[2010/04/05]

北海道新幹線・津軽蓬田トンネルでSENS工法を適用

安全性、経済性、施工性に優れた工法で、国内2例目の適用

国内初の大断面(外径11.3m)泥土圧式シールドマシンの地上発進

 鹿島(社長:中村満義)は、国内2例目となるSENS(センス)工法を、鉄道・運輸機構発注の北海道新幹線・津軽蓬田トンネル工事で適用しました。SENS工法は、シールド工法とNATMの利点を併せ持つ工法で、安全性、経済性、施工性に優れたトンネル構築システムです。今回の津軽蓬田トンネルでは、既往技術に加えて、掘削機構や内型枠の改善を行い、長距離・高速掘進を可能としました。工事では、昨年10月に大断面シールドマシンを無事発進し、このほど初期掘削(約150m)を完了しました。
 また、同工事では、大断面シールドマシンとして国内初となる地上発進工法を実施しました。今回の施工を通じて様々な工事データを蓄積し、施工ヤードが限られる都市部の大規模トンネル工事などへの提案に活かしていく方針です。

本工事の概要

 津軽蓬田トンネルは、北海道新幹線(新青森〜新函館)整備工事のうち、青森県東津軽郡蓬田村地内を通過する延長6,190mのトンネルです。2008年2月に着工し、泥土圧式シールドマシンを用いて、掘削外径11.3mのトンネルを2013年度初めの完成を目指して掘り進めます。

地図

トンネル断面図

SENS工法とは

 SENS工法とは、シールド工法の安全性と施工性、NATMの経済性を併せもった工法です。
 主な特徴は次の通りです。

 SENS工法は、東北新幹線・三本木原トンネル(延長4,280m)で初めて採用されました。津軽蓬田トンネルでは、既往技術に加えて、掘削機構や内型枠の改善を行い、長距離・高速掘進を可能としました。

SENS工法の施工概念図

SENS工法シールドマシン 概要図

国内初となる大断面シールドマシンの地上発進

 同トンネル工事では、大断面シールドマシンとして国内初となる小土被り(5m:掘削外径比0.4D)、地上発進工法を採用しました。従来までのシールドマシンの発進では、大規模な開削工法などでシールドマシンの発進立坑を構築する必要がありましたが、「地上・小土被り発進工法」の実用化により、立坑や開削などに必要とされる施工ヤードを最小限に抑えることができるほか、工期短縮、コストダウンが実現可能です。
 一方、地上発進工法では、シールドマシンを安定させる拘束力(外荷重や地盤反力)が小さいため、精度の高い掘進が難しく、小土被り区間での姿勢制御や地盤変状抑制といった課題を検証・解決する必要がありました。加えて、大断面シールドマシンでの掘削は地山への影響が大きく、解析及び実験レベルでの検証が難しい状況でした。
 今回の工事では、小土被り区間における掘進中の地盤挙動を、約200ヶ所に配置した自動計測器(地表面・地中沈下・地中水平変位)で連続計測を行い、掘削機の掘進管理データとの相関を確認しました。その結果、小土被り区間においても最大10mm以下の地表面沈下に制御、安定した掘進が可能なことを確認しました。同時に、現場施工に必要な土圧管理や切羽の安定対策、姿勢制御方法などに関する新しい知見を数多く収集することができました。

発進前のシールドマシン。 右が発進坑口
発進前のシールドマシン。 右が発進坑口

今後の展開

 鹿島では、SENS工法の今後の掘進実績により工法の確立を進めると共に、立坑やアプローチ開削の削減を可能とする地上・小土被り発進工法を、都市部の大規模トンネル工事などへ積極的に提案していく方針です。

北海道新幹線・津軽蓬田トンネル工事

発注者独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
工事場所青森県東津軽郡蓬田村地内
工期2008年2月〜2012年3月(その1工事約定工期)
施工者鹿島・鉄建・梅林・田中組特定建設工事共同企業体
規模シールド外径11.3m、延長6,190m(その1工事4,000m)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。