特集:洪水から都市を守る

東京都下水道局
第二溜池幹線

地図 今年7月の集中豪雨時の溜池交差点付近の浸水状況
今年7月の集中豪雨時の溜池交差点付近の浸水状況




 当社の本社がある赤坂見附交差点付近や溜池交差点付近は,集中豪雨の際にたびたび浸水被害が発生している。1993年の台風11号の際には,地下鉄が浸水して都市の脆さを見せた。紀尾井町の清水谷公園から赤坂見附交差点〜虎ノ門交差点過ぎまでの外堀通りの地下に浸水被害軽減を目的とした第二溜池幹線が計画された。これは,現在敷設されている既設の溜池幹線を補う増補幹線で,集中豪雨のときに既存の溜池幹線から越流した雨水を取り込んで貯留し,将来的には勝どきポンプ所(仮称)から隅田川に放流する計画となっている。
 東京都下水道局の発注において当社は平均深度43mのシールドトンネル(1,660m)をすでに完成させ,現在はトンネルにつながる5か所の人孔を施工中である。このうち直接水を取り込む4か所の人孔のうち,2か所では道路上の狭隘な施工空間のため,当社が開発したハイパーシャフト工法を採用した。

溜池幹線その1及びその2分水人孔設置工事
溜池幹線その3分水人孔設置工事
場所 東京都港区赤坂2−3地先,赤坂1−2地 先,虎ノ門2−2先,赤坂3−5地先
発注者 東京都下水道局
設計 東京都下水道局
規模 立坑工事3か所(ハイパーシャフト工法 φ5800,深さ53.3m φ3300,深さ50m CD工法φ1980,深さ47.3m)人孔工事1か所(開 削工法8.6×7.7×15.2m)連絡管1か所
工期 1999年10月〜2002年3月
施工 その1及びその2 東京支店施工,その3 東京支店JV施工

ハイパーシャフト工法で施工が進む人孔構築現場
ハイパーシャフト工法で施工が進む人孔構築現場 左側は交通量の多い外堀通り

断面イメージ
断面イメージ

ハイパーシャフト工法

 大口径の立坑や杭基礎を急速自動化施工する方法で,市街地の狭隘な場所においても短期間に安全に施工することができる。円形深礎の機械化施工法として開発された「スーパーRD工法」を改良し,矩形や楕円形など掘削断面を自由に選択できるようになっている。剛性の高いケーシングパイプの先端に拡径掘削するためのウイングを取り付け,そのウイングをケーシングを動力軸として回転させ,掘削・排土する。設備がコンパクトで,騒音・振動が小さく,狭隘な市街地でも施工ができる,操作をすべて地上で行うため安全性が高い等のメリットがあり,大変注目されている。溜池人孔構築現場も交通量の多い外堀通りに面し,かつ600m2以下という非常に狭い用地であるが,同工法により,安全に施工中である。
ハイパーシャフト工法概念図 ビルと外堀通りにはさまれた非常に狭い用地
ハイパーシャフト工法概念図   ビルと外堀通りにはさまれた非常に狭い用地



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