[2013/10/28]

小土被り、軟弱粘性土層の海底シールドトンネルが貫通

〜国道357号東京港トンネル工事〜

 鹿島(社長:中村満義)は、東京都品川区の臨海副都心と大井を結ぶ一般国道357号西行きトンネルを、泥土圧式シールド工法にて鋭意施工を進めてきましたが、このたび延長約1470mのシールド工事が到達し、海底トンネルが貫通しました。
 本工事は、当社でも2例目となる地上発進、地上到達にて計画され、新たな発想・工法によって課題を克服し、極めて短期間での到達を達成したものです。

地上到達の状況
             地上到達の状況

357号東京港トンネル工事

 本工事は、首都高速道路湾岸線の慢性的な渋滞緩和を目的として新たに整備される、国道357号線臨海副都心〜大井間の海底道路トンネルを建設するものです。
 現場施工期間の大幅な短縮が求められたことや、小土被り(0.5D:シールドマシン直径の半分の深さを掘削)で、かつ軟弱な粘土層を通過する海底シールドトンネルであることなど、さまざまな課題を克服する必要がありました。

さまざまな課題を新たな発想で克服

1.地上発進・地上到達

 シールド工事では、発進・到達それぞれに深い立坑を設け、地下から発進し地下へ到達するのが一般的ですが、ある程度掘進した後、後続台車などを地上から降ろして装備する手間が発生します。本工事では、小土被りの道路線形を考慮しながら、この手間を省略した工程短縮を実現するため、地上から後続台車を連結して発進し、そのまま地上へ到達する工法を採用しました。
 地上発進部や地上到達部では、地盤反力などシールドマシンを安定させる力が小さく、シールドマシンの姿勢制御が非常に難しいという課題がありますが、同様に地上発進・到達を行った北海道新幹線・津軽蓬田トンネル(2012年10月到達)で得た知見をフルに活用し、無事地上到達まで完了させました。

地上発進の状況
地上発進の状況


地上発進の模式図

地上到達の模式図
  地上発進の模式図(上) と 地上到達の模式図(下)


2.「ボックスダンプ™工法」

 本工事の海底掘削部は、小土被りで、かつ非常に軟弱な地質であるため、掘削したトンネル自体が浮力で浮き上がる懸念がありました。そこで掘削後すぐに、トンネル坑内に重しを置くことでこれを防止することとし、この重しをそのまま床版として利用することを検討しました。

 さらに、床版の一部をボックスカルバートにすることで、完成後の避難通路もあらかじめ構築できること、併せて、掘削直後に床版が出来上がっていることから、坑内の運搬にダンプトラックを使うことを検討し、「ボックスダンプ工法」を考案、実施しました。
 本工法では、セグメント幅に合わせた奥行き2mのプレキャストコンクリート6ピースからなる床版を、セグメント組立の後方ですぐに設置していきます。これにより、床版コンクリートを現場で打設していく従来工法と比較して、工程が約半減できること、また現場作業が大幅に低減するなど、安全性、及び作業効率の向上が図れました。
トンネル断面図
トンネル断面図
 また、掘削土砂の搬出や、セグメント・ボックスカルバートの搬入など、坑内運搬をすべて「タイヤ」で行うことが可能になり、通常必要な搬送設備(レール、ベルトコンベアなど)の設置やメンテナンスが不要になるとともに、ボックスカルバートを換気用風管として併用できるなど、大きな利点がありました。

床版の設置状況ダンプトラックへの残土積込
床版の設置状況  ダンプトラックへの残土積込

 このように、東京港トンネル工事においてはさまざまな課題を新たな発想や工法で克服してきました。 来年3月末の竣工に向け、残る二次覆工などの仕上げ工事にも、安全・品質に万全を期して施工にあたります。

工事概要

工事名  : 357号東京港トンネル工事
工期  : 2010年12月〜2014年3月(約39ヵ月)
発注者  : 国土交通省 関東地方整備局
設計者  : 357号東京港トンネル工事鹿島・大林特定建設工事共同企業体
施工者  : 357号東京港トンネル工事鹿島・大林特定建設工事共同企業体
工事諸元  : 泥土圧式シールド工、仕上がり内径10.4m、トンネル延長1470m

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。