[2008/09/25]

土壌浄化新技術を三菱ガス化学と鹿島が共同で開発

−新しい酸化分解法(マイルドフェントン法)を開発−

−ジェットブレンド工法と組合せて土壌浄化へ初適用−

三菱ガス化学株式会社
鹿島建設株式会社
  • 酸性〜弱アルカリ性までの幅広い土壌条件下におけるVOC浄化に対応
  • 複合汚染の現場に対応
  • 鹿島のジェットブレンド工法と組合せ特許出願

 三菱ガス化学(社長:酒井 和夫)と鹿島(社長:中村 満義)の2社は、揮発性有機化合物(VOC)で汚染された土壌・地下水汚染浄化に効果を発揮する独自の原位置浄化手法を共同で開発しました。この手法は、フェントン法と呼ばれる過酸化水素による酸化分解法を利用したものであり、三菱ガス化学の開発した新しい生分解性触媒により、強力な酸化分解力を保持しながら広い土壌pH域におけるVOCの分解浄化を可能とする新しい酸化分解法「マイルドフェントン法」を土壌汚染浄化に適用するものです。今回は,この生分解性触媒を、鹿島が保有する土壌・地下水汚染浄化に関する設計技術、施工技術(ジェットブレンド工法)と組み合わせて、新しい原位置浄化技術「マイルドフェントン法−ジェットブレンド工法」として確立しました。
 「マイルドフェントン法−ジェットブレンド工法」は、実際の汚染浄化に適用され、その高い浄化効果を実証することに成功しました。ジェットブレンド工法は浄化剤を地盤内の特定深度に噴射攪拌することにより、効率のよい汚染浄化が可能となることを特徴とする工法で、今回、この新しい生分解性触媒の適用を前提に同工法を改良し現場適用を実現しました。今後はこの新しい浄化方法「マイルドフェントン法−ジェットブレンド工法」の営業展開を図ると同時に、各種汚染物質への適用性を順次検証していく予定です。

マイルドフェントン法 ‐ ジェットブレンド工法の概要
マイルドフェントン法−ジェットブレンド工法の概要

背景

 土壌・地下水汚染分野のうちVOCは、地中深く広範囲に汚染が拡がることを特徴とするものであり、浄化コスト削減のためには原位置浄化手法の確立が必須と言われてきました。原位置浄化には還元分解法、バイオレメディエーション等がありますが、これらの浄化方法はある種の汚染には非常に有効ではありますが、汚染物質の種類により選択的にしか浄化効果を発揮できない欠点がありました。今回開発した酸化分解法(マイルドフェントン法)は、過酸化水素と新しく開発した触媒を反応させることにより、有機汚染物質を分解するラジカルという物質を発生させるものであります(図参照)。このラジカルはあらゆる種類の有機汚染物質に対して浄化効果を発揮できるという特徴があり、例えば第一種特定有害物質である、芳香族類(ベンゼン等)と塩素化エチレン類(トリクロロエチレン等)の複合汚染、すなわち分解浄化するためには従来ニ種の方法を組み合わせる必要のあった汚染に対して、一度に分解し浄化を行なうことのできる特徴があります。また、今回確立した新しい浄化法「マイルドフェントン法-ジェットブレンド工法」は、生分解性触媒、過酸化水素を、地盤中の汚染された深度のみに均質に、混合攪拌することが可能であり、「複数種の汚染物質による深い地盤中の汚染」といった困難な汚染サイトであっても、短期間で確実な浄化効果を発揮することが可能となります。また本手法は、幅広いpH下でラジカルを発生させることができ、確実な浄化効果と同時に環境にやさしい施工を可能とします。

本技術の特徴と現場への適用

 今回の開発した、広い土壌pH域下での分解を可能とする生分解性触媒とそれを用いてジェットブレンドにより原位置浄化を行う手法について、その特徴を以下にまとめます。

 今回浄化を行った現場は、芳香族類と塩素化エチレン類の2種の汚染物質で第2帯水層(地上より深度方向に二つ目の深い地下水層)が汚染されている広さ約3,500m2の汚染現場であり、従来技術では、2種以上の浄化方法を組み合わせる必要があり、短期間での浄化が極めて困難なサイトでした。これに対してマイルドフェントン法−ジェットブレンド法を適用し、生分解性触媒と過酸化水素を順次、地盤深くに存在する複数種のVOC汚染地盤に混合攪拌し、3ヶ月という短い施工期間内で完全に環境基準以下までの浄化を行なうことができました。

浄化工事実施状況
浄化工事実施状況

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。