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超高強度繊維補強コンクリート
「サクセム®

超高強度、高じん性および超高耐久性を併せ持つコンクリート

サクセムは、日本国内の材料と技術で構築した超高強度繊維補強コンクリートです。セメントと特殊混和材を含むプレミックス粉体、細骨材、特殊鋼繊維、特殊減水剤及び水とで構成されています。水結合材比は16%程度で水和反応によって化学的に緻密化された硬化体を形成し、通常のコンクリートに比べて格段に高い圧縮強度(180N/ mm2)及び耐久性を実現しています。また、特殊鋼繊維を混入することにより高い引張強度と高い靭性を有し、サクセムが引張応力を負担することができるため構造物に鉄筋を配置する必要がありません。

先端材料技術協会 製品・技術賞
土木学会 技術評価証
平成26年度プレストレストコンクリート工学会賞 技術開発部門

図版:サクセム用超高強度鋼繊維

サクセム用超高強度鋼繊維

キーワード
超高強度繊維補強コンクリート、鋼繊維、引張強度、耐久性、軽量化

サクセムの特徴

普通コンクリートではひび割れ発生と同時に破壊に至るのに対して、サクセムでは、ひび割れ発生後も鋼繊維の補強効果により変形性能に優れた破壊挙動を示します。このような力学特性から、サクセム部材の設計においては引張強度を期待して設計することができ、鉄筋補強を必要としない構造部材が実現可能となります。

サクセムの塩化物イオンの見掛けの拡散係数は0.002と小さく、80N/mm2の高強度コンクリートと比較しても1/100程度の値となっています。サクセムの組織の緻密性により物質移動に対する抵抗性が格段に優れており、過酷な気象条件下でも、100年以上の耐久性が保証されます。

サクセムは流動性が高く、自己充塡性を有するため、薄い部材や複雑な形状の部材でも容易に製作が可能です。

図版:無筋部材の曲げ試験結果

無筋部材の曲げ試験結果

図版:塩化物イオンの浸透性試験結果(見かけの塩化物イオン拡散係数)

塩化物イオンの浸透性試験結果(見掛けの塩化物イオン拡散係数)

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特長・メリットココがポイント

合理的な構造物を実現

高い圧縮強度を活かして高いプレストレスを導入することができ、鉄筋補強を必要としないため、より合理的な構造の構築が可能となります。

  • 高い圧縮強度を有するため、従来のPC橋に比べて半分の桁高のPC橋を実現できます。
  • 部材を薄くできるため、従来のPC橋に比べて半分程度の軽量化を実現できます。

図版:サクセムを用いたPC橋の主桁断面図

サクセムを用いたPC橋の主桁断面図

ライフサイクルコストの低減が可能

高い耐久性を活かすことによりライフサイクルコストを低減することができます。

  • 遮塩性が極めて高く、内部鋼材の発錆を防ぎます。
  • 透気係数が極めて小さく、通常の環境下では中性化しません。
  • 凍結融解作用に対して優れた抵抗性を有し、自然環境化では凍害劣化が生じません。

図版:凍結融解試験結果

凍結融解試験結果

適用実績

図版:デンカ小滝川橋

デンカ小滝川橋

場所:新潟県糸魚川市

竣工年:2015年5月

発注者:電気化学工業

規模:橋長39.0m 桁高1.3m 幅員5.2m

図版:羽田D滑走路桟橋部床版

羽田D滑走路桟橋部床版

場所:東京都大田区

竣工年:2010年10月

発注者:国土交通省関東地方整備局

規模:長さ3.61m×幅7.82m/枚 797枚

図版:リバーサイド千秋連絡橋

リバーサイド千秋連絡橋

場所:新潟県長岡市

竣工年:2007年8月

発注者:ユニー

規模:橋長30.5m 桁高0.5m 幅員4.1m

図版:国道163号線水路橋

国道163号線水路橋

場所:京都府木津川市

竣工年:2010年7月

発注者:京都府山城南土木事務所

規模:橋長23.75m 桁高0.6m 幅員0.64m

学会論文発表実績

  • 「デンカ小滝川橋の設計 ─場所打ちによるUFC製道路橋─」,プレストレストコンクリート57巻1号,2015年1月
  • 「超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を場所打ちで施工したPC橋 ─小滝川橋─」,コンクリート工学,2015年7月
  • 「デンカ小滝川橋の設計・施工」,橋梁と基礎,2015年7月
  • 「超高強度繊維補強コンクソート製型枠を用いた高耐震性橋脚の適用」,橋梁と基礎,2012年5月
  • 「リバ-サイド千秋連絡橋(仮称)の設計と施工 ─超高強度繊維補強コンクリ-トおよび橋脚の制震工法を用いた歩道橋─」,橋梁と基礎,2007年12月
  • 「超高強度繊維補強コンクリートを用いた下路式歩道橋の施工時検討」,第21回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム,2012年10月
  • 「UFC床板製作におけうAft系UFCの製造・品質管理」,第19回プレストレスコンクリートの発展に関するシンポジウム,2010年10月

ECC
(ECCショット®、ECCクリート®

優れた変形追従性・ひび割れ分散性を有する
高靭性セメント複合材料

ECCとは、セメント、水、砂などのモルタル材料を、高強度の有機系繊維で補強した材料です。先端の力学モデルに基づいた配合設計を行うことで、従来の補修材料にないひび割れ分散性能及び高い引張・曲げ変形性能を実現した材料です。

「ECCショット」は湿式吹付け方式用として開発された材料で、「ECCクリート」はバイオ系の高性能増粘剤を使用することで流動性を大きく改善し、準自己充てん性(土木学会指針:自己充てん性ランク3)を有する材料です。

特許登録済

図版:ECCの優れた変形性能

ECCの優れた変形性能

図版:ECCの優れたひび割れ分散性能

ECCの優れたひび割れ分散性能

キーワード
ECCショット、ECCクリート、吹付け、補修、補強

施工手順・採用工事

「ECCショット」は、現場で製造した材料(ECC)を、スクイズ式のモルタルポンプにて、吹付けノズル先端まで圧送し、 圧搾空気により対象構造物に吹付ける湿式吹付け方式により施工します。「ECCクリート」は、レディミクストコンクリート工場で製造する場所打ちコンクリート、プレキャスト工場で製造するプレキャスト部材と、補修・補強用途などの小規模施工を対象とし、現場で練混ぜが可能なプレミックス材料があり、用途に応じて選ぶことができます。

なお、「ECCショット」および「ECCクリート」は、コンクリート構造物の断面修復、ダム、トンネルなど各種構造物の補修・補強などに多数の施工実績があります。

図版:ECCショット吹付けシステム

ECCショット吹付けシステム

図版:ECC製造プラント

ECC製造プラント

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特長・メリットココがポイント

優れた変形性能

一般的な補修材料は、初期ひび割れが発生した直後に破断してしまいますが、本材料は、ECC特有の多数の微細ひび割れ(ひび割れ幅0.2mm 以下)を発生し、優れた変形性能(引張ひずみで0.2%以上)を示します。

図版:引張性能

引張性能

極めて高い耐久性

ECCクリートは極めて高い耐凍害性を実現し、水中凍結水中融解による促進試験でも全く劣化の傾向がありません。促進試験では、試験期間中の水和による組織の緻密化が劣化を上回り、試験後には試験開始時よりも高い相対動弾性係数を示しました。

図版:耐久性能(凍結融解抵抗性試験)

耐久性能(凍結融解抵抗性試験)

適用実績

図版:上越線越後川口・小千谷間天王トンネル(中越地震災害復旧工事)

上越線越後川口・小千谷間天王トンネル
(中越地震災害復旧工事)

場所:新潟県北魚沼郡

竣工年:2004年12月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:ECCショット施工範囲500m2

本技術は、カジマ・リノベイト社でも取扱いしています。

学会論文発表実績

  • 「高靭性セメント複合材料を用いたトンネル補強工法の実大載荷試験」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.60,2005年
  • 「高靭性セメント複合材料を用いたトンネル補修技術 ─中越地震で被災したトンネル補修工事への適用─」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.60,2005年
  • 「高靱性セメント複合材料を用いたトンネル補強工法に関する研究」,トンネル工学報告集,Vol.15,2005年
  • 「高靱性セメント複合材料で上面増厚した鋼床版箱桁橋の実橋載荷試験」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.60,2005年
  • 「下面増厚材料の力学的特性および耐久性に関する基礎試験」,コンクリート工学年次論文集,Vol.24,No.1,2002年

低収縮型高強度コンクリート
「パワークリート®

自己収縮を低減してひび割れ抵抗性を高めた高強度コンクリート

パワークリートは収縮を低減してひび割れ抵抗性を高めた設計基準強度60~120N/mm2の高強度コンクリートです。組織が緻密であるため、高い耐久性を有しています。また、優れた流動性と自己充塡性を持っています。

コンクリートを高強度化するにしたがって増大する自己収縮(水和反応に伴う見かけの体積減少)は、ひび割れに伴う構造性能の低下や耐久性の低下の原因となる懸念があります。そこで、高強度コンクリートのメリットを生かした合理的な構造を目指すため、自己収縮の少ない高強度コンクリートを開発しました。

図版:優れた流動性

優れた流動性

キーワード
超高強度コンクリート、自己収縮、低収縮、耐久性

自己収縮の低減方法

自己収縮を低減するには、以下に示す3種類の収縮低減混和材料を単独または組み合わせて使用します。
 ①市販の膨張材
 ②市販の収縮低減剤
 ③人工軽量骨材
これらを鹿島の技術で配合することで、任意の収縮低減効果を設定することができます。

図版:収縮低減方法を併用した場合の自己収縮低減率の評価

収縮低減方法を併用した場合の自己収縮低減率の評価
(横軸は収縮低減混和材料の組合せによる配合を表わす)

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特長・メリットココがポイント

収縮低減による高いひび割れ抵抗性

パワークリートを用いた部材の構造性能を評価しました。

  • 収縮が小さいため、硬化時に発生する引張応力が小さく、部材のひび割れ発生強度が低下しません。
  • クリープ係数が小さいため、圧縮応力度が大きくなってもクリープ変形は普通強度PC構造物と同程度です。
  • 部材実験により、曲げ耐力およびせん断耐力等の評価手法を確立しています。

図版:RCおよびPC部材の曲げ実験結果

RCおよびPC部材の曲げ実験結果

高い耐久性を実現

組織が緻密であるため、高い耐久性を有しています。

  • 中性化に対して優れた抵抗性を有しています。
  • 塩化物イオンの侵入抵抗性に優れています。
  • アルカリ骨材反応に対して十分な安全性を有しています。
  • 高い凍結融解抵抗性を有しています。

図版:鋼材位置における塩化物イオン濃度の推定

鋼材位置における塩化物イオン濃度の推定

様々な施工条件に柔軟に対応

施工条件に応じて以下の配合選定が可能です。

  • 高流動自己充塡型
    高性能減水剤の添加率や単位粗骨材絶対容積の最適化などにより優れた流動性と自己充塡性を与え、土木学会「高流動コンクリートの施工指針」に示される自己充塡性ランク1を満足するようにした配合です。
  • 振動締固め併用型>:
    バイブレータによる振動締固めを行うことを前提にコンクリートの流動性を低減した配合です。コンクリートの粘性を低減し、スランプフローを400±100mmとすることで、2~3%の仕上り勾配の確保を可能としました。

図版:振動締固め併用型の床版への打設

振動締固め併用型の床版への打設

適用実績

図版:アキバブリッジ

アキバブリッジ

場所:東京都千代田区

竣工年:2006年1月

発注者:UDXグループ

規模:橋長63.7m 桁高1.2m 有効幅員8m

学会論文発表実績

  • 「低収縮型超高強度コンクリートを用いた秋葉原公共デッキの設計と施工」,橋梁と基礎,2005年8月

高流動コンクリート
「NVコンクリート」

自己充塡性コンクリートにより構造物の信頼性向上

近年のコンクリート工事では、構造物の形状の複雑化や鉄筋量の増加、熟練作業員の不足等から、コンクリート打込み時に十分な振動締固め作業を行うことが極めて困難な場合が増えています。

「NVコンクリート工法」は、従来のコンクリート材料に高性能AE減水剤や石灰石微粉末等の微粉末を加え、これらの配合比率を工夫することにより施工時の振動締固め作業の省略を可能とした自己充塡・高流動コンクリートであり、これを型枠に流し込むだけで高品質で信頼性の高い構造物を構築する工法です。また、特殊増粘剤を使用することにより、ブリーディングのない安定した品質のコンクリートを比較的簡単に製造することが可能です。

図版:豊田アローズブリッジ(複合斜張橋)

豊田アローズブリッジ(複合斜張橋) 
斜材定着部、主桁結合部などにNVコンクリートを適用

キーワード
高流動コンクリート、高性能AE減水剤、石灰石微粉末、増粘剤、ノンブリーディング、締固め不要、自己充塡性、セルフレベリング

特徴

NVコンクリートは、従来のコンクリート材料に高性能AE減水剤や石灰石微粉末等の微粉末を加え、下表のように配合比率を工夫することによって、強度や流動性、自己充塡性をコントロールします。また、特殊増粘剤を使用することにより、気温や骨材の表面水率の変化に対して安定した品質のコンクリートを比較的簡単に製造することができます。なお、1回の施工量が100m3以下の小規模な工事から、1,000m3以上の大規模な工事まで幅広く適用することが可能です。

図版:NVコンクリートの配合例

NVコンクリートの配合例

図版:スランプフロー試験(高い流動性)

スランプフロー試験(高い流動性)

図版:充塡性試験(優れた自己充塡性)

充塡性試験(優れた自己充塡性)

特長・メリットココがポイント

優れた充塡性により高い施工性を実現

  • 施工が困難である複雑な断面部や、高密度配筋部への打込みが容易に行える高い充塡性を備えています。
  • 振動締固め作業を必要としないため、省人化・合理化が図れ、安全で静かな施工を実現します。
  • 人が入ることのできない閉鎖された部位にも、注入によりコンクリートを打ち込むことができます。
  • 打込み位置から10m程度まで流動させても材料分離を生じないため、頻繁に打込み位置を変える必要がなく、スムーズな施工が行えます。

図版:NVコンクリートのスランプフローの安定性

NVコンクリートのスランプフローの安定性

安定した品質と高い耐久性

  • 特殊な増粘剤を使用することにより、安定した品質のコンクリートを容易に製造・供給することが可能です。
  • ブリーディングがなく、レイタンスを生じないため、均質で信頼性の高い構造物を構築することができます。
  • 従来のコンクリートよりも高い耐久性を有することを20年間の暴露試験で確認しています。

図版:NVコンクリートの耐久性

NVコンクリートの耐久性

様々な部位・用途への適用が可能

  • 結合材種類の選定により、早強性、低発熱性を付与することができます。
  • 水セメント比の選定により、20~100N/mm2の様々な強度レベルを設定することができます。
  • 各種混和材(剤)を併用することで、無沈下性、低収縮性など様々な性能を付与することができます。
  • 市中の生コンプラントで製造することができます。

図版:NVコンクリートの主な適用事例

NVコンクリートの主な適用事例

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適用実績

図版:サンマリンブリッジ

サンマリンブリッジ

場所:静岡県浜名郡

竣工年:1996年3月

発注者:浜名湖競艇企業団

規模:NVコンクリート打設量43m3

図版:矢作川橋(豊田アローズブリッジ)

矢作川橋(豊田アローズブリッジ)

場所:愛知県豊田市

竣工年:2005年3月

発注者:日本道路公団

規模:NVコンクリート打設量2,300m3

図版:奥三面ダム

奥三面ダム

場所:新潟県岩船郡

竣工年:2001年8月

発注者:新潟県

規模:NVコンクリート打設量770m3

図版:東京ガス 扇島工場 液化天然ガスPC 製貯槽

東京ガス 扇島工場 
液化天然ガスPC製貯槽

場所:神奈川県横浜市

竣工年:1996年3月

発注者:東京ガス

規模:NVコンクリート打設量18,200m3

学会論文発表実績

  • 「増粘剤ウェランガムを用いた高流動コンクリートの流動性に及ぼす各種材料の影響」,土木学会論文集,No.571/V-36,1997年
  • 「流動性を安定するウェランガム<その効果に期待 ─信頼性の高い構造物をつくるNVコンクリート工法」,コンクリートテクノ,Vol.27,No.2,2008年2月
  • 「21年間暴露した併用系高流動コンクリートの耐久性」,コンクリート工学論文集,Vol.23,No.1,2012年1月
  • 「高流動コンクリート(NVコンクリート)によるコンクリート構造物の品質向上」,鹿島技術研究所年報,No.57,2009年9月

コンクリート剥落防止用繊維
「バルチップPW・Jr」

ポリプロピレン製短繊維のコンクリートの剥落防止用繊維

近年、コンクリート構造物において、第三者に対する安全性の確保が強く望まれるようになり、施工性および経済性に優れたコンクリートの剥落防止技術が求められています。

バルチップPW・Jrはポリプロピレン製の短繊維であり、連糸状に連なった繊維が、アジテータ車の高速攪拌により単糸に分かれ、コンクリート中に均一に分散します。そのため、コンクリートの体積比0.05vol%以上というごく少量の混入率で十分な剥落防止性能を発揮します。また、コンクリートのフレッシュ性状、施工性および強度特性にほとんど影響を与えません。

※バルチップは萩原工業株式会社の登録商標です。

図版:ポリプロピレン繊維(バルチップPW・Jr;密度0.91g/cm³)

ポリプロピレン繊維(バルチップPW・Jr;密度0.91g/cm3

キーワード
繊維補強コンクリート、剥落防止、トンネル覆工コンクリート、橋梁上部コンクリート

使用方法

一般のレディーミクストコンクリート工場で製造したコンクリートに、現場にて繊維を投入します。バルチップPW・Jrは、軽量で扱いやすいため、繊維投入に伴う煩雑な作業を軽減できます。繊維投入の際には、特殊な機械を必要とせず、アジテータ車を高速撹拌させることで、繊維は一様に分散します。

図版:アジテータ車へのバルチップPW・Jrの投入状況

アジテータ車へのバルチップPW・Jrの投入状況

図版:アジテータ車へのバルチップPW・Jrの投入状況

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特長・メリットココがポイント

優れた剥落防止性能を確認

剥落防止性能確認のため、静的破砕剤を膨張させ、さらにかぶり部に打撃を加えてコンクリートの剥落状況を観察しました。

  • バルチップPW・Jrを混入の場合600回の打撃でもかぶり部は剥落しません。

図版:剥落防止性能(かぶり部打撃試験)

剥落防止性能(かぶり部打撃試験)

通常コンクリートとほぼ同等の施工性

  • バルチップPW・Jrは、分散性に優れ、吸水しない繊維であるため、混入によるスランプへの影響はほとんどありません。
  • 空気量、ブリーディング量などのフレッシュ性状は,バルチップPW・Jrを混入しない配合とほぼ同等であり、ポンプ施工も可能です。
  • 締固め、こて仕上げなどの施工性についても、通常のコンクリートとほぼ同等です。

図版:フレッシュ性状試験結果

フレッシュ性状試験結果

適用実績

図版:吾妻線岩島・長野原間付替第二吾妻川B

吾妻線岩島・長野原間 付替第二吾妻川B

場所:群馬県吾妻郡

竣工年:2010年2月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:7,600m3

図版:中央線西国分寺・国立駅間高架橋

中央線西国分寺・国立駅間 高架橋

場所:東京都国立市

竣工年:2009年1月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:5,780m3

図版:平成20-22年度 中畑トンネル

中畑トンネル

場所:愛媛県宇和島市

竣工年:2010年8月

発注者:国土交通省四国地方整備局

規模:1,020m3

学会論文発表実績

  • 「ポリプロピレン繊維の形状がコンクリートの靱性改善効果に及ぼす影響」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.55,2000年
  • 「剥落防止を目的とした繊維補強コンクリートの実橋への適用性検討」,土木学会年次学術講演会講演概要集,Vol.56,2001年
  • 「剥落防止を目的とした有機系繊維補強コンクリートに関する研究」,コンクリート工学年次論文集,Vol.23,No.1,2001年

浸透性吸水防止材
「マジカルリペラー®

コンクリートの耐久性を向上させる表面含浸工法

コンクリート構造物は、海岸地域では飛来塩分による塩害、寒冷地域では凍結融解の繰り返し作用による凍害など、環境条件や使用条件によっては早期に劣化が進行します。これらの劣化にはコンクリートに浸透する水が影響しているため、水の浸透を防止することによって劣化の進行を大幅に抑制することができます。

マジカルリペラーは、コンクリート表面にシリコーン樹脂の吸水防止層を形成して、コンクリート内部への水や劣化因子の浸透を防止する材料です。塩害・凍害・アルカリ骨材反応などの劣化進行を遅らせて、コンクリート構造物の耐久性を向上させます。新設構造物の予防保全対策及び補修した構造物の再劣化防止対策のいずれにも適用することができます。

マジカルリペラーはクリーム状であるためコンクリート表面への付着性が良好であり、鉛直面や天井面にも容易に塗布することができます。

2021年コンクリート工学会賞 技術賞
特許登録済

図版:マジカルリペラー

マジカルリペラー

キーワード
コンクリート構造物、浸透性吸水防止材、表面含浸材、耐久性向上、予防保全、劣化防止、塩害、凍害、アルカリ骨材反応

施工方法

マジカルリペラーは、コンクリート表面に塗布するだけで吸水防止効果を発揮します。施工条件として、コンクリートの表面水分率は5%程度が目安であり、塗布・養生中の外気温は0℃以上であることが必要です。コンクリート表面に付着した汚れを落とす程度(新設構造物では型枠剥離剤を除去する程度)の簡単な下地処理を行った後に、ローラー刷毛またはエアレススプレーを用いて塗布します。マジカルリペラーはペースト状の材料であるため、塗布の際に飛散や液ダレが生じにくく、1回の塗布作業で所定の使用量を付着させることができます。塗布後1日程度は、水に濡れない状態で養生を行います。

図版:ローラー刷毛による施工状況

ローラー刷毛による施工状況

図版:エアレススプレーによる施工状況

エアレススプレーによる施工状況

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特長・メリットココがポイント

優れた吸水防止効果

マジカルリペラーを塗布することで、コンクリート表面に水滴を通さない吸水防止層を形成します。

  • 表面から数mm程度まで含浸して吸水防止層を形成するため、長期間にわたる吸水防止効果の持続が期待できます。
  • 吸水防止層はコンクリートと化学的に結合するため、塗膜のような浮き・剥離を生じることがありません。

図版:コンクリート表面付近の吸水防止層

コンクリート表面付近の吸水防止層

コンクリートの耐久性を向上

マジカルリペラーを塗布するだけで、コンクリート構造物の耐久性が向上します。

  • 外部から水滴や塩化物イオンの浸透を防止するので、塩害環境においても内部鉄筋の腐食を防止します。
  • コンクリート内部の水分を水蒸気の形で外部へ発散させるため、凍害やアルカリ骨材反応の進行抑制が期待できます。

図版:吸水防止層のイメージ

吸水防止層のイメージ

コンクリートの質感を維持

コンクリートに含浸させたマジカルリペラーは無色透明となるため、コンクリートの質感を変化させません。

  • 施工後にコンクリート表面の状態を目視確認できるので、点検や追跡調査などに支障しません。

図版:塗布後のコンクリート表面

塗布後のコンクリート表面

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適用実績

図版:新東名高速道路 引佐地区はく落対策

新東名高速道路 引佐地区はく落対策

場所:静岡県浜松市

竣工年:2012年2月

発注者:中日本高速道路

規模:塗布面積 42,197 m2

図版:新東名高速道路 富士東はく落対策

新東名高速道路 富士東はく落対策

場所:静岡県富士市

竣工年:2012年4月

発注者:中日本高速道路

規模:塗布面積 18,810 m2

図版:新東名高速道路 掛川地区はく落対策

新東名高速道路 掛川地区はく落対策

場所:静岡県島田市、掛川市、磐田市

竣工年:2012年5月

発注者:中日本高速道路

規模:塗布面積 96,485 m2

本技術は、カジマ・リノベイト社でも取扱いしています。

学会論文発表実績

  • 「シラン・シロキサン系撥水材の開発」,コンクリート工学年次論文集,Vol.22,No.1,2000年
  • 「シラン・シロキサン系撥水材の塗布方向に関する一実験」,コンクリート工学年次論文集,Vol.23,No.1,2001年
  • 「シラン・シロキサン系浸透性吸水防止材によるコンクリートの耐久性向上に関する検討」,コンクリート工学年次論文集,Vol.24,No.1,2002年
  • 「浸透性吸水防止材を塗布したコンクリート海洋環境暴露試験」,土木学会第57回年次学術講演会論文集Ⅴ,2002年9月

コンクリート表層品質向上のための
「美(うつく)シール®工法」

より美しく、より耐久性の高いコンクリートを実現する
全く新しい養生技術

コンクリート構造物の耐久性を低下させる劣化因子は、コンクリートの表面から侵入します。したがって、コンクリートの表層品質を高め、劣化因子の侵入を防止することで、耐久性の高い構造物を構築することができます。

表層部の高品質化の一手段として、セメントの水和反応を最大限発揮させるには、入念でかつ十分な期間の湿潤養生が有効であると考えられています。

「美シール工法」はシートの高撥水性による表面気泡低減効果と型枠脱型後もシートを残置させ長期養生することにより、表層品質の改質を可能とする新しい養生技術です。美シール工法により、構造物の耐久性を向上させることができます。

※「美シール」は、鹿島、積水成型工業および東京大学が共同で開発したものです。

平成28年度土木学会賞 技術開発賞
2018年コンクリート工学会賞 技術賞
特許登録済
NETIS KT-190003-A

図版:劣化因子の侵入と鋼材腐食の概念図

劣化因子の侵入と鋼材腐食の概念図

図版:高撥水性シート

高撥水性シート

キーワード
養生、シート養生、耐久性、表層品質、かぶり、中性化、塩害
改ページ

施工方法

美シール工法は、せき板の内側に高撥水性シートを貼りつけた型枠を建て込み、そこにコンクリートを打ち込みます。シートの高撥水性により表面気泡を低減することができ、脱型時にシートをコンクリート側に残置させることで、コンクリートの表面を一度も乾燥させることなく、長期間にわたって湿潤状態を保ち、表面を緻密化することができます。

図版:美シール工法概要

美シール工法概要

従来工法との比較

  • 表面気泡の低減と長期養生が両立できます。
  • 打込みから養生終了まで1度も外気に曝されません。
  • 場所打ち、プレキャストなど各種工法に適用可能です。

図版:シート残置状況

シート残置状況

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特長・メリットココがポイント

表面気泡の低減

  • 高撥水性シートにより表面気泡を低減でき、コンクリート表面の美観が向上します。

図版:美シール工法の表面気泡低減効果

美シール工法の表面気泡低減効果

シートによる長期養生

型枠取外しの際、シートはコンクリートに残置するため、コンクリート中の水分を封じ込めることができ、セメントの水和反応が長期にわたって継続します。これによりコンクリートの耐久性が向上します。

表層品質向上効果

  • 美シール工法による表面気泡低減と長期間養生によって、コンクリートの耐久性が著しく向上します。
  • 中性化抵抗性や塩害抵抗性が向上し、コンクリート構造物の長寿命化に寄与します。
  • 特に、高炉セメントB種などの混合セメントに対して優れた耐久性向上効果を発揮します。

図版:美シール工法による劣化因子の侵入抵抗性の向上

美シール工法による劣化因子の侵入抵抗性の向上

適用実績

図版:長部高架橋

長部高架橋

場所:岩手県陸前高田市

竣工年:2017年3月

発注者:国土交通省東北地方整備局

規模:1,712m2

図版:平成27年度中防内5号線橋りょうほか整備工事

平成27年度中防内5号線 
橋りょうほか整備工事

場所:東京都

発注者:東京都港湾局

規模:約3,000m2

学会論文発表実績

  • 「実規模試験体を用いた熱可塑性樹脂シートによる養生効果の検討」,コンクリート工学年次論文集,2015年7月
  • 「熱可塑性樹脂シートによる長期間の水分逸散抑制養生の効果」,コンクリート工学年次論文集,2015年7月
  • 「コンクリート表層の耐久性を向上する『美シール工法』」,セメント・コンクリート,2016年1月
  • 「高撥水性シール工法によるコンクリートの表層品質向上技術」,コンクリート工学,2016年11月

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