話題の竣工プロジェクト:

「本物」を追求した,映画のテーマパーク
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンTM

 2001年3月31日。大阪市此花区の西部臨海エリアに,ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)がオープンした。米国の映画会社「ユニバーサル・スタジオ」のテーマパークが初めてアメリカ国外進出し,大阪に誕生したのである。
 「ジョーズ(R)」や「ジュラシックパーク(R)」,「E.T.(R)」,「ターミネーター(R)」などスクリーンでドキドキさせられたハリウッド映画のシーンが体感できるアトラクションや,映画のセットを再現した街並みが並ぶ。まるでハリウッド映画の中に紛れ込んだ主人公のような気分が味わえる。
 USJは,JR大阪駅から直通電車で10分。新しく開業したユニバーサルシティ駅に直結した,甲子園球場14個分という約54haの広大な敷地に,18のアトラクションと45の飲食・物販施設が,ラグーン(池)を取り囲む形で配置されている。
 建設に当たっては,パーク全体を3つに分け,当社は12社JVでラグーンを含む第2工区を担当した。第2工区を中心にパークを歩いてみよう。
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ドク・ブラウンとデロリアン号が アトラクションの入口でお出迎え

UNIVERSAL STUDIOS JAPAN

 ターミネーター2:3DTM
 外観は,実際の映画でも登場するサイバーダイン社。外壁には雨だれの跡をエイジング塗装により表現している。アトラクションは,未来を賭けた人類とサイボーグの戦いが,超立体映像で目の前に迫る。スクリーンから飛び出しそうなその迫力には思わず目を閉じ,よけてしまうほどだ。
外観
外観
 バックドラフト(R)
 サンフランシスコの消防署を模した外観。レンガのかわいらしい建物の中で行われているアトラクションは超過激。実際の炎を使って撮影された映画「バックドラフト(R)」の舞台の化学工場を再現。40以上の特殊効果が駆使され,炎と爆風,閃光に包まれる。まさにハリウッド映画の真骨頂。実際の炎を使ったアトラクションはもちろん日本初。
外観
外観
 
 バック・トゥ・ザ・フューチャー(R)・ザ・ライド
 第2工区の中で唯一近代的な建物。映画に登場するドク・ブラウンの研究所をイメージしている。博士が作ったタイムマシン・デロリアンに乗り込み,時空を越え冒険の旅へ。映像の大迫力とライドの動きに大興奮間違いなし!
外観
外観
 ハリウッド・マジック(R)
 一日のフィナーレに,ラグーンを舞台に音と光と水のエンタテイメントショー「ハリウッド・マジック(R)」が行われる。ラグーンの面積は27,000m2。臨海部であるため,コンクリート底版の他にベントナイトを用いて沈下を防止している。
ラグーン
ラグーン
 
 ニューヨークエリア
 映画のセットを再現した街並み。様々なエイジング技術により1920年代のニューヨークが出現している。グッゲンハイム美術館のだまし絵は必見。ターミネーター2:3DTMと6つの飲食・物販施設を含むエリア。ウエストサイドストーリーのセットで,あなたも気分はジェームス・ディーン。
街並み

街並み
映画「ウエストサイドストーリー」に登場する街並み
 サンフランシスコエリア
 美しいラグーンを眺めながらの食事が楽しめるレストラン「ロンバーズ・ランディングィ」を始めとする4つのレストランと,2つのアトラクションがある。明るい海辺のサンフランシスコの街並みをイメージしている。
ロンバーズ・ランディング(R)
レストラン「ロンバーズ・ランディング(R)」

TERMINATOR 2:3DTM & (C)Canal+D.A. All rights reserved.
Back To The Future(R)-The Ride (C)Universal Studios/U-Drive J.V.
Backdraft(R) & (C)Universal Studios
Hollywood Magic(R) & (C)Universal Studios
Lombard's Landing(R) Universal Studios
Universal Studios JapanTM & (C)Universal Studios. All rights reserved.
CR01-2018

 パークの基本デザインは,米国のユニバーサル・スタジオ・インク社(USI)が担当。各工区のJVは,その基本デザインをもとに設計及び施工を行った。
 当社が担当した第2工区にはアトラクションが4つ,飲食・物販施設が13あるが,細かく分けると建物は30棟あり,その他,ラグーン(池)は土木工事となる。面的に広いエリアに30棟の建物とラグーンをつくることは,「まるで『ひとつの街をつくる』作業だった」(三柴所長)という。ひとつのJVが30棟の新築工事と土木工事を一度に担当したわけだ。
 第2工区の見どころは,1920年代のニューヨークとサンフランシスコの街並みを再現したエリア。建物ひとつひとつが映画に登場した建物を模しているのだ。セットファサードと呼ばれる建物は,ファサードのみで中に入ることができない,いわば「フェイク」建築だが,建物の外装,ショーウインドーの内部,街中に置かれた電柱や消火栓などに至るまで,「本物」が追求されている。
 街並みを本物のように見せるために,様々な工夫が施されているが,その中心となったのが,建物を古く見せる「エイジング」と呼ばれる技法である。新築なのにわざと建物を古く見せるわけだ。米国からエイジング専門のアートディレクターが来日し,作業員に直接指導を行った。
 「本物に見せるこだわり」は随所で見ることができる。例えば,ひび割れた舗装。これは,街並みをより本物に見せるためにわざと施されている演出である。街角で見かける看板,信号機,マンホールのふたに至るまで,すべてが米国製。電線のたわみ加減まで計算されている。
 スリルと感動に満ちたアトラクション,そして,どこまでも「本物」を追求した街並みを是非,パークを訪れて楽しんでもらいたい。

壁に貼られたポスターの汚れ具合も計算されている
壁に貼られたポスターの汚れ具合も計算されている
道路の亀裂や補修の跡も街並みを本物らしく見せる演出
道路の亀裂や補修の跡も街並みを 本物らしく見せる演出

すべての小物にも本物を追求 すべての小物にも本物を追求
看板や信号機,ベンチなどパーク内のすべての小物にも本物を追求

ニューヨークエリアの街並みの様子
ニューヨークエリアの街並みの様子。第2工区だけで30棟の建物がある
夜にはライトアップされ,幻想的な雰囲気に
夜にはライトアップされ,幻想的な雰囲気に
 
ニューヨークエリアのセットファサード
ニューヨークエリアのセットファサード

「本場のハリウッドの迫力を満喫して下さい!」
 USIの基本デザインを,日本の法規や施工法にどう合わせていくか,そのすり合わせが大変でした。火を使うアトラクションなど,日本で初めての施設の,官庁への許認可取得業務は非常に苦労しましたね。
 外装,内装,インテリア,サイン,外構など専門のアートディレクターが米国から来日し,細部にわたって指導を受けました。承認をもらわなければ何度でもやり直しということもありました。いろいろな場面で米国人との文化の違い,仕事のやり方の違いに戸惑いを感じたこともありましたが,たとえ言葉は通じなくても,相手の目を見て真剣に議論すれば伝わるものです。最高のものをつくりたい,この気持ちはお互いが強く持っていましたから。
 米国人の「人を楽しませる」ことへのエネルギー,徹底ぶりはすごいものがあります。ひとを感動させるもの,それはエネルギーだと思うのです。例えばそれはアトラクションで使われる水の量や炎の量にも現れていますが,とにかく膨大。人を楽しませたい!というエネルギーがユニバーサル・スタジオ・ジャパンを訪れたすべての人々に感動を与えることと思います。
 このユニバーサル・スタジオ・ジャパンの建設工事では,3つの工区を通じて約1,000万時間無事故無災害を達成しました(第2工区でも300万時間を達成)。工事が無事終了し,品質面,安全面,工期面すべてにおいて,やり遂げたという達成感で一杯です。

三柴利雄 USJ第2工区JV工事事務所
所長 三柴利雄

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ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
住所:大阪市此花区西部臨海地域
問い合わせ: インフォメーションセンター
TEL 06-4790-7000
料金(スタジオ・パス):大人(中学生以上)5,500円,
子供(4歳〜小学生)3,700円,シニア(60歳以上)4,700円
URL http://www.usj.co.jp