鹿島(社長:中村満義)は、国内で2例目となるSENS(センス)工法を、鉄道・運輸機構発注の北海道新幹線・津軽蓬田トンネル工事で適用しています。
津軽蓬田トンネルは、本州側では最も長いトンネルで全長6,190m、中間立坑は発進坑口より約2,900mのほぼ中間地点に位置します。
3月11日の震災では、長時間にわたる停電の影響により、設備の一部にダメージを受けました。復旧作業には5週間を要し、その間の掘進は停止していましたが、掘進速度の向上により、震災前の目標である7月初旬の到達に対し20日程度早い、6月21日に中間立坑に到達することができました。
中間立坑に到達した掘削機
SENS工法は、東北新幹線・三本木原トンネル(延長4,280m:内SENS3014.8m)で初めて採用されました。津軽蓬田トンネルでは、既往技術に加えて、掘進機構や内型枠の改善を行い、長距離施工の実現と高速掘進を目指して施工を進めてきました。
その結果、平成23年2月には243mを掘進し、SENS工法における最大月進を更新しました。
震災後の工事再開にあたり、7月からの節電に対応するために、電力消費の大きいシールド掘進を6月末までに完了させ、より電力消費の小さいメンテナンス工事へ移行させることを目標としました。
4月18日の再開時点では、残りの距離は520mあまり、期間は2ヶ月半と過去実績からと考えると大変高い目標設定でしたが、「がんばろう東北」のスローガンのもと、更なる高速掘進を目指して、施工管理を強化するなど全社の力を結集することにより、5月18日〜6月17日の1ヶ月間で337.5mの掘進を行い、7月からの節電期間前に中間立坑に到達することができました。
施工条件は、砂主体の地質であり、土被りは最大で90m以上に達するなど、都市部で施工される一般的なシールドトンネルよりも、掘削機にとって負荷の大きい、厳しい環境となっています。
このような厳しい条件のもとでも、2,900mにおよぶ長距離を一度に掘削できるように、シールド機のビット(地山を切削する刃)配置を最適化した設計とするとともに、掘進中のビットの減少率を綿密に計測して適切な施工管理を行うことで、途中で交換を行うことなく、中間立坑まで到達しました。
中間立坑では、ビットの交換、掘削設備のメンテナンスを実施して、到達坑口までの3,100mの掘削に備えます。
厳しい環境下で長距離を一度に掘削
津軽蓬田トンネルでは、土被り90mにおよぶ大深度施工や、土被り5mでの河川横断など多様な条件下での施工を行っています。
当社では、これらの施工で得られた知見を基礎としてSENS工法の確立を進めると共に、都市部での大規模トンネル工事などへ適用できるよう更なる技術開発に取り組んでいく方針です。
震災は東北地方に甚大なる被害をもたらしましたが、北海道新幹線の完成が復興の一助となることを願い、一日でも早くトンネルを完成させるよう頑張っております。
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | |
青森県東津軽郡蓬田村地内 | |
2008年2月〜2014年9月(他1、他2工事約定工期) | |
鹿島・鉄建・梅林・田中組特定建設工事共同企業体 | |
シールド外径11.3m、延長6,190m |
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