|
鹿島(社長:梅田貞夫)は、PCリングを杭頭に被せることにより、基礎と杭を接合する杭頭半固定工法『キャプリングパイル工法』(注1)を開発し、日本建築センターの基礎構造評定を2002年12月に取得いたしました。
本工法は、シンプルで施工性が良く、確実に半固定性能を有する安価な杭頭接合法です。また、本工法は、地震時に杭に作用する応力を有効に低減させることで、杭材の損傷を軽減出来るだけでなく、杭や基礎などのコストダウンも図れるなど、コストパフォーマンスにも優れています。
今後、鹿島では"キャプリングパイル工法"を有力な基礎構造の要素技術として、積極的に採用していく方針です。

一般工法と本キャプリングパイル工法の比較
一般工法(杭頭固定の場合)では、杭の主筋を基礎にアンカーさせて、杭頭の固定度を確保しますが、キャプリングパイル工法は、上図のようにPCリングを杭頭に被せるだけですので、杭頭は納まりがシンプルであり、基礎の断面も軽減出来ます。(詳細は、本工法の特徴を参照)
(注1)本工法は特許出願済みです。
|
これまでの杭頭と基礎梁を固定する工法は、地震時に杭に生じる曲げモーメントが杭頭において最大となることから、杭頭損傷の原因となっていました。このため、最近、杭頭の固定度を緩和する試みが数多く行われていますが、施工性に劣り、コストも割高なものが少なくありません。
鹿島では1995年の阪神淡路大震災の教訓を踏まえて、地震に強い高靱性杭の開発に着手以来、地震時における杭材の損傷軽減に加え、設計・施工が容易かつコストパフォーマンスに優れたものを造るとの開発方針のもと、現場からのフィードバック意見も取り入れることで、開発方針どおり「バランスの取れた工法」として、本キャプリングパイル工法の開発に至りました。
本工法は、2002年12月末に日本建築センターの基礎構造評定を取得したことで、今後、全社的に展開しますが、他社の設計事務所他でも使用出来る仕組みにする予定です。
|
|
本工法の概要は次の通りです。
- 「PCリング」の考案
PCリングは鋼管を内側に打ち込んだプレキャストコンクリート製で、リング内にはスパイラル状の高強度せん断補強筋とPCリングを基礎にアンカーさせるための定着筋を設けています。現在、PCリングは工場で製作していますが、現場での製作も可能です。
また、PCリングは既製杭や現場造成杭など全ての杭に適用でき、杭頭の固定度を低減することが出来ます。このPCリングを介して、地震時に生じる上部構造からのせん断力を杭に伝達させます。
- 製作および施工手順
本工法の製作および施工手順は、下の写真に示すように、(1)PCリングの鋼製型枠設置(PCリングの型枠は外側のみで、内側はPCリングに打ち込まれる鋼管が型枠を兼用) (2)PCリングのコンクリートを打設 (3)PCリングの型枠を脱型 (4)既存杭の杭頭にモルタルを敷設 (5)PCリングを設置、その後 (6)基礎を配筋します。
(4)、(5)が現場でのPCリング設置状況ですが、1箇所当りに要した施工時間は約5分と非常に簡単です。

PCリングの製作手順と既製杭の場合の施工手順
PCリングを適用する杭が現場造成杭の場合には、上記の(4)は無く(5)のPCリング設置後、杭頭にモルタルを流し込み、杭頭処理は完了します。この後、基礎の配筋を行ないます。

現場造成杭の場合の施工手順
一般の場合、杭頭には杭の主筋が伸びており、基礎梁の主筋と干渉する場合がよくありますが、PCリングの定着筋は、細径で長さが短いので、基礎梁の主筋との干渉も軽減され、基礎梁等の施工性も向上します。
|
|
- 地震時に生じる杭の曲げモーメントが小さくなり、杭材の損傷を軽減できる。⇒耐震性が向上します。
一般の杭頭は固定ですので、地震時に杭に生じる最大曲げモーメントは下図のように、杭頭で最も大きくなります。仮に、杭頭をピンにすると杭頭の曲げモーメントはゼロになりますが、反面、杭の中間部で最大となり、杭中間部損傷の原因となります。
杭頭を半固定にする本工法は、杭頭固定とピンの中間にあり、杭に生じる曲げモーメントも小さくなることから、杭材の杭の損傷を軽減できます。

杭頭の拘束条件による杭の曲げモーメント(例)
下の写真は、杭頭固定と本工法の比較実験の結果です。
杭頭固定の場合には、杭は破損して支持能力を失っていますが、本工法の場合には杭体は健全でした。
【注:試験体の杭は加力装置の関係で、上下が逆になっています。】

杭頭固定(写真左)と本工法(杭頭半固定)の比較
- 基礎梁の断面を小さくできる。⇒コストダウンが図れます。
通常、基礎梁は杭頭の曲げモーメントに釣り合うように設計します。杭頭を半固定にすることで、基礎梁に作用する曲げモーメントも小さくなるため、基礎梁の断面を小さくできます。

基礎梁の断面比較
- 安価なPCリングを被せるだけです。⇒シンプルで施工性が良く、確実に半固定性能を発揮することができます。
安価なPCリングを杭頭に被せるだけで、確実に半固定性能を発揮することができます。PCリングの設置後は、従来通りの基礎の施工を行ないます。
- 杭頭は平坦なので、基礎梁の主筋との干渉がありません。⇒基礎との納まりを改善できます。
通常の場合、杭から突出する杭主筋と基礎梁の主筋が干渉するため、基礎梁の幅を広げることがありますが、本工法では、PCリングの定着筋は細径で、数も少なく、短いので基礎梁の主筋との干渉も避けられます。
|
|
今後、鹿島では、杭を必要とする基礎構造における有力な要素技術として『キャプリングパイル工法』を積極的に採用していく方針です。
特に、本工法は地震時において杭に引き抜き力がほとんど生じない中低層の建物に適しており、その市場性はかなり大きいものと期待されます。鹿島では、このたび日本建築センターの基礎構造評定を取得したことにより、社内外へ『キャプリングパイル工法』の普及・促進を図って行く所存です。
|
|
鹿島のキャプリングパイル工法は、現場造成杭や既製杭のいずれにも使用でき、コスト・施工性・信頼性に優れ、設計法も単純な、バランスが取れた工法です。
本工法の開発に際しては、シンプルで施工性に優れたものを造ることにより、現場で使って貰えることを第一に考え、改良を加えました。
また、簡単な設計法も用意していますので、自社のみならず、他社の方にも活用いただきたいと考えています。
|
|