水島第二パイプライン防護設備建設工事の事故対応工事着手について
〜横坑内充填とシールド機および先端部セグメントの引き揚げ〜
鹿島(社長:中村満義)は、水島コンビナートにおけるJX日鉱日石エネルギー(株)・第二パイプライン防護設備建設工事におきまして、掘削工事中の2012年2月7日に発生した異常出水により、工事に従事されていました5名の方々がお亡くなりになるという甚大な事故を引き起こしました。
改めまして、亡くなられた5名の方々のご冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に対して心より深くお詫び申し上げます。また、関係各位に多大なご迷惑をお掛けしておりますことを重ねてお詫び申し上げます。
当社は、事故直後から関係当局のご指導を仰ぎながら捜査ならびに原因究明に全面的に協力してまいりました。そして、今般、海底シールドの横坑内の充填ならびに原因究明の一助となることを目的に事故発生個所と推測されるシールド機および先端部セグメントを海底の土中から引き揚げる工事に着手することになりましたので、その概要をお知らせいたします。
なお、今回の横坑充填ならびにシールド機引き揚げ工事にあたりましては、現在、施工方法等について関係諸官庁と綿密に協議・検討を行っているところであり、関係機関、近隣企業他にも工事概要を事前説明させていただき、一定のご理解をいただいております。また今後の工事遂行にあたりましても、捜査当局のご指導を仰ぎながら慎重に施工を進めるとともに、シールド機、先端部セグメントの海中ならびに引き揚げ後の調査・現認作業に全面的に協力してまいります。
工事の目的
本工事は、シールド掘進中に発生した異常出水事故の原因究明の一助として、立坑、横坑内からの調査で現認できなかったシールド機および先端部セグメントの引き揚げと、既に施工済みの横坑を存置する対策として水島港内の海底地盤の将来にわたる安定性・安全性確保のために横坑内の充填を行うことを目的とするものです。
工事の概要
工事名 |
: 水島第二パイプライン防護設備・事故対応工事 |
施工者 |
: 鹿島建設株式会社 |
工事期間 |
: 2012年10月1日〜2013年9月30日(事前準備工事を含む) |
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(海上工事は2013年4月1日〜9月30日の予定) |
工事場所 |
: 岡山県倉敷市水島海岸通四丁目〜潮通二丁目 |
主要工事 |
: 横坑充填工事 約 1,700m3 |
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浚渫工事 約 23,000m3 |
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鋼管杭打設 62本 |
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埋戻工事 約 24,000m3 |
工事の施工手順(予定)
- 立坑内の横坑坑口をコンクリートの壁で塞ぎ、立坑内を満たしている海水を排水して、立坑内をドライな状態にします。その後、坑口から横坑内部に注入管を用いて充填材を注入します。
- 横坑内部の充填材注入が完了したら、海底磁気探査を行った後、シールド機と先端部セグメント直上の海底土砂を取り除く浚渫工事を行ないます。
- 浚渫工事は、工事の影響が周辺の施設(第一パイプラインや桟橋等)に及ばないよう二段階に分けて実施します。
- 第一段階の浚渫工事は、シールド機と先端部セグメントに影響を及ぼさない範囲までの掘削であり、海上に停泊させたグラブ浚渫船で浚渫します。
- 第一段階の浚渫完了後、シールド機及びセグメント先端部を傷付けないよう、シールド機の周囲に鋼管杭を打設します。
- 鋼管杭打設後、第二段階での浚渫工事においては、シールド機と先端部セグメントを損傷させないよう、エアリフト(※)を併用して慎重に土砂を取り除き、シールド機と先端セグメントを海中に露出させます。
- 海中に露出したシールド機と先端セグメント周囲の土砂をエアリフトならびにダイバー作業により取り除き、海中での調査・現認作業をできる範囲で行った後、まずは先端部セグメントを順次クレーン船により海上へ引き揚げ、最後にシールド機を引き揚げます。
- 引き揚げたシールド機と先端セグメントは、地上等での調査・現認作業を行います。
- シールド機と先端セグメントを引き揚げた後の浚渫箇所は、本来の海底面まで埋戻しを行ないます。埋戻しには浚渫土(砂礫)を使用し、不足分は海砂を使用します。
- 埋戻し後、深浅測量により本来の海底面までの埋戻しが完了していることを確認し、引き揚げ工事終了となります。
(※)エアリフト:水中に垂直に立てた管に圧縮空気を吹き込み、管内外の液体の比重差により揚水するポンプ
I.浚渫工事断面図
II.鋼管杭打設断面図
III.浚渫工事断面図
IV.シールド機・セグメント引き揚げ断面図
V.埋戻工事断面図
Y.施工完了時断面図
工事施工中の作業時間と安全対策等
- 工事にあたっては、当該海域の関係者と協議を行い、ご迷惑をなるべくお掛けしないように進めます。海上工事(浚渫工事から埋戻し工事完了まで)は最終のシールド機の海上引き揚げ作業を除き、原則として全て「夜間」に行う計画です。
- 工事にあたっては、以下の対策を取り、作業の安全と環境配慮には万全を期します。
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施工上のリスク(潜水病、潜水作業・掘削作業中の地盤や横坑の崩落、引き揚げ作業中のシールド機やセグメントの落下、第三者船舶との接触等)に対して、リスクアセスメントを実施し、対応策を講じます。
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今回の作業海域は、船舶航路内ではありませんが、海上工事期間は、安全確保のため工事場所周囲には警戒船(4隻)を配置し、周辺を航行する船舶等を監視します。
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横坑内部を充填する充填材は、粘度が高く海中でも分離しない材料で、海中に溶け出したり、拡散することがなく、海域を汚濁することがありません。