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液状化対策技術

軟弱地盤の表層安定処理「パレスシート工法®

格子状補強枠を有するシートによる表層安定処理技術

軟弱地盤上にジオテキスタイルなどを敷設し覆土する従来のシート工法では、シートの剛性が小さいため、覆土厚の偏りや施工機械の重量により不同沈下が誘発されやすく、シートが破断して一瞬のうちに覆土が乱されてしまうことも少なくありません。そこでシートの剛性不足を補うために、竹材を格子状に敷設する竹枠工や、表層固化処理工が併用されてきました。

パレスシート工法は、竹枠工に着想を得たもので、軟弱地盤上にシートとホース状織物(ジャケット)を敷設した後、ジャケットに流動固化材を注入して補強枠を形成し、シートに剛性を付与する新しい表層処理工法です。現場への運搬・敷設作業が簡易であり、注入完了後1~2日で覆土が可能になります。

特許登録済
国際ジオシンセティックス学会日本支部2005年技術賞

図版:高架橋設置のための大型クレーン用基礎地盤として施工中のパレスシート

高架橋設置のための大型クレーン用基礎地盤として施工中のパレスシート

キーワード

パレスシート、表層安定処理、支持力対策

構造・補強効果

パレスシート工法はN値0~3程度の軟弱地盤を対象とした表層安定処理工法です。

その構造は格子状に組んだホース状繊維材であるジャケットとシートで構成され、ジャケット内に早強性の流動固化材(モルタル)を注入することで補強枠を形成します。ジャケットの引張抵抗とモルタルの圧縮抵抗を兼ね備えた補強枠の高い曲げ剛性により、覆土作業に伴う局所荷重の分散化が図られ、支持力の増大効果や不同沈下の抑制効果が得られます。

最近では、セメント安定処理に比べて環境負荷や撤去処理費が低く、撤去後も植生等の早期回復が可能といった利点があることから、仮設道路や軌道における路床改良・路盤構築への適用事例が増えています。

図版:パレスシートの基本構成

パレスシートの基本構成

図版:格子状補強枠によるシートの高剛性化

格子状補強枠によるシートの高剛性化

特長・メリットココがポイント

不同沈下の抑制

実規模の試験施工を実施し、パレスシートで補強した地盤の支持力を評価しました。

  • 従来シートに比較して格子ジャケットを有するパレスシートのほうが大幅に不同沈下量を抑制できることが確認されました。
  • ジャケットが変形に抵抗するため荷重増加に従う沈下量の増分も少ないことが分かります。

図版:実規模の載荷試験結果

実規模の載荷試験結果

工法選定の迅速化

実規模の試験施工結果に基づいた数値計算によって、パレスシートの設計用ノモグラム(原地盤のN値に応じた格子間隔の決定)を作成しています。他工法と比較しながら最適な工法を、迅速に選定できます。

  • 原地盤のN値をパラメータとしてパレスシートで補強した地盤の支持力の指標である地盤反力係数K30を算定できます。
  • ノモグラムから、要求品質に合わせて格子間隔や砕石層厚といったパレスシートの基本仕様を設定することができます。

図版:設計用ノモグラム(砕石層厚30cmの場合)

設計用ノモグラム(砕石層厚30cmの場合)

設計照査が可能な詳細解析ツール

より軟弱な地盤で、より大きな荷重に対するジャケットの補強効果を確認するための解析手法を整備しています。特に重要な構造物や対策仕様が複雑な場合において、より精度良く設計照査することができます。

  • N値が0~1の原地盤で生じるような大変形に対応する弾塑性解析技術を開発し、室内模型実験で解析手法の有効性を検証しています。
  • 本手法を200t級大型クレーンのアウトリガーの安定性評価に関する詳細設計に適用し、有効性を確認しています。

図版:パレスシートで補強した地盤の変形解析

パレスシートで補強した地盤の変形解析

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適用実績

図版:京成電鉄押上線(押上駅・八広駅間)の立体交差 仮設軌道路床改良

京成電鉄押上線(押上駅・
八広駅間)の立体交差
仮設軌道路床改良

場所:東京都墨田区

竣工年:2012年3月

発注者:京成電鉄

規模:パレスシート施工面積960m3

図版:石神井公園駅付近高架複々線化 200tクレーン基礎地盤改良

石神井公園駅付近高架複々線化
200tクレーン基礎地盤改良

場所:東京都練馬区

竣工年:2013年5月

発注者:西武鉄道

規模:パレスシート施工面積1,380m3

学会論文発表実績

  • 「シート工法を用いた軟弱地盤表層処理の支持力評価」,第40回地盤工学研究発表会,2005年
  • 「”碁盤の目”の棋譜 ─格子状補強枠を有するシート工法の開発軌跡─」,土と基礎,Vol.56,No.2,2008年

地上タンクの液状化対策「鋼矢板リング工法」

地震・津波災害から地上タンクを防護

鋼矢板リング工法は、タンク下の地盤を鋼矢板によって円筒状に囲み、地盤を拘束することにより、せん断変形を抑制し、液状化の発生および液状化によるタンクの被害を防ぐ工法です。鹿島では、他社に先駆け1990年代前半に工法開発に着手し、対策効果を検証するとともに、設計法と施工法の検討を行ってきました。昭和52年に改定された消防法の技術基準の適用を猶予されていた特定屋外タンク貯蔵所のタンク(いわゆる旧法タンク)の液状化の他、当社では、これまで合計9件の施工実績があります。

特許登録済

図版:鋼矢板リング工法の概要

鋼矢板リング工法の概要

キーワード

タンク、危険物、液状化、沈下、対策、鋼矢板、リング
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設計並びに施工法

鹿島では、模型実験、数値解析、適用サイトの地震観測の3つのアプローチで、鋼矢板リング工法の有効性を検証しています。鋼矢板リング工法は、地震時における鋼矢板内外の土圧と水圧の差を考慮し鋼矢板リングの安定性を照査することで、簡便に設計することができます。

鋼矢板は、非液状化層に1.0m以上根入れします。タンク及び防油堤に囲まれた狭い場所でも、油圧圧入機を用いて鋼矢板を打設します。鋼矢板打設後、リング状に設置された鋼矢板の一体性を高めるため、矢板頭部には鉄筋コンクリート製の枕梁を設置します。配管等で鋼矢板を直接連結できない箇所では、隣接する鋼矢板間を接合鋼板で連結し、鋼矢板圧入の際に接合鋼板を順次継ぎ足していくことで、鋼矢板リングを構築することができます。

図版:鋼矢板の施工状況

鋼矢板の施工状況

図版:鋼矢板リング工法の液状化対策効果

鋼矢板リング工法の液状化対策効果

図版:鋼矢板を直接連結できない箇所での施工方法

鋼矢板を直接連結できない箇所での施工方法

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特長・メリットココがポイント

他社に先駆けて開発

鹿島では、鋼矢板リング工法の先駆けとして、1990年代前半の工法開発開始以降、模型実験、数値解析、適用サイトの地震観測の3つのアプローチで、鋼矢板リング工法の有効性を検証してきました。豊富な研究実績と施工実績を有しています。

技術研究所で実施した有効性検証結果(動的遠心模型実験結果)の例

図版:鋼矢板リングなし

基礎地盤は液状化し、基礎地盤の側方流動に伴い15mm(実規模換算75㎝)の沈下がタンクに発生する

図版:鋼矢板リングあり

基礎地盤が液状化しても、鋼矢板リングによって基礎地盤の側方流動が抑止され、タンクの沈下量は1mm(実規模換算5cm)に留まる

最適な対策工の提案

臨海部の埋立て地盤に立地するタンクでは、地盤の液状化の他、地盤の側方流動や津波といった災害との複合災害の発生が懸念されています。鹿島では、これまでの豊富な研究・施工実績に基づき、複合災害への対応を含めて、鋼矢板リング工法に関して最適な対策工を提案します。

図版:タンク周辺の津波漂流物対策への応用例

タンク周辺の津波漂流物対策への応用例

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適用実績

図版:三菱化学四日市工場T-229/T-241液状化対策工事

三菱化学四日市工場
T-229/T-241
液状化対策工事

場所:三重県四日市市

竣工年:2008年9月 2011年3月

発注者:三菱化学エンジニアリング

規模:YSP-FXL(t=12.7mm)
L=16.5m 120枚
YSP-FXL(t=12.7mm)
L=16.5m 134枚

図版:三井化学大阪工場液状化対策工事

三井化学大阪工場
液状化対策工事

場所:大阪府高石市

竣工年:2012年3月

発注者:三井化学

規模:鋼矢板L=12.5m 136枚 
鋼矢板L=14.5m 116枚

図版:JX大分液状化対策工事

JX大分液状化対策工事

場所:大分県大分市

竣工年:2012年12月

発注者:JX日鉱日石エネルギー

規模:YSP-FXL型11.5m×160枚

学会論文発表実績

  • 「液状化対策工法に関する研究(第1報) ─鋼矢板リング工法の開発─」,第47回土木学会年次学術講演会講演概要集,1992年
  • 「動的遠心模型実験による鋼矢板リング工法の液状化対策効果について」,第29回土質工学研究発表会発表講演集,1994年
  • 「鋼矢板リング工法の液状化対策効果について─鋼矢板リングが不連続な場合を想定した動的遠心模型実験─」,第23回地震工学研究発表会講演概要集,1995年
  • 「鋼矢板リング工法による既設タンクの液状化対策の検討」,鹿島技術研究所年報,第42号,1994年
  • 「旧法タンクの液状化対策:鋼矢板リング工法─既設石油タンクを鋼矢板でリング状に囲む地盤せん断変形抑止工法」,建設機械,2009年1月

既設岸壁の耐震補強工法

可塑状グラウトとジェットクリート、杭による
ケーソン式岸壁補強工法

港湾施設等の荷揚岸壁は、通常時は資機材などの荷揚げに使用しますが、災害時においては緊急資機材の搬入拠点としての機能も担う重要設備です。

ケーソン式岸壁は、ケーソンと背面の裏込栗石で構成されていますが、大地震時にはケーソンの変状(沈下または海側への移動)やケーソン背面地盤の地盤変状などが生じ、その機能を喪失することが懸念されます。

このため、ケーソン式岸壁の耐震性向上を目的として、ケーソン背面土の地盤改良(可塑状グラウトとジェットクリートの組合せ)およびケーソンへの補強杭による補強工法を愛媛県の岸壁に採用しました。

図版:施工状況

施工状況

図版:ケーソン式岸壁補強工法 標準断面図

ケーソン式岸壁補強工法 標準断面図

キーワード

岸壁、ケーソン、耐震性向上、地盤改良、補強杭
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施工ステップ

  1. 高圧噴射撹拌工施工時の海域への固化材などの流出防止を目的に可塑状グラウトで遮蔽壁を造成します。
  2. ケーソン背面土を対象に高圧噴射撹拌工による地盤改良(ジェットクリート工法)を行います。
  3. 既設ケーソンと補強杭を一体化し、ケーソンに作用する外力の補強杭への伝達を目的とした高強度可塑状グラウトをケーソン隔壁内に注入します。
  4. 既設ケーソンを貫通する補強杭を施工します(オールケーシング工法)。

図版:施工手順図

施工手順図

図版:施工手順図

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特長・メリットココがポイント

本工法は、以下に示す3つの技術で成立しています。

1. 可塑状グラウトによる巨礫の空隙充填、改良材の海域への流出防止

可塑性グラウトは、シールドトンネルの裏込め材やトンネル空洞充填材などに活用されてきました。しかしながら、地下水位以下の巨礫地盤中の空隙充填への適用事例が少ないため、室内試験と現場施工試験により目標品質を確認した結果、良好な充填状況が確認できました。また、地盤改良材(ジェットクリート工)の海域への流出防止として、遮蔽壁の機能も果たしています。

図版:可塑状グラウト充填後コアの一例

可塑状グラウト充填後コアの一例

2. ジェットクリート工による巨礫を含む地盤改良

ケーソン背面土は巨礫を含む地盤(最大粒径700mm)であり、通常の地盤改良が困難でした。このため、現場施工試験により改良出来形、改良品質を確認しました。その結果、未改良部はなく、巨礫を含む地盤でも良好に改良できることを確認しています。

図版:改良体ボーリングコアの一例

改良体ボーリングコアの一例

3. ケーソン隔室内グラウト工と補強杭の施工

ケーソン隔室内は中詰栗石が詰まっていて、補強杭施工のための削孔時、孔壁が崩壊して中詰栗石の緩み(ジャ-ミング)が生じ、ケーソンの変位が懸念されました。これに加えて、ケーソンと補強杭を一体化しケーソンに作用する外力を補強杭に伝達させることが必要です。このため、グラウト充填により孔壁崩壊を防止して施工中のケーソンの変位を抑制するとともに、ケーソンと補強杭を確実に一体化させました。

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