[2013/11/27]

ブリッジマネジメントシステム「BMStar®
青森県で維持管理コストを大幅削減

社会インフラの長寿命化に向けて 橋梁維持管理コスト低減を提案

 鹿島(社長:中村満義)は、2006年に青森県と共同で開発したブリッジマネジメントシステム(現:BMStar®)が、青森県の橋梁維持管理において6年間運用された結果、BMStarの高い実用性が証明され、維持管理コストの削減に貢献したことを確認しました。
 青森県では、2006年当初、従来の「事後保全的」維持管理を続けた場合、50年間の維持管理費用は1,518億円と試算されました。そこでBMStarの導入・運用による「予防保全的」維持管理に大きく舵を切りました。当初の5年間に集中投資を行い、橋梁の健全度を回復させた後、適切な点検と、「予防保全的」維持管理を続けた結果、2012年からの50年間の維持管理費用が669億円と見込まれることが明らかになりました。

開発の背景と経緯

 高度成長期に建設された社会インフラの多くは建設後数十年が経過し高齢化が著しく、その対策は待ったなしの状況です。国土交通省も今年3月、「社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置」という指針を発表、自治体にインフラ総点検の実施と、修繕・長寿命化計画の策定を求めています。しかし、各自治体等では予算の制約等で、その対策はなかなか進んでいないのが現状です。
 鹿島は、2004年度から2005年度にかけて青森県から橋梁アセットマネジメントシステムの開発業務を受託し、橋梁の適切な点検を支援し点検データを最大限に活用することで、橋梁の実態と予算制約に則した維持管理計画を構築することができる日本初のブリッジマネジメントシステムを開発しました。
 このブリッジマネジメントシステムを全国の橋梁管理者に利用してほしいという青森県の意向を受け、2007年、「BMSコンソーシアム」(会員数:36社(2013年9月現在))が財団法人大阪地域計画研究所(現一般財団法人大阪地域計画研究所)に組織されました。BMSコンソーシアムは、青森県版のブリッジマネジメントシステムをベースに汎用化した「BMStar」を、全国の自治体等に普及させることを目的とした組織です。

     2004年 鹿島、ブリッジマネジメントシステムの開発業務を青森県から受託
     2006年 青森県、ブリッジマネジメントシステムの運用を開始
     2006年 青森県、「5か年(2006年度〜2010年度)のアクションプラン」作成
     2007年 BMSコンソーシアムが発足、汎用型「BMStar」の普及・展開を開始
     2008年 青森県、「橋梁長寿命化修繕計画(2008年度〜2017年度)」策定
     2012年 青森県、「橋梁長寿命化修繕計画(2012年度〜2021年度)」策定

導入効果

 青森県は2006年にBMStarを導入、運用を開始しました。
 2006年当初のアクションプランでは、BMStarによるアセットマネジメントを導入し、事後保全的維持管理から予防保全的維持管理へシフトすること、更に最初の5年間に集中的に投資することにより、2006年から50年間の維持管理予算は1,518億円から807億円へ縮減となりました。
 2008年、アクションプランを見直し、「青森県橋梁長寿命化修繕計画」を策定しました。それによると、2008年から50年間の維持管理予算は745億円(2011年以降は14.5億円/年で一定)と試算されました。
 さらに、昨年5月、2006年からの6年間の事業実施結果と2巡目の定期点検が完了したため、新たな青森県橋梁長寿命化修繕計画を策定したところ、2012年からの50年間の維持管理予算は669億円となり、すべてを事後保全的維持管理とした場合の1,344億円に比べ675億円の削減となりました。また、2008年の計画と比べてみると、2012年〜2031年の20年間は14.5億円/年、その後2032年から30年間は12.6億円/年となっており、長期にわたり安定的に維持管理ができることが明らかになりました。

青森県橋梁長寿命化修繕計画における予算計画の推移
                           青森県橋梁長寿命化修繕計画における予算計画の推移

 BMStarで得られた予算計画に沿って対策を実施し、計画どおりに維持管理を推進できたことから、BMStarの予算計画立案の精度が実用レベルにあることが改めて明らかになった上、BMStarの導入・運用により橋梁維持管理コストの大幅な削減が確認されました。

今後の展開

 BMStarは、橋梁の維持管理に必要な全業務を一貫して支援するシステムとして、BMSコンソーシアムを通じて、全国の自治体に提供されています。また、BMSコンソーシアムに加入した多くのコンサルタントが維持管理計画の策定を支援いたします。鹿島では、今後も更なる改善を加えて完成度を高め、社会インフラの長寿命化と維持管理コストの削減を支援するシステムとしてこのBMStarを広く提供していく方針です。

参考

 BMStarの概要につきましては、こちらをご覧下さい。
 『BMStar®の概要(PDF:317KB)』 別ウィンドウが開きます


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