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特集 東日本大震災 東北支店の3週間

2011年3月11日14時46分,三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生した。
マグニチュードは国内観測史上最大の9.0を記録。最大震度7の大地震が,巨大津波を伴って日本を襲った。
自然と向き合い,長い年月をかけて培ってきた高度な防災技術をもってしても被災から免れることはできず,
東日本太平洋沿岸を中心に激甚な被害がもたらされた。

戦後最大の震災となった東日本大震災。
国内外に及ぼす影響は甚大で,復興に向けた作業は長期化することが予想される。
国難ともいうべき事態に,復旧・復興支援活動に全力で取り組むことが建設業の使命であり,責任でもある。
その使命と責任を全うすべく,ひたむきな努力を続ける当社東北支店の,発災からの活動の様子を伝える。

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「勇気と希望」新しい都市づくり

東日本大震災により被災された皆様に,心よりお見舞い申し上げます。当社東北支店は本社・他支店と力をあわせ,今後も全力で被災地の復旧・復興に取り組んでまいります。

3月11日,私が地震に遭遇したのは仙台市内の講演会場でした。非常に強い揺れが長い時間続き,頭をよぎったのが,街中で建物が倒壊しているのではないかということでした。急いで会場を飛び出し周囲を見渡しましたが,倒壊したビルは見当たりません。あの揺れに耐えた建物の強靭さに正直なところ驚きました。

その後,当社が行った被災調査の結果では,構造上被害が出ている建物もあり,多くの建物が被害を受けています。倒壊に至ったケースがあまり見当たらないのは,過去の経験を活かし耐震化が進んだことが大きかったのでしょう。

一方で,津波の被害は甚大です。東北の沿岸部は,数多くの防波堤が構築され,津波対策が講じられてきた地域ですが,想像を超えて大きな被害がもたらされました。被災地に立ちますと,映像から受ける印象とは異なる自然に対する畏怖の念を抱かずにいられません。

発災からこれまで,被災調査や応急復旧工事など,全力で震災の対応にあたってきました。

そのなかで感じたことのひとつが,通信インフラの重要性です。電話もインターネットもつながらないなか,MCA無線で本社と連絡を取れたことが,早期の活動体制構築につながりました。本社・各支店からの支援物資は,得意先にも提供できましたし,日本土木工業協会(当時)を通じて,多くの被災地にも送られました。これからは,支店・営業所間の連絡用にもMCA無線の配備が必要だと考えています。

もうひとつが,組織と社員の力です。本社・各支店からの応援社員と支店社員が,一丸となって対応しています。技術系の社員,営業マンは調査や復旧,得意先支援に走りまわり,事務系社員は物資や燃料のマネジメントに奮闘しています。開発部も不動産の融通などで力を発揮しており,社員の一人ひとりが自らの立場を理解し,努力を重ねています。組織の強い絆と社員の底力を再認識し,心強く思っています。

また,このような状況のなかで,判断に迷いがあってはいけないと気を引き締めています。情報を集め,その場で決断し,みんなで分担し動く。新しい情報が入れば修正していけばいい。そうして日々改善することで,復旧活動も加速度的に活性化していきました。

これから復旧・復興工事が本格化していきます。震災から数日経ったころ,建築家の岡田新一先生から「悲劇を繰り返さぬよう,将来の都市の姿を見据え,復興にあたってほしい」と綴られた激励のメッセージを頂きました。私が先生に「三陸の漁業を中心とした都市」の復興モデルを要望すると,10日後には先生から考え方が示され,非常に勇気づけられました。その時,やらなければならないことは被災した皆さんに勇気と希望を与えることだと気づきました。壊滅的な都市もあります。多くの知見と実績を持つ総合建設業として,他分野とも連携しながら被災地に勇気と希望を与える新しい都市づくりに関われればと考えています。

写真:専務執行役員東北支店長 赤沼聖吾

専務執行役員東北支店長
赤沼聖吾

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