[2004/12/03]


新潟県中越地震で

免震ビル・制震ビルの効果実証


免震技術制震技術今後の展望

 鹿島(社長;梅田貞夫)は、10月23日に発生した新潟県中越地震において、北陸支店(新潟市)に震災対策本部を設置し、得意先の復旧支援、および関係官庁等の復旧対策支援等復旧工事に、全力をあげて取り組んでいます。
 被害状況が明らかになる中で、震源地に近い新潟県長岡市に97年に竣工した日本海側初の免震構法を採用した北陸学園総合本館(設計・施工;鹿島)において、優れた地震制御効果が確認されました。また、北陸地区ではじめて制震構法を採用した万代島ビル(設計;鹿島、施工;鹿島JV)においても、同様に優れた効果が確認されました。

免震技術


 学校法人北陸学園(加藤聰介理事長)の総合本館は阪神・淡路大震災の教訓を受け1997年に新潟県長岡市に竣工した日本海側初の本格的な免震構造の建物です。免震構法とは、建物と基礎の間に免震装置と呼ばれる「積層ゴム」を配置し、地震の揺れが建物に伝わらないようにするもので、地震時の建物の揺れを大幅に抑えることができる構法です。

北陸学園総合本館
北陸学園総合本館

免震構造 概念図
免震構造 概念図


免震装置
免震装置


 北陸学園総合本館は、地上8階建、RC造ラーメン+耐震壁という構造で、基礎と1階との間の免震層に、直径85〜100cmの高減衰積層ゴム17基が配置されています。本建物には地震計が設置されており、新潟県中越地震の本震および余震における建物の揺れが観測できました。下に本震における観測結果を示すように、1階(免震層の上)と8階(建物上部)で観測された建物の揺れ(加速度)は、地下1階で観測された地震そのものの揺れよりも大幅に小さくなっており免震効果が確認されました。

北陸学園総合本館地震計配置図
北陸学園総合本館地震計配置図


北陸学園総合本館最大加速度分布
北陸学園総合本館最大加速度分布


北陸学園総合本館観測加速度波形
北陸学園総合本館観測加速度波形


 今回、震源に近い長岡市では震度6弱を観測しましたが、北陸学園総合本館は、建物の損傷はもとより、内部の教育・研究機器関係の損傷や転倒なども皆無で、優れた免震効果が発揮されました。
 北陸学園の加藤理事長は、「震度6の直下型地震時でも、学園内の精密機器、大型機器の転倒・落下もなく、業務に支障を来たす事なく速やかに復旧することができた。免震の効果は想像以上だった。200名の寮生を総合本館に緊急避難させ3日間宿泊させたが、ここなら安心であり、余震の時もほとんど揺れを感じなかった」と語っています。

制震技術

 また、新潟市に昨年完成した朱鷺メッセの万代島ビルは、地上31階建てで、日本海側で最も高層の建物です。同ビルには、地震対策として鹿島が開発した揺れを吸収するオイルダンパ式の制震装置「HiDAX」と「HiDAM」が合計112台設置されており、北陸地区では唯一の制震構造のビルです。低層部はオフィス、高層部にはホテル日航新潟が入居しています。

万代島ビル
万代島ビル


制震装置「HiDAX」
制震装置「HiDAX」


 万代島ビルの短辺方向に設置されている電気制御式のオイルダンパHiDAXは、大地震時の揺れから微小な風揺れまで建物の振動エネルギーを効率良く吸収できる最新の制震装置です。本建物では今回の地震時に建物応答だけでなく5階のHiDAXの抵抗力と変形もモニターしており、今回の新潟県中越地震において装置が所定通り動作し、大きな制震効果を発揮していることが確認されました。
 図2の通り、観測された建物上部の変形は、HiDAXがなかった場合の計算結果に比べて、大きく揺れ幅が減少しています。

図1 HiDAXの荷重−変形履歴
図1 HiDAXの荷重−変形履歴
[5階装置の観測結果]


図2 建物屋上階の変形
図2 建物屋上階の変形
[HiDAX有り(観測波形)とHiDAX無し(計算結果)の比較]


 今回、新潟市でも震度4を記録しましたが、ホテル日航新潟の関係者は「上層部でも強い揺れは感じられず、お客様に安心して宿泊していただく事ができた」と、制震技術の効果を語っています。

今後の展望



 当社では、両ビルで収集したデータを分析し、その効果を具体的に確認中です。今後も地震に強い街づくりをさらに推進するため、免震・制震構造の採用を、防災拠点となる自治体庁舎、病院、学校などに積極的に提案していくこととしています。


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