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ICT

3Dマッチ®

3Dレーザースキャナによるトンネル変位計測システム

山岳トンネルでは、安全上、切羽周辺の地山を監視することが非常に重要です。通常の変位計測では、切羽に3~5箇所のターゲットを設置して、光波測定器により測定点の変位量を測定しますが、この手法では、トンネル全体の面的挙動を正確に把握することはできません。また、3Dレーザースキャナで面的にトンネル壁面の形状を計測する手法では、面上の任意の点が時間経過とともにどのくらい変位したかを捉えることはできませんでした。

そこで鹿島は、画像処理技術を用いて、3Dレーザースキャナによる測定結果から変位量を算出できる計測システム「3Dマッチ」を開発しました。

図版:3Dマッチメイン画面

3Dマッチメイン画面

特許登録済
第43回岩盤力学に関するシンポジウム 優秀講演論文賞 2015年1月

キーワード

3Dレーザースキャナ、テンプレートマーチング、画像処理、計測、山岳トンネル
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システムの概要

3Dマッチは、構造物の形状を面的に測定できる3Dレーザースキャナと、面の凹凸などの特徴を認識する画像処理技術(テンプレートマッチング)を組み合わせたもので、これまで3~5箇所の限られた測定点で計測していたトンネルの変位を、無数のターゲットで測定したかのように、面的に捉えることが可能になりました。

テンプレートマッチングとは、画像の中から特定のパターンを検出しマッチングする技術で、防犯やセキュリティ管理の分野で、人物特定の技術として応用が進んでいます。

レーザースキャナで取得した画像を用いて、変形前後のトンネル壁面の微細な凹凸のパターンを探し出しマッチングすることで、任意の点が時間経過とともにどのくらい変位しているのかを面的にかつ精度よく把握することができます。

図版:3Dマッチ測定風景

3Dマッチ測定風景

図版:測定器(3Dレーザースキャナ)

測定器(3Dレーザースキャナ)

図版:テンプレートマッチングを用いた任意点の追跡方法

テンプレートマッチングを用いた任意点の追跡方法

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システムの特長

切羽だけでなく壁面などの周辺も高精度に把握

本システムを初適用した三遠南信小嵐トンネル調査坑工事では、切羽及び切羽周辺の変位を高精度かつ面的に捉えられることを確認しました。

図版:周辺壁面の測定結果

周辺壁面の測定結果

切羽崩落等の安全性の確保

時間経過とともに面的に変位を把握することができるため、断層に起因する大変位や局所変位の発生の予兆を捉えることができ、安全対策を講じるための判断に使用することができます。

図版:切羽変位計測結果(奥行方向変位)

切羽変位計測結果(奥行方向変位)

適用実績

図版:三遠南信小嵐トンネル調査坑工事

三遠南信小嵐トンネル
調査坑工事

場所:長野県飯田市

工期:2014年1月~2017年3月

発注者:国土交通省中部地方整備局

規模:工事延長L=1,810m

学会論文発表実績

  • 「山岳トンネルにおける定点追尾システムを利用した3Dスキャナ変位計測」土木学会第68回年次学術講演会,2013年
  • 「3Dレーザースキャナ変位計測『3Dマッチ』」しこくNo.92,2014年1月
  • 「トンネルを支える計測技術『3Dマッチ』」土木技術Vol.69,No.11,2014年11月
  • 「3Dレーザースキャナと画像処理技術を用いた変位計測システムの開発」第43回岩盤力学に関するシンポジウム講演集,2015年
  • 「3Dレーザースキャナ変位計測システム『3Dマッチ』」建設機械Vol.51,No.7,2015年7月

ロックボルト削孔データによる周辺地質の3次元評価

削孔検層システムを利用し、地球統計学手法により解析

山岳トンネルでは、安全及び品質管理上、地山に応じた適切な支保パターンを選定することが不可欠ですが、従来の切羽観察によって地山を評価し支保パターンを選定する方法では、切羽に出現しないトンネル周辺の断層の分布に気づかず補強や対策が手遅れになり、大きな変状や坑壁の崩落に至る恐れがあります。

一方、坑壁弾性波など、従来の手法でトンネル周辺の地質状況を日常的に調べることは、工期や工費の面で現実的ではありません。

そこで、鹿島では、トンネル周囲に打設するロックボルトの削孔データを取得・解析し、その結果を地球統計学手法によって処理することで、トンネル周辺の地質状況を3次元的に評価するシステムを開発しました。

特許登録済

図版:トンネル周辺の地山状況(破壊エネルギー係数分布)

トンネル周辺の地山状況(破壊エネルギー係数分布)

キーワード

山岳トンネル、地山評価、ロックボルト、破壊エネルギー、地球統計学、CIM
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特長・メリットココがポイント

日常的な施工サイクルの中で周辺地山を評価可能

本システムでは、ドリルジャンボでロックボルトの穴を削孔する際に得られる「破壊エネルギー係数」を利用することで、特別な作業を行うことなく、日常の施工サイクルの中で地質状況を評価することができます。

図版:ロックボルト削孔データから地山状況を3次元的に把握

ロックボルト削孔データから地山状況を3次元的に把握

周辺の地質状況を連続的、3次元的に把握

地球統計学とは、空間に分布するデータを分析し、統計学手法からデータの存在しない箇所の値を推定することで地盤全体の構造を評価する手法です。この手法を応用することで、得られた破壊エネルギー係数からデータのない箇所を高精度に推定することができ、周辺の地質状況を連続的かつ3次元的に把握できます。このため対策の要否を迅速に判断でき、想定外の過大な変位や崩落などを未然に防止することができます。

図版:地球統計学による地山評価例

地球統計学による地山評価例

供用後の維持管理、CIMへの展開も

トンネル全線のデータを取得すれば、掘削中の地山評価に活用できるだけでなく、供用後の変状発生に対する対策範囲の判断など維持管理への活用もでき、更にCIMへの展開も期待できます。

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適用実績

図版:南久保山トンネル

南久保山トンネル

場所:宮崎県延岡市

工期:2013年2月~2014年9月

発注者:国土交通省九州地方整備局

規模:トンネル延長381m、
掘削工法NATM

学会論文発表実績

  • 「支保パターン選定に寄与する地山評価技術の開発と適用実績」,トンネル工学報告集,第25巻,2015年11月
  • 「トンネル地質三次元評価システム ─ロックボルトの削孔データによる地質評価技術─」,建設機械,610,Vol.51,No.12,2015年12月

山岳トンネル切羽「風化変質判定システム」

タブレットPC内蔵カメラで撮影し、風化変質程度を数値化

山岳トンネルでは、安全及び品質管理上、掘削中の切羽観察が非常に重要です。切羽観察のうち、「風化変質」程度の判定は従来目視で行われますが、数値化しにくいため、個人により判定の差が出やすい傾向があります。

切羽における岩盤の風化変質が進行すると崩落の危険が高まります。風化変質度合を定量的に測定する方法は切羽に接近して試料を採取して分析する等がありますが、切羽全体の測定が困難であること、また、分析に時間がかかることなどが課題でした。

そこで、鹿島では、タブレットPCに内蔵されたカメラで切羽を撮影し画像を解析することで、現場で即座に風化変質度合を数値化できるシステムを開発しました。

図版:風化変質判定システム概念図

風化変質判定システム概念図

キーワード

風化変質、地山評価、山岳トンネル
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特長・メリットココがポイント

切羽全体の風化変質を数値化してコンター表示

タブレットPCに内蔵されたカメラを用いて切羽を撮影し、画素毎の色調を数値に変換、その結果をコンター図に表します。デジタルカメラのRBG値を、色調比較に適したL*a*b値に変換するプログラムを開発し、タブレットPCに搭載しています。これまでの切羽観察では、観察者の目視によって4段階に風化程度を評価していましたが、本システムでは、未風化(0)~強風化(Ⅳ)まで5段階でコンター表示することができます。色調補正のため、カラーバーを一緒に撮影することにより、同一条件での色調解析が可能です。

図版:切羽の風化部分抽出状況

切羽の風化部分抽出状況

切羽に近づくことなく客観的に判定、数分で解析可能

本システムは、切羽に近づくことなく、切羽全体の色調を一度に測定できます。また、タブレットPC内蔵のカメラを使用し、解析ソフトもタブレットPCに搭載しているため、デジタルカメラからPCへ画像を転送することなく、画面を数回タップするだけの簡単な作業で、わずか数分で解析結果が現場で得られます。

図版:現場での撮影風景

現場での撮影風景

図版:画面表示例

画面表示例

南久保山トンネルの低土被り部の切羽観察に適用、有用性を確認

南久保山トンネル新設工事では、土被りが最小で1m程度になり、地表部からトンネル天端に広がる風化変質の程度を定量的に評価することが重要でした。そこで、本システムの結果と、専門家の評価並びに、従来の定量的評価との比較を行ったところ、高い相関を持ちつつ迅速かつ安定した結果を出力できることを確認しました。

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適用実績

図版:南久保山トンネル

南久保山トンネル

場所:宮崎県延岡市

工期:2013年2月~2014年9月

発注者:国土交通省九州地方整備局

規模:トンネル延長381m、
掘削工法NATM

図版:宮古盛岡横断道路 新区界トンネル工事(1期)

宮古盛岡横断道路 
新区界トンネル工事(1期)

場所:岩手県宮古市区界地内

工期:2014年2月~2017年3月

発注者:国土交通省東北地方整備局

規模:トンネル延長4,998m、
掘削工法NATM

学会論文発表実績

  • 「山岳トンネル切羽の風化変質判定システムの開発 ─切羽観察での適用例─」,土木学会第69回年次学術講演会,2014年
  • 「支保パターン選定に寄与する地山評価技術の開発と適用実績」,トンネル工学報告集,第25巻,2015年11月

削孔検層システム

リアルタイムで切羽前方を探査

削孔検層システムとは、油圧ドリルを用いて岩盤を削孔する際に得られる削孔データ(削孔速度・打撃圧・給進力・トルク等)を利用して、簡便で迅速なトンネル切羽前方の地質状況を予測するシステムです。

リアルタイムで切羽前方を探査でき、これまでに地質予測手法として、数多くの現場で適用されてきました。

また、多くの適用事例からノウハウやデータが蓄積されているため、トンネル支保パターンの選定の目安としても活用可能です。

特許登録済
NETIS KT-120100-A

図版:削孔検層(左:実施状況、右上:データ収録装置、右下:スライムの写真)

削孔検層(左:実施状況、右上:データ収録装置、右下:スライムの写真)

キーワード

トンネル、前方探査
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削孔検層システム詳細

本システムは、下図に示すように、孔曲がりを抑制する専用の削孔ツールスと削孔データを計測するためのセンサーと収録装置、及び、評価ソフトで構成されています。地質状況の評価にあたっては、主に破壊エネルギー係数Evを用います。この係数は岩盤の破壊に要した油圧ドリルの仕事量に相当し、一般に、硬岩の場合は大きく、軟岩の場合は小さな値となります。また、削孔時の観察項目(くり粉の性状、削孔水の色、湧水量)も考慮して切羽前方地質を評価します。本システムは汎用性が高く、ロータリーパーカッションドリルやトンネルジャンボなど、どのような油圧ドリルにも取り付けることができます。

図版:削孔検層システムの構成

削孔検層システムの構成

特長・メリットココがポイント

  • 油圧ジャンボでは、切羽前方30~50mまで探査することが可能で、通常、測定時間は2~3時間程度です。
  • 専用の削孔ツールスを用いることで、孔曲がりを抑えることができます。
  • ロッド継ぎ足し時の記録装置の停止や再開の操作は自動化されており、開始と終了の操作のみで測定・記録が可能です。
  • データの処理も現場事務所のパソコンで短時間に行うことができるので、迅速な地質評価が可能となり、施工のサイクルへ組み込みやすく、工費・工期の面から有利です。
  • 深度やフィード圧による補正も可能であり、より定量的に地質状況の評価を行うことができます。
  • これまでに数多くの現場で適用され、ノウハウやデータが蓄積されているため、支保パターンの選定の目安としても活用可能です。

図版:削孔検層システムフロー

削孔検層システムフロー

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適用実績

図版:新名神高速道路 栗東トンネル下り線

新名神高速道路
栗東トンネル下り線

場所:滋賀県栗東〜大津市

竣工年:2002年3月

発注者:日本道路公団関西支社

トンネル延長:2,469m

図版:芦田川流域下水道沼隅幹線管渠

芦田川流域下水道沼隅幹線管渠

場所:広島県沼隅群〜福山市

竣工年:2004年3月

発注者:広島県福山地域事務所

トンネル延長:3,409m

図版:大津放水路トンネル

大津放水路トンネル

場所:滋賀県大津市

竣工年:1999年3月

発注者:建設省近畿地方建設局

トンネル延長:411m

図版:新名神高速道路鈴鹿トンネル下り線

新名神高速道路
鈴鹿トンネル下り線

場所:三重県亀山市

竣工年:2001年3月

発注者:日本道路公団中部支社

トンネル延長:3,923m

図版:国道41号高山国府トンネル

国道41号高山国府トンネル

場所:岐阜県高山市

竣工年:2012年3月

発注者:国土交通省中部地方整備局

トンネル全延長:3,259m

図版:新東名高速道路富士川トンネル

新東名高速道路
富士川トンネル

場所:静岡県庵原郡

竣工年:2002年10月

発注者:日本道路公団静岡建設局

トンネル全延長:4,505m

図版:新東名高速道路金谷トンネル

新東名高速道路金谷トンネル

場所:静岡県掛川市~榛原郡

竣工年:2003年3月

発注者:日本道路公団静岡建設局

トンネル全延長:4,578m

学会論文発表実績

  • 「油圧ドリルによる削孔データを用いた岩盤評価および切羽前方地質の予測技術について」,第8回岩の力学国内シンポジウム講演論文集,1990年
  • 「削孔検層システムによるトンネル切羽前方地質予測」,地盤工学研究発表会講演集,H-5,1997年
  • 「TBM掘進データを用いた地質統計学的手法による切羽前方地質評価」,第31回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集,2001年

画像粒度モニタリング®システム

デジタルカメラ画像解析で地盤材料の粒度分布を迅速に判定

ダムなどの建設工事では、工事現場周辺で入手できる材料を有効的に使用することが基本であり、工事中は使用材料の品質管理を入念に行います。アースダムやロックフィルダム、台形CSGダムなどでは、使用材料の粒度分布を定期的に測定し、使用できる材料か否かを判断します。

鹿島では、市販のデジタルカメラで撮影した材料の画像を解析することで、使用材料の粒度分布を推定し、所定の品質を満足するか否かを瞬時に判定するシステム(画像粒度モニタリング)を開発しました。

本システムを活用することで、使用材料のリアルタイムな品質管理が可能となり、ダムなどの建設工事の高度化ならびに合理化に貢献できます。

平成23年度ダム工学会賞技術開発賞
特許登録済

図版:画像粒度モニタリングのイメージ

画像粒度モニタリングのイメージ

キーワード

デジタルカメラ、画像解析、粒度分布、品質管理、土質材料、ロックフィルダム、アースダム、CSG工法

システムの概要

ダムなどの建設現場に従事する技術者は、現場で使用する材料(例えば、砕石など)の表面状況を見て、粒度が「粗い」または「細かい」という評価を行っています。画像粒度モニタリングは、このような使用材料の表面状況(二次元情報)を定量化することで、粒度分布の判定を行います。

測定手順は、対象材料を水平かつ薄く敷き均してデジタルカメラで撮影し、画像をコンピュータに取り込みます。この画像を解析して各粒子の輪郭を識別し、複数の監視粒径(例えば、40mm、20mm、10mmなど)毎に粒子を抽出した後、二次元画像情報の定量化指標である粒度インデックスIiを算出します。粒度インデックスIiと各粒径の通過質量百分率の関係を近似した相関式を介することで、粒度インデックスIiから監視粒径毎に通過質量百分率を推定します。デジタルカメラ撮影~画像解析~粒度分布の推定に要する時間は10秒程度です。

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図版:システムの構成

システムの構成

図版:粒度インデックスと通過質量百分率の関係例

粒度インデックスと通過質量百分率の関係例

特長・メリットココがポイント

実際の施工現場での適用実績あり

画像粒度モニタリングはすでに鹿島の建設現場で活躍しています。

  • CSG製造時のCSG材品質管理(最大粒径80mm)
  • ロック材の品質管理(最大粒径500mm)
  • CSG材製造管理(最大粒径80mm)

迅速な判定が可能

従来の粒度試験方法に比べて、粒度分布を得るために要する時間を大幅に短縮できます。

  • CSG材の場合、15分程度(従来の簡易方法による試験の場合は1時間)
  • ロック材の場合、2~3時間程度(従来の試験方法の場合1日程度)

図版:ロック材の撮影画像の例

ロック材の撮影画像の例

新しい品質管理方法で試験回数を大幅低減

台形CSGダム建設工事のCSG材品質管理に導入し、新しく構築したCSG材品質管理フローに従って管理を行いました。

  • 本システムでCSG材粒度の変動を検知した場合に、従来方法による試験を実施(従来は、品質変動の有無を考慮せずに、定時または定量毎に試験を実施していた)
  • リアルタイムに品質変動を監視することにより、品質変動の大小に応じた試験頻度の設定が可能となった(実績として、従来方法による試験回数が約40%低減)

図版:画像粒度モニタリングを使った新しい品質管理方法

画像粒度モニタリングを使った新しい品質管理方法

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適用実績

図版:当別ダム

当別ダム

場所:北海道石狩郡

竣工年:2012年11月

発注者:北海道

型式:台形CSGダム

規模:堤高52m 堤頂長432m
堤体積81.3万m3

図版:殿ダム

殿ダム

場所:鳥取県鳥取市

竣工年:2012年1月

発注者:国土交通省中国地方整備局

型式:中央コア型ロックフィルダム

規模:堤高75m 堤頂長294m
堤体積211万m3

図版:胆沢ダム

胆沢ダム

場所:岩手県奥州市

発注者:国土交通省東北地方整備局

型式:中央コア型ロックフィルダム

規模:堤高132m 堤頂長723m
堤体積1,350万m3

学会論文発表実績

  • 「デジタルカメラ画像を用いたCSG材の粒度変動監視システム ─当別ダム本体工事での適用事例─」,ダム工学研究発表会,2011年
  • 「デジタルカメラ画像を用いた粒状材料の粒度変動監視システム」,電力土木,2012年
  • 「デジタルカメラ画像を用いたロック材の粒度解析システム」,土木学会第67回年次学術講演会,2012年

落球探査による地盤物性評価手法
「トリクレーター®

簡便かつ迅速に道路や盛土の品質を確認

盛土や地山の物性評価として一般に実施されている平板載荷試験や現場CBR試験などは、比較的大掛かりな反力装置を要し時間や労力がかかることから、試験頻度に限界があります。一方、品質管理の観点では、盛土などの物性を全体的に評価しうる多点測定のニーズが高まっています。

トリクレーターは、加速度センサーを内蔵した球状底面の金属製重錘を地表に落下させ、着地時に得られる加速度応答から地盤の変形・強度特性を理論的で迅速に評価できる手法です。Hertz理論に基づき変形係数を同定し、地盤反力係数や現場CBR等へ変換できるほか、Vesić理論を応用して地盤の粘着力や内部摩擦角の評価にも展開できます。

特許出願中

図版:トリクレーターの実施状況

トリクレーターの実施状況

キーワード

落球探査、加速度応答、変形係数、強度定数、理論、迅速、簡便
改ページ

システム概要と測定原理

トリクレーターでは、迅速性や機動性を追及する一方、測定深度や精度などの性能面を重視し、重錘の質量約21kg、落下高さ50cmを標準仕様としています。これにより、操作や移動が人力で無理なく行われ、一般的な盛土施工で実施される層厚(30cm)以上の深度を測定対象とすることができます。システムとしては、加速度センサーを内蔵した重錘とパソコンを接続した機器から構成され、1回の測定はほぼ瞬時に終了し、同時に加速度波形や変形係数などの計算値が表示されます。

変形係数の評価は、Hertzによる弾性球体(重錘と地球)の衝突理論に立脚しており、地盤が軟らかいほど重錘着地時の接触時間は長く、硬いほど短くなる挙動(加速度応答)を利用して変形係数を評価します。また、Vesićによる球空洞の拡張理論に基づき、強度定数である粘着力や内部摩擦角も評価可能となります。

以上のように、地盤物性の理論的評価に加え、操作の迅速性から1地点につき落下位置を移動させながら多数回の繰返し測定を行う平均処理により、測定値の信頼性が一層高まるので、道路や鉄道をはじめとする土工現場で豊富な適用実績を有しています。

図版:システムとしての機器構成

システムとしての機器構成

図版:変形係数に関する測定原理

変形係数に関する測定原理

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特長・メリットココがポイント

変形係数の評価

各種の盛土において、トリクレーターと平板載荷試験で測定された変形係数を比較しました。

  • 粘性土から礫質土までの幅広い地盤材料および安定処理土に対して良好な相関性を示しています。
  • 重錘の底面が球状で落下エネルギーが大きいため、礫粒子や地盤面不陸の影響が緩和されます。
  • 締固めの従来管理指標である乾燥密度に比較して、変形係数は、転圧回数に伴う変化が敏感で、性能設計の面からも今後のニーズが期待されます。

図版:変形係数の比較

変形係数の比較

地盤反力係数の評価

変形係数は、地盤反力係数をはじめ現場CBRやN値などに変換できます。変形係数から理論的に地盤反力係数へ換算した結果と実測結果を比較しました。

  • 広範囲な地盤材料に対して、良好な相関性が得られています。
  • 平板載荷試験や現場CBR試験と同等の結果を迅速に評価できるので、補完または代用として有効です。

図版:地盤反力係数の比較

地盤反力係数の比較

強度定数の評価

強度定数である粘着力や内部摩擦角を、三軸圧縮試験結果と比較しました。

  • 内部摩擦角が卓越するφ材に対して、別途評価した内粘着力cを仮定(c材に対してはφを仮定)することで、強度定数を評価できることを確認しました。

図版:内部摩擦角の比較

内部摩擦角の比較

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適用実績

図版:南武線稲城長沼駅付近高架橋

南武線稲城長沼駅付近高架橋

場所:東京都稲城市

竣工年:2012年9月

発注者:東日本旅客鉄道

規模:延長4.3km

図版:常磐自動車道石神

常磐自動車道石神

場所:福島県南相馬市

竣工年:2011年12月

発注者:東日本高速道路

規模:延長8,367m

図版:北陸新幹線白山総合車両基地路盤他

北陸新幹線
白山総合車両基地路盤他

場所:石川県白山市

発注者:鉄道建設・運輸施設整備支援機構

図版:舗装構造評価に関する簡易試験法の適用検討業務/重錘落下試験の空港舗装への適用性検討業務

舗装構造評価に関する
簡易試験法の適用検討業務/
重錘落下試験の空港舗装への
適用性検討業務

場所:東京都大田区

調査日時:2009年11月

発注者:港湾空港技術研究所

規模:コンクリート床板および床板間の間詰めコンクリートを調査対象

学会論文発表実績

  • 「落球探査を用いた土構造物の施工管理に関する一考察」,土木学会第61回年次学術講演会Ⅲ,2006年
  • 「落球探査手法による砂礫盛土の締固め管理」,地盤工学会第42回地盤工学研究発表会,2007年
  • 「落球探査による盛土の施工管理」,土木学会第64回年次学術講演会Ⅲ,2009年
  • 「落球探査による支持地盤の地耐力評価」,土木学会第66回年次学術講演会,2011年
  • 「落球探査法による地盤物性の迅速評価」,電力土木,No.360,2012年7月

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