[2007/4/13]

鹿島の「開放型磁気シールド技術」
最新3テスラMRI室へ続々採用

全国4つの国立大学病院で6室

 鹿島(社長:中村満義)が2003年に開発した画期的な磁気シールド技術によって実現した明るく開放的な「シースルーMRI室」。2004年に第一号(岩手県人間ドックセンター)が誕生して以来、全国的に普及しつつあります。
 近年、MRIの高機能化が進み、これまで主流だった1.5テスラ(T)機種から、3.0Tという高性能機種が、昨年日本でも全身領域の薬事承認を受け、先端医療機関を中心に急速に普及し始めています。
 鹿島では、コンピュータシミュレーション等のエンジニアリングノウハウを活かし、
3.0TのMRI室を、2006年度末までに4つの国立大学病院(神戸大学、広島大学、九州大学、熊本大学/合計6室)で手がけています。現在、日本で設置済の3.0TMRIは累計で47台といわれていますが、そのうちの10%以上で鹿島の開放型磁気シールド技術が採用されています。

 現代の医療において、なくてはならない存在となっている画像診断。中でもMRIはCTと並び現代の医療において必要不可欠な技術であり、その技術も日進月歩で急速に進化しています。これまで主流となっていたのは、1.5Tと呼ばれるクラスのMRIでしたが、より速い撮影と鮮明な画像の撮影が可能な高磁場機種・3.0TのMRIが誕生しました。世界的にも、アメリカ、ヨーロッパ、韓国などで2004年から3.0TのMRIの導入が開始され、日本でも昨年薬事承認が得られたことを契機に、国立大学病院などを中心に急速に導入が増加しています。(累計設置済台数、47台)。
 画像の鮮明さが飛躍的に向上し、撮影時間が短縮され、病巣の早期発見に大きく貢献するとみられる3.0TMRIですが、一方、これまでの1.5TクラスのMRIに比べ、発生する磁力が強力となり、漏洩磁場も大きくなることから、磁気シールドに大きな課題が生まれてきました。つまり、従来技術で3.0TMRIを導入するためには、今まで以上に広いスペースが必要となり、また、壁厚などを厚くしてシールドすることしか対策はありませんでした。また、従来は、どのくらいの磁場が発生するか、どのくらいでシールドできるのかを定量的に評価することが難しく、経験則に頼っているのが現状でした。
 鹿島の「開放型磁気シールド技術」では、強力な磁場を発生させる3.0T機器に対しても、効率的にシールドすることが可能です。
 また、コンピュータを利用したシミュレーション技術により、計画段階で発生磁場とシールド性能を予測し、事前に最適なシールド方法と最も効果的なプランニングを提案することが可能です。つまり、狭いスペースでも効果的に3.0TMRI機を導入することができるのです。
 基盤となる「開放型磁気シールド技術」とは、従来「板状」の磁性材料で磁場をシールドしていたものを、スティック状の磁性材料を間隔を空けて並べることでシールドするという全く新しい発想の方式です。しかも、発生磁場の強さにより、スティック内の磁性材料の配列や間隔、積層枚数を調整することで、シールド性能を調整することができます。これにより3.0Tの強力なMRIも確実に、かつ効率的にシールドすることが可能となっています。

開放型磁気シールド技術

昨年鹿島が手がけた二つの大学病院の3.0TMRI室の事例を紹介しましょう。

事例1 1室のスペースを2室のMRI室にリニューアル――神戸大学病院

 神戸大学病院では、1.5T旧型機のスペースを改修し、1.5T、3.0Tの新型機を設置した2つのコンパクトなMRI室を実現しました。操作室を1箇所に集約し、3.0TMRI室には採光窓が設置され、明るく快適な検査環境に生まれ変わりました。通常、磁場の大きくなる3.0T機器の導入は困難と考えられましたが、コンピュータによるシミュレーションと効率的な機器配置設計により、実現しました。

MRI室リニューアル事例1

事例2 1.5Tで計画された空間に3.0T機器を設置――熊本大学病院

 熊本大学病院では、新病棟計画にあたり、1.5Tを前提に設計が進んでいましたが、完成を前に3.0TMRI導入に計画が変更されました。限られたスペースの中に強力なMRIを入れざるを得なかったケースで、従来のシールド技術では広いスペースを必要としましたが、機器自体をコンパクトなものを選定することと、全ての壁面を磁気シールドすることにより部屋サイズを変えずに3.0TMRI機器を設置することができました。また、開放型シールド技術を用いることで、検査室が開放的な空間となり、副次的なメリットも生まれています。

MRI室リニューアル事例2

今後の展望

 現在、日本の3.0TMRIは47台導入されていますが、そのうち6室に鹿島の開放型磁気シールド技術が用いられています。鹿島では、この実績を元に画像診断部門のエンジニアリングソリューションを推進し、独自の商品開発を進めていきます。また、2004年から3年連続出展している北米放射線学会(RSNA)等を通じて、アメリカ、アジアへのビジネス展開を推進していきます。

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。