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ダム技術

動植物・環境モニタリングシステム
「いきものNote®

クラウドサーバを用い効率的に動植物データを一元管理

建設工事においては、工事区域とその周辺の動植物や自然環境のモニタリングや保全対策の重要性がますます高まっています。工事の進捗に伴い、日々地形等の状況が変化するため、継続的なモニタリングを行い、実施している環境保全対策を最適化する必要があります。

動植物を中心とした環境モニタリングでは、動植物の写真や調査時刻、分布地点といった情報が必要になりますが、これまではそれぞれの記録方法や媒体が異なり別々に管理していたために、データを一元管理し、わかりやすく表示するには手間と時間、そして、環境の専門知識や長年の経験が必要でした。

そこで鹿島では、iPadを用いて効率的かつ精度よく動植物の写真データや位置情報を記録し、電子地図上へマッピングできる「いきものNote」を開発しました。

※iPadは米国Apple,Inc.の登録商標です。

特許出願中
平成27年度ダム工学会賞 技術開発賞

図版:いきものNote

キーワード

生物多様性、環境保全、スマートデバイス、GIS、ダム

特長・メリットココがポイント

「何が・いつ・どこで」が簡単に収集可能

環境パトロールの際に、専用アプリをインストールしたiPadを携行した社員が現場でとらえた動植物の写真をiPad内蔵のカメラで撮影すると、写真データとともに、撮影された時間及び位置データ(緯度経度データ)が自動保存され、地図画面上にわかりやすく表示されます。

図版:「何が・いつ・どこで」が簡単に収集可能

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クラウドサーバに保存され、
効率的に蓄積、検索も容易

取得されたデータは、クラウドサーバに転送・保存されるため、現場担当者のみならず、発注者や本社担当者などと容易に共有することができます。これにより現場の環境対策を多くの専門家で支援することができます。また、ベースマップを現場で使用するCAD図面等を使用することで現場での利便性が向上し、CIMとの連携も容易に行うことができます。

図版:クラウドサーバに保存され、効率的に蓄積、検索も容易

施工中のダム現場で環境モニタリングに適用、有用性を確認

本システムを適用したダム現場では、現場周辺の9か所のビオトープを整備し、工事中の動植物の回復に必要な基盤を再構築するため、現況把握と対策が適切に機能しているかを本システムで確認、有効性を確認しました。

図版:五ケ山ダムで環境モニタリングに適用、有用性を確認

将来はCIMとの連携や災害時対応なども視野に

写真データを簡単に地図にマッピングできることから、環境モニタリングだけでなく、例えば災害時の被災調査などにも威力を発揮します。また、今後はCIMとの連携を進めることで情報の蓄積や共有をさらに高度化・合理化していくことにしています。

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適用実績

図版:五ケ山ダム

五ケ山ダム

場所:福岡県筑紫郡那珂川町

工期:2012年6月~2018年3月

発注者:福岡県

規模:重力式コンクリートダム、
堤高102.5m、堤頂長556m、
堤体積93.5万m3

学会論文発表実績

  • 「スマートデバイスを使ったダム建設工事における自然環境保全対策管理と保全効果」,第69回土木学会年次学術講演集,Ⅵ部門,633-634,2014年
  • 「iPadを使った環境モニタリングシステム”いきものNote”」,土木建設技術発表会2014概要集,126-131,2014年
  • 「ダム仮排水路工事における環境保全対策工の管理と発生材の生態系保全対策資材への活用」,第70回土木学会年次学術講演集,Ⅵ部門,565-566,2015年
  • 「スマートデバイスを用いた動植物・環境モニタリングシステムのダム工事への適用」,平成27年度ダム工学会 研究発表会・講習会講演集,1-5,2015年

ビオトープ創生技術

野生生物の生息できる空間を創生する技術

ビオトープ(biotop)は学問的には「特定の生物群集が生息する単位空間」と定義されています。これは、ある特定の生物だけではなく、それをとりまく様々な生物が共に自然に生息できる環境(生態系)を備えた空間を意味しています。ビオトープを創生することにより、市街地にも自然環境を持ち込み、野生生物の生息環境を創り出すことが可能になります。開発等により、生息環境が失われる希少生物等に対して、新たな生息環境を提供するミチゲーション(環境影響軽減)の一つとしても重要な技術で、生物多様性保全に役立つ技術です。自然観察や環境教育の場、人々のやすらぎの場を提供することも可能です。

図版:ビオトープ池の例

ビオトープ池の例

キーワード

ビオトープ、生態系、ミチゲーション、生息環境、生物多様性、希少生物、環境教育

建設工事で技術適用する際の留意点

  • 周辺地域を含めて、気候、地形、植生、動植物相などを十分に調査し、ビオトープ創生後の利用、維持、管理等も考慮した最も効果的なビオトープ計画が必要です。
  • 目標となるビオトープにあわせて、多様な生物が生息できるように多様な環境が必要です。
  • 野生の植物を植えたり、野生動物を放すこともありますが、その場合には、生物多様性に配慮し、その地域にもともと生息している動植物に限定し、周辺の自然の生態系を乱すことがないように十分な配慮が必要です。
  • ビオトープは造成が終わった段階が出発点です。ビオトープとしての機能が発達するのには時間がかかる場合もあります。ビオトープの変化を継続的に調査して、目標のビオトープに合うような維持・管理が必要となる場合もあります。

図版:創生後のビオトープにおける水生動物種数の変化

創生後のビオトープにおける水生動物種数の変化

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特長・メリットココがポイント

生物多様性の保全や環境教育に貢献

  • 市街地を中心に急速に失われつつある自然を呼び戻し、貴重な野生生物の生息場所を提供し、生物多様性保全に貢献します。
  • 人々に自然と触れ合える安らぎの場を与え、自然の仕組み、大切さを学ぶ環境教育の場としての利用も可能です。

図版:ビオトープに生息する水生動物の例

ビオトープに生息する水生動物の例

地域全体の自然環境の改善にも有効

  • 1つ1つは小さなビオトープでも、地域の中の複数のビオトープのネットワーク化により大きな効果を上げることができます。既存の調整池等のビオトープ化も可能です。
  • ビオトープ化により、複雑な生態系が成立し、池水の水質が良い状態で安定する効果もあります。

図版:ビオトープ化工事前後の池水水質変化の例

ビオトープ化工事前後の池水水質変化の例

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適用実績

図版:ガーデンプラザ新検見川ビオトープ

ガーデンプラザ新検見川
ビオトープ

場所:千葉県千葉市 

竣工年:1996年5月

発注者:鹿島

規模:ビオトープ面積約500m2

学会論文発表実績

  • 「ビオトープの研究(その1)─実験ビオトープの水生動物相─」,鹿島技術研究所年報, Vol.45,1997年
  • 「ビオトープ出現動物の生活史段階と空間利用」,土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集, 25巻,Ⅶ-16,1998年
  • 「水辺ビオトープにおける水質環境と水生動物相の変化」,土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集,25巻, Ⅶ-17,1998年

環境配慮型ポーラスコンクリート工法

大きな空隙のポーラスコンクリートで
多様な生物の生息空間を創出

河川や調整池などの水辺環境は動植物の生息環境として重要な機能をもつことが認識されるようになり、環境保全効果に優れた多自然型護岸の採用が増加しています。ポーラスコンクリート(POC)は通常のコンクリートと異なり、動植物が利用可能な空隙を作ることができるため、多自然型護岸として利用されています。しかし、従来のPOCは使用する骨材(または空隙)が小さく、動植物の生育環境としては不十分でした。

鹿島は、農研機構農村工学研究所、住友大阪セメント、ケミカルグラウトと共同(官民連携新技術研究開発事業)で、従来のPOCより空隙の大きい「環境配慮型ポーラスコンクリート工法」を開発しました。

特許登録済

図版:ポーラスコンクリートの環境保全機能

ポーラスコンクリートの環境保全機能

キーワード

ポーラスコンクリート、多自然型護岸、生物多様性、生息空間

施工手順

一般的な現場における施工フロー及び長大法面を対象とした実際の打設状況を以下に示します。

図版:施工フロー

施工フロー

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図版:長大法面における打設状況

長大法面における打設状況

特長・メリットココがポイント

多様な生物の生息できる
大きな空隙と必要強度を確保

  • 20~40mmの骨材を使用することで、従来のPOCの2倍程度の空隙径を持つPOCが製造可能になりました。大きな空隙によって多様な生物が生息できます。
  • 特殊混和剤を使用することにより、大きな骨材でも護岸に必要な圧縮強度10N/mm2を確保できます。

自然土壌の充填が可能

  • 空隙が大きいため、アルカリの緩衝効果が高く安価な黒土などの自然土壌を充塡できます。

施工可能場所の拡大を実現

  • 各工程に施工規模に応じた施工機械を使用することで、小規模な水路から大規模な護岸まで現場打設が可能です。二次製品ブロックでの施工にも対応しています。

草刈作業の省力化

  • 通常の多自然型護岸に比べ足場の安定性があるため、草刈作業を省力化できます。

図版:POC断面形状(空隙を緑色で表示)

POC断面形状(空隙を緑色で表示)

図版:POC水路(施工4年半後)

POC水路(施工4年半後)

多様な水生昆虫や植物が良好に生育

  • 植生域・底泥域など環境の異なる部分に棲み分けを行い、RC水路に比べ様々な水生昆虫が生育しています。
  • 骨材粒径の小さい従来のPOCに比べて植物の生育が良好で、多様な植物が生育しています。

図版:施工後1年間の水生昆虫の分布例

施工後1年間の水生昆虫の分布例

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適用実績

図版:いさわ南部農地整備事業ポーラスコンクリート水路

いさわ南部農地整備事業
ポーラスコンクリート水路

場所:岩手県奥州市

竣工年:2003年11月

発注者:東北農政局

規模:施工面積250m2

図版:当間高原リゾート・リバーサイド自然観察池

当間高原リゾート・
リバーサイド自然観察池

場所:新潟県十日町市

竣工年:2002年10月

発注者:当間高原リゾート

規模:施工面積150m2

図版:忍野ため池

忍野ため池

場所:山梨県南都留郡

竣工年:2003年9月

発注者:山梨県

規模:施工面積約5,000m2

図版:新最終処分場調整池

新最終処分場調整池

場所:栃木県宇都宮市

竣工年:2004年4月

発注者:宇都宮市

規模:施工面積約1,500m2

学会論文発表実績

      
  • 「環境配慮型ポーラスコンクリートによる農業水利施設の多機能護岸工法の開発」,農林水産省,官民連携新技術研究開発事業,2001年-2003年
  • 「骨材粒径の異なるポーラスコンクリートの植物生育特性」,第60回土木学会年次学術講演会講演概要集,2005年
  • 「ポーラスコンクリート水路の生物生息環境の特性」,日本緑化工学会誌,32巻1号,2006年
  • 「大粒径ポーラスコンクリートに関する研究」,コンクリート工学年次論文集,29巻2号,2007年

法面緑化技術

周辺環境に調和した景観と侵食に強い植生を速やかに成立

本技術は、法面の緑化工を実施する場合に、植物生態学、土壌・肥料学などをベースにして、現場周辺の環境と植生を調査し、その結果に基づいて、最適な工法、種子配合および生育基盤材の組成を設計する技術です。

根が深く、肥料要求性の低い日本在来の草本植物や木本植物が早期に侵入し、周辺の景観に調和した自然な植生を速やかに成立させることも可能です。基盤材には、現地発生土や伐採材などを利用することもできます。生物多様性保全の観点から、外来植物や外国産の在来植物を用いず、地域系統の植物だけを用いる緑化や、種子を播種しないで飛来種子に期待する緑化など、立地条件や緑化目標などにより、様々な方法が選択できます。

図版:種子配合による成立植生の制御

種子配合による成立植生の制御

キーワード

法面緑化、種子、基盤材、生物多様性
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生物多様性保全への配慮

法面緑化では、外来イネ科植物が多用されてきました。しかし、生物多様性保全の観点から、日本の在来植物種を用いた緑化や、郷土植物・地域性系統植物だけを用いる緑化が望まれる場合が増えてきました。郷土植物や地域性系統植物は入手が困難で、これらを用いた緑化は、高コストになる場合が多くなります。そこで、対象地域の特性を考慮し、生物多様性にも配慮した上で、最適な工法、基盤材、植物の選定が必要となります。周辺の自然環境に配慮して、あえて外部から種子や苗木を持ち込まないで緑化する現地表土撒き出しや無播種での緑化も一つの方法です。無播種による法面緑化では、飛来種子に期待するため、植生の成立時期や出現植物種の予測が平易ではありませんが、これらに対しても、法面緑化試験により、適切な対応を行っています。

図版:無播種法面緑化試験における出現植物種数変化へのストッパーの効果

無播種法面緑化試験における出現植物種数変化へのストッパーの効果

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特長・メリットココがポイント

現地の生物多様性と景観に
配慮した強い法面植生

  • 日本在来の植物を中心とした生物多様性に配慮した種子配合の設計が可能です。
  • 生育基盤材の一部として現地発生土や伐採材等を使用する設計も可能です。
  • 周辺の景観と違和感のない植物群落を短期間で成立させることが可能です。
  • 気候変化に強い、安定した法面植生が得られます。

図版:環境調和型法面緑化の概念図

環境調和型法面緑化の概念図

適用実績

図版:早池峰ダム

早池峰ダム

場所:岩手県稗貫郡

竣工年:2000年3月

発注者:岩手県

図版:新最終処分場

新最終処分場

場所:栃木県宇都宮市

竣工年:2004年10月

発注者:栃木県宇都宮市

図版:湯西川ダム

湯西川ダム

場所:栃木県日光市

竣工年:2012年9月

発注者:国土交通省

学会論文発表実績

  • 「環境調和型法面植生の経年変化」,鹿島技術研究所年報,Vol.41,1993年
  • 「環境調和型法面植生の経年変化(その2)」,鹿島技術研究所年報,Vol.43,1995年

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