サクセムは特殊な鋼繊維を混入した超高強度繊維補強コンクリートで、設計基準強度は驚異の180N/mm
2(普通コンクリートの5〜8倍)、曲げ強度30N/mm
2を実現しています。特殊鋼繊維の混入により引張応力を負担することができるため、構造物に鉄筋を配置する必要がありません。また、自己充填性が高く、耐久性に優れるため、部材を極限まで薄くすることができます。橋梁の桁部材に採用した場合、上部工重量を軽量化することができ、下部工を小さくすることができます。
サクセムは、プレミックス結合材、細骨材、特殊鋼繊維、減水剤及び水とで構成されます。プレミックス結合材の開発と2種類の長さの鋼繊維をブレンドして混入するという手法により、驚異的な構造性能と優れた施工性を効率的に実現しています。
また、サクセムは非常に緻密な構造であり、内部に水がはいりにくく耐久性に非常に優れた材料です。このため、ライフサイクルコスト面で通常コンクリートと比較して有利と試算しています。
サクセムは2001年から04年にかけて材料開発を実施し、04年から、実構造物への適用検討を開始しました。実構造物への適用検討にあたり、実機プラントでの製造実験、実大部材の製作実験、実大部材の載荷実験、長期計測実験などを行い、材料の持つ性能、部材の構造性能、耐久性や施工性などを実証しました。こうした成果を受けて、サクセムは、「サクセム設計・施工マニュアル技術委員会(委員長;丸山久一 長岡技術科学大学副学長)」において、土木学会「超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案)」に示される各種性能を満足し、同指針に準拠した設計・施工が可能であることを確認しています。