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プレスリリース

[2016/06/09]

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日本初!新区界トンネルに4ブームフルオートジャンボを導入

専任オペレータ1名による削孔作業を実現し、削孔時間を2分の1以下に短縮、余掘りも40%低減

 鹿島(社長:押味至一)は、岩手県で施工中の新区界トンネル工事において、日本初となる4ブームフルオートコンピュータジャンボ(アトラスコプコ社製XE4C)を導入し、本坑掘削に適用しています。同機がもつフルオート削孔機能により、専任オペレータ1名による削孔作業を実現するとともに、最新鋭ドリフタ(削孔装置)との相乗効果により、削孔に要する時間が従来のドリルジャンボに比べて2分の1以下に低減、余掘りも40%低減できることを確認しました。

新区界トンネル工事に導入された4ブームフルオートジャンボ

新区界トンネル工事に導入された4ブームフルオートジャンボ

開発の背景

 近年熟練労働者の減少が懸念される中、トンネル工事においてもいわゆる『山を読む』(山の地質状況を予測する)ことができる熟練作業員が、急速に減少しています。
 このような中、削孔を省力化する目的でコンピュータを搭載したドリルジャンボが採用されるようになりましたが、削孔の位置合わせは機械の設置座標と切羽面の座標を元に、作業員がキャビン内の小型画面でブームを誘導する方式が取られています。この方式は作業員の熟練度に依存する部分が多く、また操作も1ブームあたり1名の作業員が必要でした。
 一方で、中央新幹線の建設工事に代表されるように山岳トンネルの長大化が進み、高速施工のニーズがますます高まっており、その実現には、切羽における装薬のための削孔時間の削減と、トンネル掘削断面の余掘り低減が重要となります。
 そこで鹿島は、岩手県で施工中の5,000m級の長大トンネルである新区界トンネル工事に、日本で初めて4ブームフルオートジャンボを導入し、4つのブームの削孔作業を専任オペレータ1名で行うことを可能とするとともに、削孔時間の短縮と余掘りの低減を図りました。

4ブームフルオートジャンボ(XE4C)導入による効果

 従来、装薬のための削孔作業には、1ブームあたり1名の作業員が必要でしたが、フルオートジャンボの導入により、4つのブームを1名の専任オペレータで操作することが可能となり、省力化と工事の効率化が図れます。また、コンピュータによるフルオート削孔により、作業員の熟練度に頼らない削孔作業を実現しています。さらに、専任オペレータはフルオートジャンボの運転からメンテナンスまでを専門に行っているため、マシンの故障によるタイムロスが減少し、生産性の向上にも寄与しています。

2ブームと4ブームの比較


 また、このフルオートジャンボはこれまでのジャンボに比べドリフタの削孔性能が上がり、純削孔速度が最大で2倍となり、かつ地山の硬さに応じて自動的に最適な削孔速度に調整されるため、削孔中に閉塞トラブルが発生しない機構となっています。そのため、従来のドリルジャンボに比べて削孔に要する時間が2分の1以下に短縮されるとともに、コンピュータの自動制御により最適な角度や長さで削孔を行うため、余掘りも40%低減できることが確認されました。

■同様の地質状況切羽の余掘形状の相違
(実掘削断面と設計掘削ラインの差が「余掘り」)

従来機の場合(誘導機能なし)      

従来機の場合(誘導機能なし)

フルオートジャンボの場合      

フルオートジャンボの場合

■フルオートジャンボのMWD機能の活用による地質予測

削孔速度より切羽前方の地質状況(硬軟度)の予測が可能

削孔速度より切羽前方の地質状況(硬軟度)の予測が可能

 さらに、フルオートジャンボに搭載されている削孔データの自動収集機能(Measurements While Drilling:MWD)は、その活用により以下の効果を発揮します。

  • 切羽前方の地山状況に応じて削孔パターンを修正し、適正な削孔順序の組み立てが可能
  • 前方地山の地質状況の予測評価が可能となり、適切な支保パターンを選定
  • 切羽において鏡補強工の要否判断ができるため、切羽の安定性を確保
 これらにより、生産性の向上に加え、品質の確保と安全性向上にも大きく寄与します。

今後の展開

 新区界トンネル工事では、今後さらなる高速掘進を図るべく、フルオート削孔による削孔時間の削減、サイクルタイムの短縮に取り組みます。また、高速掘進のみならず、余掘りをさらに低減することにより、引き続き施工の合理化を図ることにしています。
 鹿島は熟練オペレータ不足への対応として、このフルオートジャンボの導入を布石とし、発破パターンの自動修正など人工知能の活用による、山岳トンネル掘削のICT施工・無人化施工の実現も見据え、これからも技術開発を進めてまいります。

工事概要

工事名  : 宮古盛岡横断道路 新区界(しんくざかい)トンネル工事(1期)
発注者  : 国土交通省 東北地方整備局
工事場所  : 岩手県宮古市区界~盛岡市簗川地内
工期  : 2014年2月~2017年3月(1期)
施工者  : 鹿島・東急特定建設工事共同企業体
工事諸元  : 本坑L=3,688m(1期) 全長L=4,998m 内空断面積94.9m2
   避難坑L=5,045m 内空断面積15.5m2

 

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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