[2012/10/03]

停電時におけるコージェネレーションシステムの
効果的な運転制御装置「ジェネスマート」の開発と
大型複合施設「東京イースト21」への導入について

東京ガス株式会社
鹿島建設株式会社
株式会社エネルギーアドバンス

 東京ガス株式会社(社長:岡本毅、以下「東京ガス」)は、東日本大震災以降、社会的な要請が高まっている地域の災害対応力の向上に貢献するため、停電時にコージェネレーションシステム(以下「コージェネ」)を効果的に運用するための制御装置「ジェネスマート」を開発しました。「ジェネスマート」は、鹿島建設株式会社(社長:中村満義、以下「鹿島建設」)がスマートエネルギーネットワーク※1の構築を進める既存の大型複合施設「東京イースト21」(東京都江東区)に初めて導入をいたします。本年10月中に「ジェネスマート」の導入を含むスマートエネルギーネットワークの構築に着工し、2013年2月末に竣工の予定です。
 「ジェネスマート」の導入を含む「東京イースト21」のスマートエネルギーネットワーク構築については、東京ガス、鹿島建設、株式会社エネルギーアドバンス(社長:三浦千太郎、東京ガス100%出資子会社、以下「ENAC」)が共同で設計、工事を行い、維持管理、運営についても3社が協力して実施してまいります。

 ※1:スマートエネルギーネットワークとは、コージェネ等の分散型エネルギーシステムに、再生可能エネルギーとコージェネ廃熱等の未利用エネルギーを組み合わせ、情報通信技術によって電気と熱を最適に制御し、地域で効率的に活用するシステムです。スマートエネルギーネットワークは、エネルギーセキュリティの向上、省エネ・省コスト、再生可能エネルギーの導入に貢献します。


「ジェネスマート」について

<開発の背景>
 コージェネは、必要な場所で電気をつくり、同時に発生する熱を有効利用することで省エネ・省CO2に貢献する設備です。東日本大震災以降は、停電時にも自立運転が可能な仕様のコージェネ(以下「停電対応コージェネ」)に対するお客さまの関心が高まりました。
 「東京イースト21」のスマートエネルギーネットワーク構築にあたり、さらなるエネルギーセキュリティの向上と事業継続計画(BCP)への貢献の観点から、東京ガス、鹿島建設、ENACの3社が、コージェネの電気を停電時にも効果的に利用するという構想を策定し、東京ガスが「ジェネスマート」を開発しました。

<概要>
 「ジェネスマート」は、停電時にコージェネの能力を最大限に引き出す制御装置です。従来の停電対応コージェネは、自立運転時に電気を供給する負荷を予め設定し、それ以外の負荷を自立運転時には遮断します。あらかじめ設定した負荷に確実に電気を供給することができますが、コージェネの発電能力に余力がある場合でも、他の負荷に電気を供給することができません。「ジェネスマート」を導入すると、あらかじめ設定した優先度の高い負荷に電気を供給した上で発電能力に余力がある場合には、その他の負荷にも電気を供給することができます。自立運転中にコージェネの発電余力がなくなった場合には、その他の負荷への電力の供給を遮断することで、コージェネの運転を継続します。
 東京ガスは今後、コージェネの付加価値向上策として、オフィスビルや再開発エリア等で、お客さまのご要望に合わせ「ジェネスマート」の導入を進めてまいります。


従来のコージェネ
従来のコージェネ


ジェネスマート導入時のコージェネ
ジェネスマート導入時のコージェネ



<主な特長>
◇発電能力最大活用
 発電能力を最大限に利用できるように、優先度の高い負荷だけでなく、発電能力に余力がある場合には、他の負荷にも電気を供給します。
◇長期自立運転
 コージェネの発電余力がなくなった場合、優先度の低い負荷への電気の供給を自動的に遮断することで、優先度の高い負荷に継続して安定的に電気を供給します。再び発電余力が生じれば、優先度の低い負荷にも電気の供給を再開します。

「東京イースト21」について

 「東京イースト21」は、鹿島建設が所有するオフィス、ホテル、商業施設からなる既存の大型複合施設で、電源の自立性と施設全体でのエネルギーの面的な有効活用を目指して、スマートエネルギーネットワークの構築を進めています。
 今回新設する700kWのコージェネは、耐震性が高い中圧ガス導管からガスの供給を受け、停電時には自動で運転を再開するブラックアウトスタート(BOS)機能を装備します。既存の350kWのコージェネ2基と合わせて施設全体のピーク時電力の約30%をコージェネから供給します。また、冷房設備として、既存の蒸気焚きナチュラルチラー1基を廃熱利用効率の高い蒸気焚きジェネリンクに更新し、他の冷房設備に優先して運転する制御をすることで、コージェネの廃熱を冷房に有効利用します。
 「東京イースト21」では、コージェネ等でつくった熱と電気を、需要パターンが異なるオフィス、ホテル、商業施設の建物間で面的に有効活用します。700kWのコージェネと蒸気焚きジェネリンクの導入によって、これらの設備を導入しなかった場合と比べて※2約20%の省エネ、年間約440tのCO2削減を実現します。
 新設する700kWの停電対応コージェネは、2012年度ガスコージェネレーション推進事業費補助金の採択を受けています。

 ※2:ガス焚きボイラーで熱をつくり、コージェネで発電する代わりに系統電力を使った場合との比較。

「ジェネスマート」の「東京イースト21」への導入について

 「東京イースト21」のスマートエネルギーネットワーク構築に伴い、新設する700kWのコージェネとオフィス棟を結ぶ災害時自立電源系統を建設し、「ジェネスマート」を導入します。オフィス棟の専用部を優先度の高い負荷と設定し、都市ガスの供給が継続する限り、20VA/m2※3の電気をコンセントや照明等に供給します。さらに余力があれば、共用部の照明等にも電気を供給します。
 今後は、東京ガス、鹿島建設、ENACの3社が、施工や運用についての評価等を共同で実施し、スマートエネルギーネットワークの普及に貢献してまいります。

 ※3:VA(ボルトアンペア)は、消費電力の単位で、投入される電気エネルギーを表します。 


「東京イースト21」におけるスマートエネルギーネットワーク
「東京イースト21」におけるスマートエネルギーネットワーク



 詳しくは、こちらをご覧下さい。
『「東京イースト21」建築概要及び設備概要(PDF:416KB)』 別ウィンドウが開きます

<本件に関するお問い合わせ先>
東京ガス株式会社 広報部 報道グループ TEL:03-5400-7675
鹿島建設株式会社 広報室 報道グループ TEL:03-6438-2557
株式会社エネルギーアドバンス ソリューション企画部 TEL:03-6403-0511


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