[2007/11/14]

フリープランスクールを開発

−フレキシブルな空間により、安全で合理的な学校づくりを−

 鹿島(社長:中村 満義)は、2005年に学校建築の天井高の基準が緩和されたことを受けて、合理的な天井高によるフレキシブルな空間で、より安全で安心な学校づくりを支援する「フリープランスクール」を開発しました。11月14日から東京ビッグサイトで開催される「学校・教育施設展」において、鹿島ブースではこの「フリープランスクール」を紹介します。

背景

 小中高校の教室の天井高さは長年、最低3mを確保するという基準が設けられていました。2005年、建築基準法の改正により3mの最低基準が撤廃され、法的には事務所などと同様に「2.1m以上」に緩和されました。鹿島ではこの改正に伴い、規制緩和がもたらすメリットを最大限に生かした低階高の校舎「フリープランスクール」を開発しました。天井高をフレキシブルに、また、合理的に活用することで、天井高が低くなっても心理的な圧迫感を与えず、むしろ、快適性、省エネルギー性をさらに高めた新しい学校教室の実現を目指しています。

フリープランスクールの概要

 今回開発したフリープランスクールは、低階高のメリットを生かした自由な断面計画と、将来の用途転用を視野に入れたフレキシビリティを確保することを目的としています。学校教室は、小学校・中学校・高等学校の普通教室から、大学の講義室・実習室・図書館・体育館・講堂まで、大きさ・機能もさまざまです。このため、フレキシブルな平面計画が求められるだけでなく、多様な高さの天井も同時に求められます。そこで鹿島では、このフリープランスクールの開発にあたって、さまざまなタイプの教室を立体的に配置することができるよう、平面計画上も断面計画上も自由度の高い「ハイブリッドマルチタワー」構法*1を基本としたプランニングとしました。
 ハイブリッドマルチタワーは、高層ビル中央にコア壁を設け、NEOS構法を組み合わせた、経済性が高く、かつ、内部プランの自由度の高い構法です。今回開発したフリープランスクールは、ハイブリッドマルチタワーを基本に、中央のコア部の周辺に教室を配置。廊下とバルコニーの天井部に空調機器や熱交換器などを集約し、合理的な空間設計ができるよう工夫しています。天井仕上げ材に吸音材を用いる工夫などにより、良質な音環境を実現し、快適でプランの自由度の高い学校施設を実現できます。
 水平方向の間仕切り変更の自由度のみならず、ハイブリッドマルチタワーのメリットである、垂直方向にも自由度が高く、将来の用途変更で途中階にアトリウムや階段教室などを設けることも可能です。
 基本的なモデルプランは、教室の天井高を2.7m(梁下)、階高を3.7mに設定しています。
 このフリープランスクールでは、通常の工法に比べ、建設コストで約5%の削減を試算しています。ランニングコストでも、天井高を低くして合理的な省エネルギーを実現できることから、年間4%程度の空調エネルギーの削減が見込まれます。

*1 ハイブリッドマルチタワー 
鹿島の超高層マンション向けの「スーパーRCフレーム構法」と、中低層建物用ローコスト工法である「NEOS構法」(柱RC造PCa+梁S造)を組み合わせた構法。100m〜150mの超高層オフィスビル向けに開発したもので、経済性、デザイン性に優れる。2005年に竣工した神奈川工科大学情報学部棟に初採用されている。

モデル教室断面パース
モデル教室断面パース

中央部にコアを設け、さまざまな教室に対応可能な奥行きを確保
中央部にコアを設け、さまざまな教室に対応可能な奥行きを確保

フリープランスクールの断面図
フリープランスクールの断面図 途中階に吹き抜けなどの大空間も設置可能

今後の展開

 都心回帰に伴う都心でのキャンパス再構築や多角経営化、高さ制限、日陰規制、斜線制限など学校経営および学校建築を取り巻く環境は、日々変化しています。そうした中、IT化の進展、カリキュラムの多様化により、フレキシブルな対応ができる教室もまた求められています。鹿島では、この「フリープランスクール」をはじめとする学校に関するさまざまなソリューションを開発・保有しています。これらを活かして時代の変化に柔軟に対応できる魅力ある学校づくりのお手伝いをしていきたいと考えています。

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