[2007/7/25]

新本社ビルで新しい環境・設備エンジニアリングを多数導入

  • 真のクールビズを実現する次世代の知的省エネルギー「エコ・モジュール」
  • ビル内をIPネットワークで統一するB・OAネットシステムを安全・安心、省エネルギーを目的に本格的活用
  • 地震リスク等への対応としてRDMSを設備機器制御に初めて活用

 鹿島(社長:中村満義)は、このほど完成した2棟の新本社ビル(鹿島本社ビル、鹿島赤坂別館)に、センシングネットワークによりオフィス環境を制御する新しい設備システムを導入しました。“働く人に快適な知的省エネルギー”を実現する新しいオフィスのモデルを目指しました。また、既に開発しているリアルタイム地震防災システム「RDMS」をオフィス内の設備機器制御に初めて活用し、大地震時にいち早く復旧活動拠点として機能する本社ビルを実現しています。

■人感センサ等を用いた知的省エネルギー「エコ・モジュール」

 「人が居るところを快適な環境に」をコンセプトに、人感センサと照度センサ、及び室温センサが、オフィス内の在席している人を感知し、人が居るところの光環境、温熱環境が最適に制御されます。天井に均一に設置された複合センサ「フリーアドレス・ハイブリッドセンサ」が在席状況を検知し、明るさセンサとワイヤレスサーモ通信により必要なエリアの空調・照明制御を行います。不在エリアは自動的に消灯しますが、隣接するセンサ同士がお互いに状況を把握する新しい制御システムを導入することによって、残業時なども孤立感のない照明を実現します。夏場の設定温度28℃は一般的には「我慢の省エネ」ですが、エコ・モジュールにより、在席エリアを好みの温度にコントロールすることにより、業務効率を低下させない快適なオフィス空間を実現します。 また、日射状況により最適な光環境になるようブラインドも自動制御を行います。屋上のセンサが太陽の挙動を自動追尾。ブラインドの角度を自動で制御します。オフィスの快適性を損ねることなく、日射を取り入れることにより、照明電力と空調負荷を最少にするロジックを構築しています。日射・空調・照明をトータルで最適に制御する新しいシステムです。
 更に、階段室を風の通り道として利用した「自然換気システム」を導入しています。空調制御と連動したハイブリッドシステムにより空調の消費エネルギーを効果的に削減しています。外気温、室内気温によりブラインド制御、自然換気口の制御を手動で行うこともできます。「省エネ」と「個人による好みの選択」を両立させることでより一層の快適性を目指しています。

■ビル用マルチ空調の高度利用

 鹿島本社ビルでは、氷蓄熱型のビル用マルチと躯体蓄熱型のビル用マルチを併用する「ハイブリッド蓄熱システム」を採用することにより、一層の電力平準化とリーズナブルな蓄熱システムを実現しました。
 また、鹿島赤坂別館では、ベース空調である「アンビエント空調」とパソコンなどによる内部発熱や人体発熱を処理するゾーン空調「タスク空調」を分離することにより、快適性と省エネルギーの両立を目指しています。タスク空調用の吹出し口には、在席者の好みにより気流の「有り」、「無し」を選択することが出来る機構を取り入れています。冷えの気になる女性は直接身体に当たる気流を制御したり、室温を高くして気流を感じて涼を取る真の「クールビズ対応」が可能なフレキシブルな吹出し口です。
 これらの制御技術の導入により、通常のオフィスビルと比較して約30%のエネルギー削減を目標としています。また、コストについては、中央熱源空調システムと比較して、同等以下のコストで実現しています。

ビル用マルチ空調の高度利用
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■オールIPネットワークによる「B・OAネットシステム」の活用

 従来、電気や空調など設備系のネットワーク(BA;Building Automation)とOA(Office Automation)系のネットワークは別々に構築するのが一般的でしたが、二棟の新本社ビルでは、オールIPネットワークにより両者をひとつのネットワークに統合し、オフィスビルでは初めて、OAとBAを連携制御させています。具体的には、空調のon/offや温度設定、照明のon/offや明るさ調整やブラインドの開閉を各自のPCからコントロールすることができます。また、共用会議室は、会議室予約システムと連動し、開始時間等に合わせ自動的に稼動します。
 また、この「B・OAネットシステム」と鹿島の次世代リアルタイム防災システム「RDMS」を組み合わせて、各設備の制御と連携させています。緊急地震速報と連動し、大地震発生時には各自のPC及び館内放送で警報すると共に、エレベータの最寄階への停止、全ての照明の点灯、ブラインドの全開などを行い、地震の主要動が届く前に設備の制御を行います。建設会社の本社ビルとしてBCPの観点からも防災拠点としての機能を維持することを大きな目的に掲げています。
 このように、フレキシビリティ、環境配慮、安全・安心といった、建物へのニーズに応えられるハード・ソフトを構築しました。
 今後は、この2棟の新本社ビルにおいて、ビル空調の詳細データやエネルギー消費状況データ等をB・OAネット経由で収集し、「ビルオペレーションドクター」、「エコカルテ」といったBEMSツールを用いて、運用面でのノウハウを蓄積していく方針です。

「B・OAネットシステム」
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 今後は、この2棟の新本社ビルにおいて、ビル空調の詳細データやエネルギー消費状況データ等をB・OAネット経由で収集し、「ビルオペレーションドクター」、「エコカルテ」といったBEMSツールを用いて、運用面でのノウハウを蓄積していく方針です。

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