鹿島(社長:中村満義)は、大手酒造メーカーの霧島酒造株式会社(社長:江夏順行、宮崎県都城市)から国内でも最大クラスの芋焼酎粕リサイクルプラントを受注し、このたび本格的に建設工事を開始しました。
霧島酒造は、近年の焼酎ブームもあり、主力製品の芋焼酎「霧島」、「黒霧島」の売上が好調で、生甘藷(サツマイモ)を原料とした焼酎生産量を増加するための工場を拡張中です。
焼酎粕はアルコール発酵した「もろみ」を蒸留し製品を取出した後の残渣物であり、製品の2倍量が排出されています。最近の焼酎ブームの影響で生産量が増加すると共に、焼酎粕の排出量も多くなっております。現状では、従来行っていた畑地散布、海洋投入処分から陸上処理へと移行しつつあります。陸上処理の方法としては焼酎粕の栄養が豊富なところからメタン発酵と飼料化との併用または乾燥飼料化があります。また焼却等の方法も採用されていますが、いずれも大量の化石燃料を必要とする処理方法が多く、化石燃料消費量の低減が課題となっています。
このたび当社が受注した芋焼酎粕リサイクルプラントは、約400t/日の焼酎粕をメタン発酵させ下水放流が可能にするとともにバイオガスエネルギーを回収するものです。また既設のメタン発酵施設から1日に60トン排出される脱水ケーキ(焼酎粕中の固形分を分離し、水分が85%になるよう脱水したもの)を乾燥し、飼料化するプラントも併設します。霧島酒造は化石燃料消費量を大幅に低減させる環境に配慮したリサイクルシステムを構築中であり、将来的には焼酎工場でのエネルギー利用も検討しています。
本プラントのリサイクル技術を支えるのは、当社が開発した固定床式高温メタン発酵システム メタクレス(注)です。メタクレスは、これまでも多くの実績(11件)があり、現在も北海道砂川地区保険衛生組合のエネルギーリサイクル施設等の3ヶ所で稼動中です。
今後、当社では、今回の芋焼酎粕リサイクルプラントの受注を皮切りに他の食品業界向けのリサイクル施設を積極的に受注していく方針です。
(注)メタクレスとは
メタクレスは、当社が開発した固定床式高温メタン発酵システムで、生ごみ等の有機性廃棄物を高温メタン発酵菌により高効率に分解処理し、バイオガスを取り出すものです。バイオガスは、熱、電気、または直接、ガスとしてエネルギー利用できます。メタン発酵をさせるバイオリアクタは、炭素繊維の担体を充填したもので、微生物を固定させるため固定床式と呼んでいます。また、バイオリアクタ内の微生物を約55℃で高温発酵(従来方式:約37℃)させるため、発酵が早く効率よくバイオガスエネルギーを回収できます。