[2004/9/7]


廃棄物最終処分場における修復性遮水

システム(GELFIXシステム)を開発


溶液性の注入材を用いて遮水シートの破損部を確実に修復できる

背景本システムの概要本システムの特長今後の展望

 鹿島(社長;梅田貞夫)と三ツ星ベルト(社長;西河紀男)は、廃棄物最終処分場の遮水システムとして、万が一、遮水シートが破損した場合、埋立てた廃棄物を掘り返すことなく破損部を修復できる修復性遮水ライナーシステム「GELFIXシステム」(GELFIX; Guard & Elastmer Fixing system)を共同で開発しました。
 本システムでは、供用中、遮水シートに破損が生じた場合、破損部から流出した浸出水を検知し、破損箇所を修復するためにポリマー系の注入材等を注入し、区画全体に充填し破損部を塞ぐことにより、遮水機能を修復します。本システムは、室内試験、現場試験の両者から良好な結果を得ており、シート破損部の修復について、信頼性の高い施工を可能としています。

背景


 廃棄物最終処分場においては、浸出水が周辺環境に影響を与えないよう処分場の底面に遮水工を施しますが、「遮水シート」は非常に高い遮水性を有しているため、多くの処分場で採用されています。しかし、遮水シートについては以前から供用時に廃棄物の埋め立て作業などによるシートの破損が懸念されてきました。そのため、近年では、遮水シートの破損に伴う浸出水を検知するシステムや、破損部の修復が可能な遮水システムが開発されています。従来の修復性遮水システムでは、処分場の供用中、もしくは埋め立て完了後に遮水シートの破損を検知した場合、遮水材として、セメント等を注入することにより破損部を修復しますが、遮水材を注入する空間は非常に狭いため、隅々まで均一に充填できなかったり、セメント材が分離するといった懸念がありました。また、遮水材となるセメント等は、固化後、脆性的な性質を有するため、地盤の不等沈下などによって、固まった遮水材が破損し、遮水性を失うばかりではなく、遮水材の破損面がシートを損傷させる恐れがありました。
 そこで、当社と三ツ星ベルトはこれらの問題点を解消する修復性遮水ライナーシステム「GELFIXシステム」を開発しました。

本システムの概要

 本システムに使用する遮水ライナーは図2のように2枚の遮水シートの間に凹凸の形状を持つ中間排水材を挟み込み、更にその上下を保護マットで挟み込んだ構造となっており、端部を接着した巨大な薄い座布団のような形状をしています。ライナーの大きさは最大25m×25mを想定しています。廃棄物最終処分場では、その遮水ライナーを底面に敷きつめ、接合部を接着して遮水シート工を完了した後50cm程度の厚さで保護土を覆土します。
 本システムでは、供用後の廃棄物の投入などにより遮水ライナーが破損すると、浸出水が処分場底面の傾斜を利用してライナー内を自然流下し、検知ピットにおいて検知されます。一つの遮水ライナーごとに一つの検知ピットがあり、どの遮水ライナーで破損が生じたかがわかります。浸出水を検知すると、浸出水を検知した検知管を使って遮水材を注入します。注入材は遮水ライナーの中にまんべんなく均一に充填され、破損部に到達すると周辺の保護土と混ざり合って固化体を形成し、破損部を塞ぎ遮水機能を回復します。本システムでは、遮水材を確実に充填するため複数の空気排出管を利用した空気排出促進システムを採用しています。これを用いることにより注入の際にライナー内の空気が効率的に排出されるため、袋状の遮水ライナーの隅々まで注入材を確実に充填することが可能で、遮水ライナーのどこに破損が生じても確実に修復することができます。

システム全体構成図
図-1 システム全体構成図

修復性遮水ライナーの構造
図-2 修復性遮水ライナーの構造

遮水シート破損部からの自然流下による漏水検知システム
図-3 遮水シート破損部からの自然流下による漏水検知システム

遮水材の注入による遮水シート破損部の修復システム
図-4 遮水材の注入による遮水シート破損部の修復システム


 これまでの修復性遮水システムの注入材には、セメント系の材料が用いられてきましたが、セメント系の材料では、材料分離の発生によりの狭隘な空間に隅々まで均一に充填することが難しいことが実験によって明らかになっています。また、セメント系の注入材が固化した後、地盤の不等沈下等が生じた場合には、注入材が破損して遮水機能が失われたり、注入材の破損面がシートに更なる損傷を発生させるという懸念がありました。そこで当社では注入材として、溶液系のため材料分離が生じにくく、固化後に弾性的な挙動を示すポリマー系の材料を使用しました。この注入材はセメント系のような、粒子が水分中に浮遊している懸濁材料とは異なり、溶液材料なので、中間排水材の細かい隙間にも均一に充填することが可能です。性状は注入時にはくず湯程度の粘性を持つ液体で、固化するとこんにゃくゼリーのような弾性的な性状を有するため、固化後に地盤の不等沈下等が生じてもその動きに追従して、遮水機能が低下したり、シートを破損することはありません。

今回開発したポリマー系遮水材
図-5 今回開発したポリマー系遮水材


本システムの特長

  1. 遮水材を隅々まで均一に、確実に充填することができる施工管理システム
  2.  遮水ライナーの最上部(注入口の対角線上)に、複数の空気排出口を設置し空気の排出性を大きく向上させ、空気留まりなどの発生による充填不良の発生を最小限にする施工の実施を実験により確認しています。また、複数の空気排出管を設置することにより、遮水材注入時にシート内圧を考慮した最も効率的な注入速度の設定が可能となり、二重遮水シート内が完全に注入材で充填されると、空気排出管から注入材が排出されるため、注入完了の判断が確実に行えます。

  3. 優れた柔軟性をもつ注入材の採用
  4.  今回採用した注入材は、洗濯のりの材料にもなるポリビニールアルコールを主成分としたPVAポリマー樹脂で、注入時はくず湯のような液体で、固化後には極めて柔軟で弾力的な性質を示します。そのため、注入後、長期間を経て地盤の不等沈下が起こった場合でも、地盤の遮水シートとともに地盤の変形に追従し、注入材の破損による遮水機能の低下や注入材の破損面による遮水シートの損傷を生じることはありません。また、ゲル体の耐久試験(地盤内への長期間埋設)により、通常の使用条件であれば、変性することなく、長期間にわたり性能を維持することが確認されています。

  5. 従来システムと比較して同等以下のコストを実現
  6.  コストについては、従来の修復型遮水システムと同等以下のコストを実現しています。

今後の展望



 当社では、今回開発した修復性遮水システムの他に、既に様々な廃棄物処分場に関する技術、商品を保有し、多くの実績をあげています。今後もPFI方式を含む各種自治体など発注者のニーズに適合した高規格最終処分場建設技術を積極的に提案していく方針です。



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