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沿岸の浅瀬に分布するアマモ場は、「海のゆりかご」と呼ばれ、魚の餌場、産卵、稚魚の育成場となる場所です。しかし、戦後の沿岸域の開発や埋立てや海水汚染などにより、アマモ場は減少傾向にあり、沿岸漁業生産にも影響するなど、干潟と同様にアマモ場の減少は大きな社会問題となっています。
(環境庁の調査では、1978年〜1991年の13年間に全国で消滅したアマモ場は2,077haにもなります(第4回自然環境保全基礎調査,環境庁,1994)。)
昨年、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的とした「自然再生推進法」が施行されました。これに関連して政府は水産基盤整備事業として5,000ha(東京ドーム5,000個分)の藻場・干潟を5年間で回復させる目標を発表しています。
こうした動きにともなって、近年、自然環境再生の機運が高まり、生態系保全や干潟再生への社会的な動きも活発化してきています。アマモ場再生についても自治体や市民団体、NPO法人などによって活発に行われるようになっています。
その手法は、海域に直接アマモの種子を播いて自然発芽させる「播種」、他の海域から採取したアマモや、種子から人工的に育てた苗を「移植」する方法などが取られてきました。しかし、「播種」の場合、種子の定着率や発芽率が低い点で改善が必要であり、また、「移植」では、他地域の健全なアマモ場から株を採取することが前提であるため、他のアマモ場が破壊される懸念があります(参考資料参照)。
また、新たな問題として、遺伝子レベルでの生態系撹乱の影響が専門家により指摘されています。すなわち同種のアマモであっても異なる遺伝子集団であることを無視した移植や播種には慎重な対応が必要です。そこで、当該海域から採集した種子をもとに、これを確実に種苗として増殖させて移植することが、生態系の保全の面からも必要と考えられています。
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