鹿島(社長:中村満義)では、医薬品工場からの排水に含まれる有害な微生物・ウイルス等の無害化(不活化)を目的として、これまでに国内向けに6基の連続熱式不活化処理装置(特許取得済)を納入して来ましたが、これらの実績を通じて得たノウハウをもとに装置のユニット化を図り、大幅な省スペース・高品質化を実現しました。
また、これまで蓄積した、微生物・ウイルスを不活化するために必要な温度や時間に関する不活化条件をデータベース化したことで、対象とする製剤の特性に応じて不活化条件を迅速に提案することが可能となりました。さらに、今回新たに開発したシミュレーション解析プログラムにより、必要とされる不活化条件を満たすことを装置設計段階で検証できるようになりました。
今後は国内のみならず、医薬市場が大幅に増大すると予測される新興国へも連続熱式不活化処理装置を積極的に展開していきます。
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連続熱式排水不活化処理装置 ユニット3Dイメージ | 連続熱式排水不活化処理装置 |
近年におけるインフルエンザの世界的な感染流行や新興国のワクチン接種率の上昇から、世界的にもワクチン・バイオ製剤などの生産量の増加が予想されます。生産量の増加は、製造に伴って発生する微生物やウイルスを含んだ排水量の増大につながるため、その不活化処理へのニーズが高まっていくものと考えられます。
これまで、微生物やウイルスを含んだ排水(ハザード排水)の熱による不活化処理には、排水を一定量タンクに貯めてから熱処理を行う、バッチ式と呼ばれる不活化方式が採用されてきました。しかし、これには装置自体の規模が大きく、またエネルギー消費量も多いという課題がありました。そこで、鹿島では、排水をタンクに貯めることなく配管内の排水に連続的に熱をかけて不活化する連続熱式不活化装置を開発して装置の小型化や省エネルギーを図り、これまでに国内で6基を納入してきました。
鹿島はこれまでの実績を通じて得たノウハウを整理・集約し、国内外で拡大する医薬品工場排水の不活化処理に対応すべく、連続熱式不活化処理装置のユニット化、ウイルス・微生物の不活化条件のデータベース化及び温度シミュレーション解析プログラムの開発を行いました。これらのデータベースやプログラムは、鹿島独自のノウハウとして、装置の設計に活用していきます。
連続熱式排水不活化処理装置 システムフロー(一例)
今後は日本国内へのさらなる展開に取り組むとともに、医薬品市場の伸びが著しい太平洋諸国・アジア地域等をはじめとする新興国等、海外への展開も予定しています(外国特許出願中)。中国では、鹿島が特許の実施を許諾した日本メーカーが、中国の医薬品製造装置メーカー大手(トフロン社)と合弁会社を設立し、連続熱式不活化処理装置を現地で製造・納入できる体制を整えました。
また、連続熱式不活化処理装置の国内外への展開を推進すると同時に、医薬品工場の他の排水に対しても中和処理や生物処理・凝集処理など様々な排水処理システムを積極的に提案していきます。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。