[2001/02/14]

反射トモグラフィによるトンネル切羽前方探査手法を開発
★施工に全く支障を及ぼさない迅速な測定が可能
★広い探査範囲で高い精度の予測が可能
★ビジュアルな3次元表示が可能

「反射トモグラフィ」とは・・・開発の背景と経緯本システムの概要本システムの特徴展望

   鹿島(社長:梅田 貞夫)は、山岳トンネル工事の切羽前方探査手法として、施工に伴い発生する弾性波の反射波形をとらえる「反射トモグラフィ」を開発しました。

 本システムの開発により、今まで以上に施工に支障を与えることなく、切羽前方の地質状況の予測を迅速かつ正確に行えるようになりました。

 その結果、施工上、問題となる不良地山に対し、事前に切羽前方及び周辺の地山を改良するなどの適切な対策を講じることが可能になりました。

 今後当社では、本システムを山岳トンネル工事における前方探査手法として積極的に採用し、施工上のトラブルを回避することにより、急速施工の達成と安全性の確保をはかっていく方針です。


「反射トモグラフィ」とは・・・
 


 医学分野で用いられているX線CTスキャナ手法に代表されるトモグラフィ技術を地盤調査分野へ取り入れたジオトモグラフィ技術の一手法です。トモグラフィの"tomo"はギリシャ語の"tome"に由来する"切る"を意味するもので、本手法は非破壊的に地下構造を切って可視化できる特徴を有しています。

 トモグラフィでは、各発・受振点間の波動伝播時間に関する実測値と計算値との残差を小さくするように繰り返し計算を行う、いわゆる反復法を採用しています。これまでの孔間トモグラフィでは、複数の孔に多数の発振点と受振点を配置し、各振源から発振された波動の直接波を利用していましたが、本手法では、ボーリング孔を削孔することなく、トンネル壁面に受振器を設置し、施工機械の振動を発振源として、地層境界等で反射して受振点に到達する反射波を解析に利用していることが特徴です。この反射波を処理・分析して前方探査結果を導き出すのです。


開発の背景と経緯
 


 山岳トンネル工事、とりわけTBM工法では、トンネル掘進速度や切羽の安全性が地山の性状に大きく影響を受けることから、切羽の前方地質を精度良く予測・評価することが、安全かつ合理的な施工を進める上で極めて重要です。

 従来、大規模な破砕帯が予想される場合には、先進ボーリングによるコア採取で地質状況を調査する方法が行われてきましたが、多大な費用と時間を要し、また、ボーリング作業中は切羽の掘削が長時間行えないため、工事の進捗にも大きな影響を与えていました。

 また、弾性波を利用した前方探査手法としてTSP(Tunnel Seismic Prediction)、HSP(Horizontal Seismic Profiling)がありますが、2次元の評価に止まる上、これらの精度はあまり期待できないのが現状でした。


本システムの概要
 


 本システムは弾性波反射トモグラフィの一種であり、測定はトンネル壁面に受振点(通常10点程度)を設置し、施工に使用する油圧ドリルの削孔、ブレーカー、発破、あるいはTBMによる掘削を実施した時に発生する振動波を受振器で記録します。

 次に、その波形を解析することにより、切羽前方の不連続面(破砕帯などの、岩盤物性が変化する面)からの反射波を抽出し、破砕帯や地質境界の位置・傾き、空洞の位置などを3次元的に把握することができます。


本システムの特徴
 


  1. 施工に全く支障を及ぼさない迅速な測定
    施工機械や発破等、作業中の切羽から得られる振動を、切羽から20〜30m後方の受振器で受振し、ケーブルを介して、任意の位置に設置した記録器で測定・記録するだけなので、切羽作業に全く支障を及ぼさず、迅速な測定が可能です。

  2. 広い探査範囲
    地質と振動源によっては、切羽前方150m程度まで探査が可能なので、掘進速度の速いTBM工法での探査にも適しています。

  3. 高い精度の解析結果
    従来から「反射トモグラフィ」は、高い精度で地質構造と反射面の位置が把握できる方法と期待されていましたが、解析方法が複雑なため、研究段階のものでありました。今回、速度構造と反射面深度を同時に求める新しい解析手法を開発したことにより、実用化が可能となりました。

  4. 容易な解析でビジュアルな3次元表示が可能
    本システム専用の解析プログラムを用いることで、解析・評価を短時間で容易に行うことができます。また、地質構造を3次元にて表示できるため、よりビジュアルな表現が可能で、施工への反映も効果的です。

◆現場での適用効果
 当社では、このシステムをこれまでに3つのTBMで施工されているトンネルと、2つのNATMトンネルで適用し、実施工結果と比較することで、システムの合理性と探査精度の高さを確認してまいりました。

 TBMのトンネルでは、マシンのカッタ回転により発生する振動を、後方の受振器で記録、解析し、切羽前方や周辺に出現する地質不良部の検出に成功しました。

 NATM工法で施工されている、あるトンネルでは、石灰岩中の空洞の位置や地質境界の位置を精度良く把握することができました。 。


展望
 


 今後当社では、本システムをTBM工法を用いたトンネル工事等に積極的に採用し、より精度が高く、迅速な地質予測を行うことで、安全かつ合理的な施工を行っていく方針です。



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