足のわらじを履き,札幌と東京を行き来する生活を続けてきた。

総務グループの仕事は,人事・総務・ITから,現場を管理する衛生管理・契約・購買業務など多岐にわたる。法律や会社規定に則った判断を強いられる仕事であるため,「ノー」といわなくてはならない厳しい場面が多々ある。この6年半,土山さんは人知れぬ苦労があっただろう。「総務の仕事は,私一人の力でできるものではありません。13名のグループ員は,各々専門分野で力を発揮してくれました。さりげない気配りのできる人たちで,お互い助け合って仕事をする姿は,感動すら覚える毎日でした。文句の受け皿となることの多い仕事なので,できるだけ気持ちよく働ける環境にしたいと思ってきましたが,私の方が助けられていましたね。長い間,本当にありがとう」。

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6月から,人事部担当部長が本務となった土山さん。総務グループ長を経験したことで,本社・支店・現場の職場環境を把握することができた点は,今後のダイバーシティ推進業務に大いに役立つ結果となった。「いまは女性にスポットがあてられていますが,大介護時代の到来を背景に,これからは男女問わず,様々な境遇のもとで働く人々が活躍できる職場環境を構築していく必要があります。より一層,輝ける社員たちが増えるよう,舵取り役となってダイバーシティ推進に取り組んでいきます」。

図版:土山担当部長へ

Voice 女性活用を核としたダイバーシティ推進への期待 人事部 真辺文宏 人事部長

業界全体を牽引する女性リーダー

土山さんには,2000年秋,北海道支店で磨いたスキルを全社の人事実務に活かすとともに,支店とは異なる環境のなかで,視野を拡げ,更に成長して頂くことを期待して,人事部へ異動してもらいました。主に,採用活動全般,一般職異動配置業務,育児・介護休業者対応,メンタルヘルスやハラスメントを含む個別の人事相談窓口,次世代育成支援計画などを担当。女性活躍推進関連業務として厚生労働省主催の「人事研究会」や,21世紀職業財団主催の「業種別使用者会議」に参加し,人脈形成を図るとともに企業PRにも貢献してもらいました。

2007年,女性初となる支店総務グループ長に抜擢され,新天地でも華々しい活躍をするなか,多忙かつ重責な立場のもとでの人事部との兼務は,心身ともにハードな状況であったと思います。この6月からは,人事部担当部長を本務に,女性活躍推進の旗振り役として,引き続き活躍して欲しいと考えています。

図版:人事部 真辺文宏 人事部長

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当社における女性活躍推進の現状

現在,当社の総合職・一般職は約8,100名,このうち約15%の1,200名が女性(総合職240名・一般職960名)です。ここ数年の総合職新入社員のうち15%前後は女性で,各種別においてものづくりに興味をもつ優秀な人材を採用できており,建設業界を希望する女性は確実に増えていることを実感しています。

入社後は,その道のプロとして育成を図り,ものづくりの原点である現場勤務も経験しています。女性を配属することで現場にも変化が現れ,職場の雰囲気が和やかになった,作業員の身だしなみが良くなった,という話を聞きます。近隣住民の方が気軽に声をかけてくださることも多いようで,女性には話しかけやすいのかもしれません。一方,「仕事の拘束時間の長さが,女性が現場で働く妨げになる」という声もあります。工期・安全厳守のもと設計変更や天候に左右される作業といった長時間労働に陥りやすい労働環境の改善が,女性は言うまでもなく,男性社員も含めて課題となっています。女性が働きやすい職場は,男性にとっても働きやすい職場になります。女性の活躍推進に伴う環境整備には,多くのメリットが期待できると考えます。

1999年の均等法改正以降に入社した女性総合職が子育て世代となるいま,育児と仕事の両立も課題です。子供が小さい間は現業から一時的に管理部門へ異動させ,本人の不安がなくなってからまた現場へ戻したり,職住近接の現場に配慮するといったサポート体制を取っている例もあります。育児を通して,忍耐力・寛容さ・優しさなど色々な面で人間がひと回り大きくなり,従前より仕事の安定度が増したという話はよく聞きます。また,短時間勤務を利用している社員の仕事ぶりを見ていると,仕事の生産性を向上させる創意工夫をしており,業務の優先順位付け,時間節約のスキルが身についているようです。

今回登場した社員は,それぞれの分野でその能力・経験を存分に発揮しています。仕事の経験が人を育てますから,上司の方々も女性だからといって過剰な配慮をすることなく,男性と分け隔てなく厳しく成果を求め,実績については公正に評価しています。

業界をあげての新たな取組み

政府の成長戦略でも「女性の活躍」を取り上げており,日本建設業連合会(日建連)も本年3月に女性活躍推進フォーラムを開催し,女性技能労働者活用のためのアクションプランを発表しました。また,国土交通省は建設業5団体と共同で,夏までに「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」(仮称)を策定することを申し合わせました。日建連会長の中村社長は「女性技能者の活用を推進しながら,将来の担い手確保に向けた施策を展開する」と強調し,女性向けのトイレ,更衣室,託児所など現場の環境整備への増加費用を予算計上するよう求めています。

当社には多様な個性を受け入れる懐の深い社員,相手の立場で親身になって考える社員が多くおり,その方々の思いが働きやすい職場風土につながっています。ワーク・ライフ・バランス推進の当社の合言葉は「それぞれの職場で身近にできることから」です。これからも性差ではなく個々の能力・志向に応じて頑張ることができ,それを応援する職場環境をつくっていきたいですね。

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