特集:東京地下物語

地下と社会をつなぐ
工事概要
首都高速中央環状新宿線SJ11工区(4)〜SJ31工区
(外回り)トンネル工事
場所:東京都渋谷区初台〜目黒区青葉台
発注者:首都高速道路
設計:首都高速道路 東京建設局
規模:泥水式シールド工法 工区延長2,660m 
仕上がり内径11.8m
工期:2001年3月〜2005年2月
(東京土木支店JV施工)
環境配慮型の高速道路
 ライトアップされたトンネル坑内で世界最新の土木技術をプレゼンテーションする作業員,そしてパリコレクションさながらの華やかなファッションショー──。冒頭で触れた「東京トンネリックス」の風景である。
 いわゆる“現場見学会”と全く異なるこのイベントが開催されたのは,西新宿の道路建設現場だ。地下30mを直径12mの巨大トンネル2本が貫く首都高速中央環状新宿線である。今回のイベントは道路事業計画の意義を広く社会にPRするとともに,周辺の住民や地上の沿道利用者に工事への理解を得ることが目的となった。
 首都高速中央環状新宿線は,東京を3つの環状で囲む整備事業のひとつであり,放射状に伸びる高速道路と併せて効率的なネットワークを築く計画の一部である。都心環状線の慢性的な渋滞の大幅な緩和とともに,首都機能の向上が期待されている。
 この新宿線の完成によって,高速3号渋谷線,4号新宿線,5号池袋線が相互接続され,目黒区から板橋区までの11kmがつながれることになる。最大の特徴は,環境配慮によってほぼ全線を地下トンネルとした構造だ。こうした姿勢は地上部でも一貫しており,換気塔の景観デザインや山手通りの整備へとつながっている。
首都高速中央環状新宿線
首都高速中央環状新宿線・松見坂代々木シールド工事の現場(上)と地上の出入口(中央左),そして「東京トンネリックス」の模様。当社JV工区ではトンネル技術の公開プレゼンテーションが行われ(中央右,右下),隣の工区ではファッションショーが開催(左下)
工事概要
首都高速大橋ジャンクション北JV工事
場所:東京都目黒区大橋
発注者:首都高速道路
設計:首都高速道路 東京建設局 
規模:開削工法 連結路基礎工(7基)
ケーソン立坑(1箇所)工ほか
工期:2003年11月〜2006年10月(現在契約工期)
(東京土木支店JV施工)
街づくり一体型ジャンクション
 首都高速中央環状新宿線の起点となり,地下トンネルと地上を結節するのが,大橋ジャンクションである。2層のループ状で構成され,地下約36mから地上約35mへと至る一周約400mの道路によって,高架道路3号渋谷線や環状品川線(計画中)へとつながる。ループの中央は換気所の施設となる。
 この事業のもうひとつの特徴は,周辺の街づくりと一体化した計画である。ジャンクションの大きさは国立競技場のグラウンドに相当するため,街の分断や地域生活への影響が懸念され,長期的な展望のもとに複合ビルや広場などが検討されている。

 都市生活の快適性のさらなる向上をめざし,都心各地でつづく交通インフラの工事は,既存の網の目をどのようにつなぐかが計画・設計でも工事でも大きなポイントとなる。今回紹介してきた鉄道や道路の工事にみられるように,地下空間は地上や社会とのつながり,そして人々の生活とのつながりをこれまで以上に重視しながら都市の明日を築いているのである。
工事が進む大橋ジャンクションの風景(左)と街づくりと一体となった完成予想図(右)。周囲の既存街区とのつながりや街全体の活性化をめざして計画されている。
首都高速中央環状新宿線路線概要図
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