[2013/04/03]

後添加型特殊混和剤によるトンネル覆工用中流動コンクリートの開発

現場で特殊混和剤を添加することで中流動コンクリートを製造・打設

 鹿島(社長:中村満義)は、BASFジャパン(社長:ヨルグ-クリスチャン シュテック、東京都港区)と共同で、トンネルの覆工に広く適用することができる、後添加型特殊混和剤を用いた中流動コンクリートを開発しました。
 本工法は、現場にアジテータ車で搬入されたスランプフロー15cm程度の通常の覆工用コンクリートに、特殊な混和剤を打設直前に現場で添加して流動化し、スランプフロー40cm程度の中流動コンクリートを製造するものです。

コンクリート流動化前後

開発の背景

 トンネル覆工用の中流動コンクリートは、スランプフロー35〜50cmで、一般的な覆工用コンクリートと高流動コンクリート(締固め不要のコンクリート)の中間的な性状を有するコンクリートです。型枠バイブレータの軽微な振動で確実に流動・充填させることができるため、特に施工が難しい覆工コンクリートの鉄筋区間や天端部の品質向上に有効です。中流動コンクリートは、材料分離抵抗性を確保するために、一般的には石灰石微粉末やフライアッシュ等の粉体を追加する必要があります。しかし、これら粉体の調達が困難であったり、粉体を貯蔵しておくための設備(サイロ)がない等の理由から、一部の地域では市中の生コン工場での製造が難しいことが課題となっていました。

後添加型特殊混和剤による中流動コンクリートの概要と特徴

 この課題に対処するため、鹿島では、高性能AE減水剤と増粘剤を一液にした特殊混和剤を使用して中流動コンクリートを生コン工場で製造する技術を、2011年に開発・実用化しています。本工法はこの技術をさらに発展させ、覆工用コンクリートに「現場で」特殊混和剤を添加し中流動コンクリートを製造することができることに特徴があります。現場に搬入した後に中流動コンクリートを製造できるため、粉体の調達や生コン工場への設備増設の必要がなく、より多くの現場で中流動コンクリートを適用することができます。
 従来の流動化剤では、通常の覆工用コンクリートを流動化しても、流動性だけが大きくなり著しい材料分離が生じてしまうため、中流動コンクリートにすることはできませんでした。本工法では、高性能AE減水剤と増粘剤を一液にした特殊混和剤をベースに開発した新しい流動化剤の使用により、コンクリートに流動性と材料分離抵抗性を同時に付与することが可能となり、中流動コンクリートに必要な性状を確保できます。

従来の流動化剤と後添加型特殊混和剤との比較
混和剤に浸したガラス棒を引き上げたときの様子。従来の流動化剤(右側のビーカー)は点滴状に落ちるが、後添加型特殊混和剤はガラス棒の先端から糸を引くように垂れ、混和剤そのものに粘性があることが分かる。

今後の展開

 鹿島では、特殊混和剤を生コン工場で添加するタイプの中流動コンクリートと合わせ、今回開発した後添加型中流動コンクリートを山岳トンネルに展開し、更なる覆工コンクリートの品質向上を推し進めていく方針です。


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