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廃棄物処理と最終処分場

迅速に災害廃棄物の適正処理・処分を行うための
総合提案をいたします

災害廃棄物とは、地震、津波、豪雨水害、洪水などの災害にともなって発生する廃棄物です。災害廃棄物には、倒壊した建物のがれきや木くず、コンクリートやアスファルト塊、金属くず、プラスチックなど様々なものが含まれ、発生時点においてはこれら多種多様な廃棄物が混在した状態であることも少なくありません。

東日本大震災により発生した災害廃棄物の中には、津波により打ち上げられた海底堆積物(津波堆積物)や処理困難な災害廃棄物など、一般廃棄物とは異なる特殊な廃棄物も発生しました。こうした廃棄物を適正に分別・処理し、さらに土木資材等にリサイクルをしたり処分を行うには高度な技術を要します。

鹿島では、東日本大震災をはじめ多くの災害復旧に従事してきた経験を活かし、周辺環境の安全に配慮しながら迅速に災害廃棄物の適正処理・処分を行うための総合提案をいたします。

災害廃棄物処理イメージ

キーワード

災害廃棄物、再資源化、ふるい機、焼却炉、焼却灰、車両運行管理システム、
空間線量率高速計測システム
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災害廃棄物の再資源化

家庭から出される一般廃棄物は、ある程度分別された状態で回収されますが、災害廃棄物では多くの場合に、木くず・廃プラスチック・コンクリートガラ・金属くず・土砂など、「可燃物」と「不燃物」、「リサイクル出来るもの」と「出来ないもの」とが入り混じった状態です。

このような災害廃棄物は、以下のような処理を経て、可能な限り再資源化が図られます。

災害廃棄物の分別・再資源化の事例

図版:災害廃棄物の分別・再資源化の事例

  1. 重機粗選別:大型重機を用いて、木材やコンクリートガラなど、大まかに選別をしていきます。
  2. 破砕選別:破砕機、ふるい機、磁力選別機、手選別などによって破砕・選別したり、時には洗浄を行うことで、資源化が図られます。
  3. 思い出の品の保管
    :写真、賞状、位牌などの思い出の品については、機械破砕を行う前に人の手で丁寧に回収され、被災された方に公開して、持ち主が見つかれば返却します。
  4. 焼却:可燃物は焼却炉で焼却されますが、焼却灰についても更に処理を行うことで再生土砂やセメント資源などとして再生利用が行われる場合もあります。

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重機粗選別

破砕選別

焼却

図版:重機での粗選別

重機での粗選別

図版:思い出の品 展示館

思い出の品 展示館

図版:ふるい機

ふるい機

図版:手選別ライン

手選別ライン

図版:可燃物の仮設焼却炉

可燃物の仮設焼却炉

図版:土砂分級洗浄設備

土砂分級洗浄設備

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災害廃棄物処理 関連技術

東日本大震災にともない発生した災害廃棄物の迅速な処理を行うにあたり、鹿島が開発した技術を紹介します。

大量に散在していた災害廃棄物を中間処理施設へダンプトラックで運搬するにあたり、交通渋滞が起こらないように車両運行を管理する「スマートG-Safe」。運搬がれきの放射線空間線量率をダンプトラックに積載したまま短時間に測定を行う「空間線量率高速計測システム」。可燃性廃棄物の焼却処理後、発生した焼却灰を再生土砂として再資源化する「焼却灰の再資源化技術」。津波堆積物などを分級洗浄し骨材などを選別回収する「土壌洗浄技術」など。これらの技術は宮城県・石巻ブロックの処理で採用されました。

車両運行管理システム「スマートG-Safe®

「スマート G-Safe」は、ダンプ車両に搭載したタブレット型GPS端末により車両位置をリアルタイムでGPS測位を行い、その位置情報や積荷情報などを工事事務所の運行管理室に自動送信し、地図画面に一元管理することができるシステムです。
ダンプトラックのドライバーからも簡単な操作で「渋滞」、「落下物」、「交通規制」、「浸水」などの位置情報を運行管理室に通報することができ、さらにその情報を集約して、リアルタイムに全ての車両の端末の地図に表示するなど双方向性を持ったシステムです。

渋滞を回避するために、周辺道路の交通状況から適切な運搬ルートを随時判断し、運行管理室からリアルタイムに運搬ルートや積み込み仮置き場の変更をタブレット型GPS端末を通じてドライバーに直接指示できます。
また、カーナビやVICSから得られない道路規制情報や凍結情報などの情報もドライバーから得て、すべてのドライバーに周知することで、運搬効率が向上し、安全運転にも貢献できます。

これまで、GPS端末を利用してダンプトラックの位置を運行管理室の地図上に一元管理するシステムはありましたが、「渋滞」、「落下物」、「交通規制」、「浸水」などの道路・交通情報をリアルタイムにドライバーと共有して、ドライバーと運行管理室が緊密に連携できるシステムとしては日本で初めてです。

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図版:スマートG-Safeの概要

スマートG-Safeの概要

図版:タブレット型GPS端末の表示例

タブレット型GPS端末の表示例

図版:運搬車両が速度超過や進入禁止エリア内へ侵入した場合、ドライバーに警告するとともに、運行管理室のモニターでも警告位置が地図モニター上に表示され、ドライバー名が自動通報されます

運搬車両が速度超過や進入禁止エリア内へ侵入した場合、ドライバーに警告するとともに、運行管理室のモニターでも警告位置が地図モニター上に表示され、ドライバー名が自動通報されます

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空間線量率高速計測システム

鹿島が開発した空間線量率高速計測システムは、災害廃棄物の中間処理施設から廃棄物を搬出する際、ダンプトラックやコンテナ車の放射線空間線量率を高速に計測し、計測データを集約管理できるシステムです。

空間線量率の計測設備として一般的に使用されているNaIシンチレーション方式サーベイメータ(1インチ)は、空間線量率を精度よく計測できるものの、低い線量では90秒経過後に計測を開始する必要があり、目標とする30秒以内の計測を満足することができませんでした。

今回着目したCsIシンチレーション方式サーベイメータ(2インチ)について、試験用線源を用いてNaIシンチレーション方式サーベイメータと比較実験を行った結果、両者の計測値に差異は無く、また計測時間が約10秒程度と短時間であることが確認できました。

以上により、CsIシンチレーション方式サーベイメータを採用し、目標とするトラックスケールの重量計測時間内(30秒以内)の計測を実現しました。

このシステムは、空間線量率計測器と計測対象物を検知する光電センサおよびデータを収集するパソコンなどで構成されています。ダンプトラックを計測するレーンでは車両を挟んで2台の計測器を、最大3個のコンテナが同時に運搬されるコンテナ車を計測するレーンでは、コンテナを挟んで6台の計測器を設置します。パソコンは計測レーンの横に設けたガードマンボックスの中に設置し、計測された空間線量率などのデータの蓄積や管理を行います。

図版:ダンプトラック 計測画面

ダンプトラック 計測画面

図版:空間線量率高速計測システムの概要

空間線量率高速計測システムの概要

図版:コンテナ車 計測状況

コンテナ車 計測状況

図版:ダンプトラック 計測状況

ダンプトラック 計測状況

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焼却灰の再資源化技術

可燃性廃棄物を焼却処理すると焼却灰が発生します。この焼却灰は重金属などの有害物質が含まれるケースがあるなどの理由で、これまでリサイクルが困難とされ、大半が処分されてきました。
鹿島では、焼却灰にセメントや不溶化剤を混ぜて固化し、有害物質の溶出抑制を行うことで、海面埋立材や路盤材といった再生土砂として再資源化する技術を開発しました。

このシステムは、焼却灰(主灰)に含まれる金属片などの異物を分別し、リサイクル可能な粒径まで破砕する破砕分別工程と、焼却灰にセメントや不溶化剤を混練すると同時に造粒を行う混練造粒固化工程からなります。

これにより、焼却灰(主灰)は約25mm以下の土砂として再資源化されます。各々の現場における焼却灰の性状に合わせた薬剤を都度選定することにより、問題となる有害物質の溶出抑制を行います。
また、このシステムは、プラスチックから土砂まで様々な物を含む混合廃棄物を焼却した際に発生する焼却灰にも適用でき、災害時の早期復旧にも利用可能です。

図版:焼却灰の再資源化フロー

焼却灰の再資源化フロー

図版:焼却灰の再資源化設備全景

焼却灰の再資源化設備全景

図版:前処理設備

前処理設備

図版:混練設備

混練設備

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津波堆積物および混合廃棄物の浄化技術

東日本大震災により発生した災害廃棄物には、津波により打ち上げられた海底堆積物(津波堆積物)や混合廃棄物があります。これらを破砕選別する過程において、振動ふるい機を通過する土砂主体の細粒分(ふるい下)は多量の廃棄物と渾然一体となっており、かつ有害物質が混入している可能性もあります。

鹿島では、これらの津波堆積物と、ふるい下に集められる多量の廃棄物や有害物質を除去し、より良質な土木資材(洗浄砂、洗浄礫)を生成する分級洗浄施設を開発しました。

また、分級洗浄により発生する汚泥は有害物質が濃縮されているため通常は最終処分を行いますが、この施設の濁水処理の過程で不溶化剤を添加し、有害物質の溶出抑制を行うことで、海面埋立材などの土木資材として利用することも可能となりました。

このシステムは、通常の土壌汚染対策工事のみならず、埋設廃棄物を多く含む汚染土壌の処理や管理型処分場の減容化工事などにも有効です。

※分級洗浄:汚染物質が細かい土粒子(細粒)に多く吸着することから、機械的な洗浄によって土砂を粒度別に分級して汚染物質を分離する、土壌汚染の対策としては一般的な方法です。

図版:石巻ブロックの土壌洗浄設備

石巻ブロックの土壌洗浄設備

宮城県・石巻ブロックでは、ふるい下に集まる混合廃棄物を処理する分級洗浄設備と、汚染された津波堆積物を処理する分級洗浄設備の2種類の施設を設置しました。いずれも分級洗浄処理の後、「洗浄砂」、「洗浄礫」、「汚泥」、「廃棄物(可燃物含む)」の4種類が生成されます。洗浄後の廃水は、水処理プラントを通じて循環利用しているため、場外へは排水されません。

ふるい下に集まる混合廃棄物のように細かな木片やごみを多く含む場合には、比重差を利用する分級洗浄処理が有効でしたが、予想よりも比重、粒径、形状などのバラつきが大きいごみが含まれていることが判明したため、これらのごみを除去する機能を増設しました。

津波堆積物に対しては、一旦分級機で除去した砂分を更にもみ洗い機に投入し、土粒子のこすりあい作用で砂分の表面に付着する細粒分を除去させるなど、分級精度を高める工夫を行いました。

図版:津波堆積物・ふるい下 処理フロー

津波堆積物・ふるい下 処理フロー

図版:分級洗浄後の生成物

分級洗浄後の生成物

図版:津波堆積物 分級洗浄設備

津波堆積物 分級洗浄設備

図版:ふるい下 分級洗浄設備

ふるい下 分級洗浄設備

図版:土壌洗浄による生成物の再利用

土壌洗浄による生成物の再利用

廃棄物処理と最終処分場 インデックス

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