[2010/5/12]

iPhone向けアプリケーションソフト
「ききみみずきん™」を開発

鳴き声の聞き分けによる野生生物種の特定を支援する
「AIWIT」システムを搭載

生物多様性の取り組みに気軽に参加できるツールとして開発

 鹿島(社長;中村満義)、株式会社インターリスク総研(社長:内田進)、旭化成株式会社(社長:藤原健嗣)、JTBコミュニケーションズ(社長:前田和久)の4社は、 野鳥などの野生生物の鳴き声を記録し聞き分けることにより、生物種の特定を支援する「AIWIT(*1)」システムを使った、 iPhone向けアプリケーションソフト「ききみみずきん™」を開発しました。このソフトは次の機能を搭載しています。


 このような機能を用いることで、専門のガイドがいなくても誰もが野外フィールドで野生生物の知識を得られ、バードウォッチングなどの自然観察・調査を楽しむことが出来ます。 本年4月より千葉県立中央博物館との共同研究により、その自然観察地である生態園にて実地試験を開始し(*2)、9月末にはApp Storeでの発売を予定しています(価格未定)。


(*1) AIWITとは、AI Wildlife Information communication Tool(野生生物情報コミュニケーションツール)の略。 AIWITでは、認識エンジンとして旭化成(株)製音声認識エンジン“VORERO®”を利用し、人間音声の識別用音響モデルを野生生物の鳴き声識別用に置き換えています。

(*2) 平成15年度より、本システムを用い千葉県立中央博物館において、開発機による自然観察・環境調査活動(耳をたよりにプロジェクト)が実践され、 自然観察学習に効果を上げるとともに、地域の音環境調査を通じて地域環境資料の収集に重要な役割を果たしてきました。

開発の背景

本体イメージ画像

 従来のシステムでは、「AIWIT」を搭載したPDA(*3)とマイクにつないで持ち歩き、 つながれたマイクから野鳥などの野生生物の鳴き声を取得して聞き分けることにより生物種の特定をサポートしていましたが、 専用機器のコストや重量などが課題として挙げられていました。
 今回、近年のモバイル環境の進化やスマートフォン人気が高まっていることから、より多くの方が気軽に利用できるように、 iPhone向けのアプリケーションソフトとして開発。本ソフトを利用した野鳥観察などにより、一般の方々に対する生物多様性の啓発活動にもつながるよう、 GPS機能やデータアップロード機能などを追加し開発されたものです。

(*3) PDAとは、Personal Digital Assistantの略。携帯情報端末。



本ソフトの概要

 本ソフトは、野鳥などの野生生物の鳴き声をマイクから入力し、 AIWITにおいて鳴き声辞書(鳴き声音響モデル)を参照することで、ユーザによる生物種の特定をサポートするものです。
 iPhoneのマイク部分を野鳥の鳴き声に向けて録音ボタンを押すと、録音ボタンを押す数秒前からの鳴き声が記録されるとともに、鳴き声から予想される4種類ほどの野鳥が候補として表示されます。実際に録音した鳴き声と見本となる鳴き声を聞き比べ、ユーザが野鳥種を選択して鳴き声を保存し、マイバードリストページ(お気に入りの野鳥記録ページ)に、 データとして蓄積していきます。今回開発された「ききみみずきん™」では、野鳥に加えてかえるや昆虫なども含む40種類以上の野生生物の鳴き声の聞き分けによる特定をサポートします。 小学校等における環境教育も想定し、小学校3年生レベルでも直感的に理解できる、わかりやすいインタフェースを採用しています。
 また、iPhoneにはGPSが搭載されているため、ユーザは鳴き声の特定結果と観察した位置情報をセットで保存することが出来ます。これにより、自分がいる場所で過去にどのような野生生物を観察したかといった情報も記録できるようになり、 自分だけのオリジナル図鑑としても楽しむことが出来ます。
 このように、蓄積された自然情報を生物多様性の保全に有効に活用するため、将来的には鳴き声データや生物生息位置データのアップロード用の専用サイトも開設する予定で、 今後、自然環境データの有効利用を目的として、開発した4社に加え、学識経験者やNPO、教育関係者、自然ガイドなどから構成される協議会を立ち上げる計画です。


『本ソフトを使用したときのiPhoneの画面イメージ』

1.鳴き声を録音     2.候補となる生物をリストアップ  3.マイバードリストページに登録

1.鳴き声を録音       2.候補となる生物をリストアップ       3.マイバードリストページに登録

今後の展望

 今後は、iPhone以外のスマートフォンにも対応できるよう利用端末を拡大し、利用者数を増やすとともに、特定できる野生生物の種類も増やしていく予定です。 また、建設現場における環境モニタリングや学校の自然環境教育の授業、一般向けに行われている自然観察会などでの利用も期待されており、 生物多様性の取り組みへの参加を促していくためのツールとしても展開していく方針です。

各社の本ソフトにおける取り組み

鹿島:
生物多様性に配慮した建設事業を進めるため、環境モニタリングおよび評価技術の開発を手がける。 本ソフトを用いた社員教育や生物多様性保全の基礎的データとなる生物生息情報の収集・解析に取り組んでいる。

インターリスク総研:
生物多様性ビジネスリスクに関するコンサルティングを行い、本ソフトを用いてビジネスパーソンの生物多様性に関する理解度向上、 また本ソフトを用いた新規ビジネス開拓支援を検討している。

旭化成:
カーナビや業務用ハンディ端末等にて実用化実績がある音声認識エンジン“VORERO®”と鳴き声識別用音響モデルを提供。 最新のICT(情報通信技術)を使い、音に着目した環境モニタリング技術により、人びとのいのちとくらしを見守る新しい枠組みの創出に取り組んでいる。

※ VORERO®は、旭化成株式会社の登録商標です。VORERO®に関する詳細につきましては、
旭化成:VORERO®のHP 別ウィンドウが開きます をご参照ください。

JTBコミュニケーションズ:
交流文化産業をテーマとしたコミュニケーションに関する新規事業開発として、本ソフトのプロデュースを手がける。 本ソフトを起点として、地域の自然環境保護施設等での教育プログラム化〜導入などまで、総合的なコミュニケーションを検討している。


*iPhoneおよびApp StoreはApple Inc.の商標です。
*iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
*その他、記載されている会社名および商品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。

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