鹿島(社長:中村満義)は、マレーシア国マラッカ市にて、廃棄物最終処分場から発生する処分場ガス(LFG: Landfill Gas)を回収・発電するCDM(クリーン開発メカニズム)事業の実施を目指しており、このたび、本事業が、国連CDM理事会よりCDM事業として承認(承認日:2006年9月29日)されました。
これにより、当社がマレーシア国においてCDM事業を実施し、得られた温暖化ガス削減量を所有・売却することが可能となります。
本事業による温室効果ガス削減量は、京都議定書に定める第一約束期間(2008年〜2012年)の終了時までで約38万トン(二酸化炭素換算)を予定しています。発電施設の容量は1MWで、地域の電力系統へ販売する予定です。
LFG回収・発電事業においては、廃棄物最終処分場から発生・回収できるLFG量をできるだけ正確に把握することが大変重要です。当社は、これまで事業調査の段階から、処分場でのボーリング、ゴミの分析、LFGの成分や噴出量計測などの技術的調査を行い、技術的ノウハウを蓄積してきました。さらに、本年3月より事業領域の
約1/5のエリアを用いた実スケールでのLFG回収試験(吸引試験)を実施し、事業計画に必要な技術データを獲得できました。これは、当社技術研究所のノウハウなどにより可能になったものです。
現在、CDM事業化の最終段階として、事業実施体制についての検討が進んでいます。具体的には、当社と当該廃棄物最終処分場のオペレーションを行っているSouthern Waste Management Sdn. Bhd.(SWM)が共同で、特別目的会社(SPC)を設立する予定で、2006年11月の設立に向けての準備作業を進めています。
当社では、SPC設立後、直ちに施設建設のための許認可取得・売電交渉・設計施工・施設の試運転を経て、来年から事業を開始する計画です。
クルボン・マラッカ廃棄物処分場ガス回収エネルギー利用CDM事業
(Krubong Melaka LFG Collection & Energy Recovery CDM Project)
クルボン廃棄物最終処分場に投棄された廃棄物中に含まれる有機物が嫌気性発酵することにより発生する処分場ガス(主成分は、メタンと二酸化炭素)は、通常は大気中に放出されていますが、これを回収し二酸化炭素の21倍の温暖化効果があるといわれているメタン成分を燃焼破壊することにより、温室効果ガスの削減に寄与するものです。
これにはまず処分場の表面を土によって被覆することにより地表面からの放出を抑え、適切な間隔で鉛直井戸を掘削・設置し、その上端を結ぶ水平パイプラインを設置し、最終的には吸引ステーションにつなぎこみブロワ-(吸引機)でLFGを吸引・回収します。
回収したLFGは再生可能エネルギー資源としてガスエンジンによって発電に利用し、発電された電気は電力会社に売却する計画です。
本事業は、廃棄物最終処分場を土により被覆し、事業期間中は補修管理も確実に行なうため、地球温暖化ガス排出量を削減することにより地球環境に貢献するだけではなく、クルボン廃棄物最終処分場での投棄廃棄物の散乱防止・火災防止・悪臭防止・発生ガス健康被害防止などの地域環境にも貢献するものです。 なお、本事業の調査段階においては、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より平成15年度共同実施等推進基礎調査として受託しております。
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