[2009/11/17]

ウォータースクリーン(水幕による防火設備)を
鉄道施設に初適用

京王電鉄新宿駅に避難安全性向上を目指して設置

 鹿島(社長;中村満義)はこのほど京王電鉄新宿駅に、水の幕による防火区画であるウォータースクリーンを設置しました。ウォータースクリーンは200ミクロンの微細な水粒子を噴出する特殊なスパイラルヘッドを連続して設置し防火区画を形成するシステムで、防火扉等と比較して火災時の高い避難安全性と救援消火活動を確保できます。京王電鉄新宿駅では、火災時における避難安全性向上工事として、地下2階のホーム階の階段入り口部分にウォータースクリーンを設置しました。既存の施設にウォータースクリーンが設置されたのは初めてです。

 2003年2月、韓国大邱市の地下鉄駅構内で発生した車両火災は、死者192名負傷者148名の大惨事となりました。この火災を契機に、日本でも地下空間における火災時の安全性向上が叫ばれ、鉄道事業者や自治体などで取組みが進んでいます。
 一般に地下駅では、万が一、プラットホームで火災が発生した場合、階段方向に火炎や煙が移動する懸念があります。そこで、京王電鉄では、火災時の避難安全性をより向上させるために、ホーム階(地下2階)から改札階(地下1階)へ上がる階段の入り口部分にウォータースクリーンを計6ヶ所設置しました。
 防火シャッター等は天井の収まりなどの関係で既存施設への適用が難しい場合がありますが、ウォータースクリーンは、天井裏に30cm程度のスペースがあれば設置できます。

 鹿島とホーチキ(根本健三社長)が共同で開発したウォータースクリーンは、水の幕により防火区画を形成するシステムであることから、防火扉や防火シャッターのくぐり戸に比べて一度に大勢の人が避難でき、消火活動においても、火元を目視しながら行えるというメリットがあります。また、車椅子や担架などの通り抜けも容易です。更に、水の幕なので、万が一、下に荷物などが置かれた場合でも防火区画が形成できるため、駅や地下街のように、不特定多数が利用する施設に特に有効と考えています。今回の京王電鉄新宿駅のように、既存施設への設置も可能です。
 ウォータースクリーンは2005年に特定防火設備として国土交通省の一般認定を取得し、幅50m、高さ6mの範囲までであれば複雑な手続きを経ずに設置できるようになりました。これまで、東京ビルディングの地下通路など数件の適用実績があります。

 鹿島では、既存施設のリニューアルにも対応できるウォータースクリーンを、不特定多数が集まる鉄道駅施設や地下街、商業施設、コンベンション施設などに積極的に提案していく方針です。

京王電鉄新宿駅 ホーム階の階段下部に設置されたウォータースクリーン噴霧の様子
京王電鉄新宿駅 ホーム階の階段下部に設置されたウォータースクリーン噴霧の様子

ウォータースクリーン 噴霧ノズル
ウォータースクリーン 噴霧ノズル

ウォータースクリーン設置範囲
ウォータースクリーン設置範囲

クリックすると拡大表示します
平面図
平面図

クリックすると拡大表示します
断面図
断面図

【京王電鉄新宿駅 ウォータースクリーン設置工事】

発注者京王電鉄株式会社
工事場所京王電鉄 新宿駅 地下2階
工期2007年6月〜2009年3月
施工者京王建設 (ウォータースクリーン設置工事:鹿島、ホーチキ)
WS概要設置場所:地下2階(ホーム階)階段 6箇所(合計12列)
一列あたり 幅1.65m、高さ2.76m、ヘッド数6個

関連プレスリリース

水の幕による防火区画「ウォータースクリーン」が一般認定取得(2005年5月24日)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。