KAJIMAエコプラザ


KAJIMA ECO PLAZA

廃棄物最終処分場の新しいかたち
地球環境保全が叫ばれる中,廃棄物の処理・処分は重要な課題です。 “資源循環型社会” への移行とともに,廃棄物最終処分場のあり方も変わりつつあります。 今月は,より高い機能と信頼性を備えた,次世代型廃棄物最終処分場について紹介します。


 廃棄物最終処分場は,わたしたちの快適な生活になくてはならない重要な施設です。廃棄物も将来的には再生資源としての活用も考えられており,最終処分場の役割も,廃棄物の埋立処分地から,再生資源の備蓄施設へと変化していく可能性があります。その一方で,浸出水(廃棄物から発生する汚水)による地下水汚染などの環境問題が懸念されはじめ,最終処分場の用地確保が困難となってきています。周辺環境に悪影響を及ぼさない,安全性・信頼性を兼ね備えたクリーンな最終処分場の整備が,求められているのです。こうした時代の要請に応えるべく,近年「クローズドシステム処分場」と呼ばれる新しい最終処分場のかたちが注目されています。

施設イメージ
施設イメージ

ユニット式屋根移設・転用概要図


 最終処分場では,廃棄物の安定化(無害化)を図るために,廃棄物を水や空気に接触させ,有害物質の洗い出しや,分解を促進させる必要があります。従来のオープン型の処分場では,雨水によって安定化を図り,有害物質を洗い出した雨水は浄化処理を行い,河川などに放流していました。このため,台風や大雨の際には,多量の水を処理する必要があり,その施設も大掛かりにならざるを得ませんでした。
 クローズドシステム処分場は,従来のオープン型の埋立地を屋根などで覆い雨水を一切カットします。廃棄物の安定化には人工的に散水を行うため,処理する水の量をコントロールでき,水処理施設の規模を縮小することができます。処理水を再び施設内に散水し循環利用することで,施設内で発生した水を一切外部へ放出しない“完全クローズド型処分場”も可能です。また,閉鎖型空間なので,廃棄物の飛散・流出や臭気の拡散を防止する効果もあります。周囲の景観とも調和して,従来の処分場のイメージから脱却したデザインとなっています。
 当社が提案するクローズドシステム処分場は,分離・接合が可能なユニット式の屋根構造である点が大きな特長です。搬送ならびに移設が容易にできるため,埋立て完了後に,他の処分場に転用することもでき,経済性の面からも有効なシステムです。
 現在,当社は青森県西津軽郡木造町においてクローズドシステム処分場としては,日本最大の施設となる「木造(きづくり)一般廃棄物最終処分場」の建設を行っています。こうした経験を活かし,快適で住みよい環境づくりを目指し,今後もクローズドシステム処分場の提案を積極的に行っていきます。

完全クローズドシステム処分場の概略