鹿島(社長:中村満義)は、千葉県銚子沖約3kmの海上に建設を進めていた日本で初めての着床式洋上風力発電設備を完成させました。
この事業は、台風や地震などの日本の厳しい自然環境に適用できる洋上風力発電技術確立を目的とした独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による洋上における風力発電の実証研究です。洋上風力発電システムとして風車をNEDOと東京電力の共同事業で、洋上風況観測システムとして観測タワーをNEDOから委託を受けた東京電力と東京大学が実証研究を行っています。当社は東京電力の発注を受け、観測タワーと洋上風車の建設を担うとともに、東京電力から再委託で、風車基礎の研究開発を担っております。洋上は、障害物が無く、陸上より安定的に強い風力が得られ、発電効率が高いメリットがあります。今後約2年間、風向きや風の強さと発電量の関係などの調査が進められます。
工事名 | : 洋上風力発電システム建設工事、洋上風況観測システム建設工事 |
発注者 | : 東京電力株式会社 |
設計者 | : 風車 ---鹿島建設株式会社、株式会社小堀鐸二研究所、三菱重工業株式会社 |
観測タワー ---鹿島建設株式会社、株式会社小堀鐸二研究所、株式会社巴コーポレーション | |
施工者 | : 鹿島建設株式会社 |
工事場所 | : 千葉県銚子沖約3km |
工期 | : 2010年12月〜2013年1月 |
工事概要 | : 風車 ---海面からの高さ126m、ローター径92m、定格出力は2400kW(一般家庭1200戸分) |
風況観測タワー ---海面からの高さ100mの鋼管トラス鉄塔、風向・風速計他各種観測装置装備 |
●基礎の設計、製作
洋上風車の基礎の設計では、陸上風車の設計で考慮する荷重に加えて、波浪による力(波力)を考慮する必要があります。設計用波力は、水理模型実験から得られた波浪の不規則性等も考慮して設定しています。さらに、風力と波力が作用する同時性や、地震発生時の海水の影響を考慮するなど、陸上風車基礎とは大きく異なる設計方法を採用しています。また、建設に先立ち実施した建設地点での波浪観測により、東北地方太平洋沖地震で襲来した銚子沖の津波が観測でき、水理実験で本基礎模型に同様の津波を作用させて安全性を確認しました。
基礎の構造は、施工時の可搬性(陸上で製作した基礎を建設地点まで輸送する)を考慮して中詰め材を後施工できるケーソンタイプの重力式コンクリート基礎としています。形状はより大きな波力が作用する海面付近を出来る限り細くした三角フラスコ型を採用し、波の影響を小さくするための設計的配慮をしています。また、ケーソン外壁は、軽量化とひび割れ対策のために、プレストレストコンクリート(PC)壁構造としています。PC鋼材の配置には、PC卵形消化槽のPC鋼材の螺旋状配置技術を応用し、耐荷性能と耐久性を確保しています。さらに、基礎底面には摩擦を増大させるためのアスファルトマットを取付けることで安定性を確保しています。
風車ケーソン基礎の鉄筋、PC鋼材の配置 | 完成した風車、観測タワーケーソン基礎 |
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