軽量コンクリートは、下部構造への負担軽減が求められるコンクリート構造物にとって大変有効な材料であり、構造物を軽量化することにより、部材のスリム化、コストの縮減、工期短縮など多くのメリットが期待できます。
軽量コンクリートでは、軽量化を図るため、骨材に微小な空隙を多く含む多孔質な軽量骨材を使用します。
しかし、これら軽量骨材は、吸水率が大きいため、軽量コンクリートをポンプ圧送する場合、圧送圧力によってコンクリート中の水分が骨材に吸収されます。
そのため、軽量コンクリートの流動性は、ポンプ圧送により低下し、配管の中でコンクリートが詰まることになります。この対策として、従来の軽量コンクリートでは、事前に十分にプレウェッティング(骨材にあらかじめ吸水させておくこと)した軽量骨材を使用しています。
しかしながら、現場での骨材の品質管理が煩雑になるばかりでなく、プレウェッティングした軽量骨材を使用した軽量コンクリートでは、硬化したコンクリートの耐久性、特に、凍結融解抵抗性能*が低下することが問題となっています。
一方、これらの問題を解決すべく、プレウェッティングの必要ない吸水率の低い高性能軽量骨材を使用した軽量コンクリートが開発されていますが、特殊な骨材のためコストが高く、また、供給体制が十分に整備されていないのが現状で、広く適用されるまでには至っていません。
そこで、鹿島は、一般の軽量骨材を用いながらもプレウェッティングの必要がなく、ポンプ圧送による施工が可能であり、かつ、耐久性に優れた軽量コンクリート(商標;ソフトクリート)を開発しました。
*凍結融解抵抗性・・・土木学会コンクリート標準示方書で規定されているコンクリートの耐久性能のひとつ。コンクリートの凍結・融解を繰り返し試験し、その劣化程度を評価する。プレウェッティングした軽量骨材を使用した軽量コンクリートでは、凍結融解を繰り返すと、骨材中の水分が凍結融解を繰り返し、少ない試験サイクル数でコンクリートが劣化することが知られている。
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